ストリートチルドレン ― その事実
(一部翻訳)

Street children - THE FACTS
New Internationalist No.377
April 2005 p18-19


ストリートチルドレンとは?

通常私たちが思い浮かべるのは、ストリートに住み働く若いホームレスではないだろうか。しかしストリートチルドレンは、ストリートとの関係性から考えた方がよい。彼らの中には、ストリートで暮らす家族の子どももいれば、家族のいる家があってたまに戻ったり、夜だけ家に戻る子どもたちもいるし、夜だけシェルターで過ごす子どももいる。さらに、刑務所や施設に収容されていたり、市場で働く子どもたちもいる。ほとんどの子どもは何らかの仕事をして働いている。

ストリートチルドレンと言っても、彼らはまず1人の人間であり、それぞれ独自の複雑な生活を送っている。

その人数は?

正確な人数は不明。推測では、3千万〜1億7千万人と幅広く意見が分かれる。子どもたちは転々と移動している上、ストリートでの生活をやめたり舞い戻ってきたりすることもあり、人数を知ることは困難である。ストリートチルドレンの人数は、国勢調査や人口調査には含まれていない。世界のストリートチルドレンに関する統計は存在せず、各国レベルでも最も頼りになるのは現場で活動している団体の持つ情報である。

戦争、経済状況の悪化、自然災害など、特定の状況によってストリートチルドレンの数は増加することがある。1991年の湾岸戦争前のイラクでは、ストリートチルドレンがいるという報告はなかった。しかし、いまだに衝突が続き、ユニセフはストリートの孤児の増加に危機感を募らせている。(1)

家族との結び付き(4)

■自分の家族との接触を断っている子どもは半数にも満たない。ブラジルでは、約90%のストリートチルドレンが家で生活したり時々家族に会っている。

■貧困や厳しい社会状況が家族への負担となり、子どもはストリートへと追いやられる。ジャマイカのキングストンでは、ストリートチルドレンの90%以上が母子家庭の子どもである。

■子どもたちがストリートへ出て行く原因には、貧困によって加速されることが多い家族崩壊も挙げられる。だが、貧困が主要原因でないのが米国である。全米で75万〜100万人と見られているストリートチルドレンの多くは、暴力や性的暴行から逃れるためにストリートへ出て行くのだ。

ジェンダーという要素

■ストリートにいる子どもは圧倒的に男の子が多い。推定では、ストリートチルドレンに占める女の子の割合は3〜30%とされているが、この数値では幅が広すぎてほとんど推測値としても意味をなさない。ストリートチルドレンは暴力や性的暴行にさらされているが、女の子はよりその危険度が高い。そして、多くの子どもたちが性産業に引きずり込まれている。

■女の子の性的搾取が最もひどいと言われているのは、インド、米国、タイ、台湾、ブラジル、フィリピンである。旧共産主義圏の東欧諸国においても子どもの性的搾取が起きている。(2)

■ユニセフは、売春や児童ポルノによって200万人以上の子ども(そのほとんどは女の子)が搾取の対象になっていると見ている。毎年120万人の子どもたちが人身売買の被害に遭っており、そのほとんどは性産業へ売られていく。(3)

暴力(4)

■世界の多くの国々で、警察などの取り締まり当局と自警団のような組織が「ストリートの浄化」を進めてストリートチルドレンを抹殺している。ラテンアメリカでは状況が深刻で、その中でも最悪なのはブラジル、コロンビア、グアテマラ、ホンジュラスである。リオデジャネイロでは、1日平均3人のストリートチルドレンが殺されている。カイロでは日常的に取り締まりが行われており、ストリートチルドレンは警察官から暴行を受けている。彼らは頭をそられた後、すし詰め状態の拘置所に収容される。

■麻薬使用率が高く軽犯罪にも手を染めている子どもたちは、同じような違法行為を行っている子どもとよくトラブルを起こす。自分の身を守るためにギャングメンバーに加わることも少なくない。

健康

■リスクの高い性行動や麻薬によって引き起こされる病気になる率がより高い。トロントでは、調査を行ったストリートチルドレンの50%がクラミジアに感染していた。(4) カンボジアでは、HIV感染が新たに発覚した人の40%がストリートで働く子どもたちだった。(6) グアテマラでは、53%が性感染症にかかっている。

■グアテマラの調査では、子どもたちの92%にシラミが見つかり、88%はストリートでの生活によって呼吸器系の感染症にかかっていた。皮膚感染症も一般的に見られた。

■ネパールとグアテマラで行われた調査によれば、都市部のストリートチルドレンは村落部の家で暮らす子どもたちよりも健康状態が良い。しかし、これはストリートでの生活がましであると結論付けているわけではなく、これらの国の村落部の貧しさが際立っていることを示している。(5)

1 ‘UNICEF wary of post-war child trafficking in Iraq’, UNICEF press release, 13 June 2003.
2 ‘UNICEF calls for eradication of commercial sexual exploitation of children’, UNICEF press release, 12 December 2001.
3 ‘All children deserve protection from exploitation and abuse’, UNICEF, 2004.
4 Strategies to combat homelessness, United Nations Centre for Human Settlements, Nairobi, 2000, http://hq.unhabitat.org/en/uploadcontent/publication/hs.599.06.pdf
5 BBC News, ‘Street children surprisingly healthy’, 13 April 2002, http:// news.bbc.co.uk/1/hi/health/ 1920570.stm
6 Sebastian Marot, Director FRIENDS in consultation with Cambodian NGOs, reported by Consortium for Street Children, 2003.

 

訳: 諸 英樹

この号の目次へ

より詳しい子どもたちのストーリーを知りたい方はこちらをご覧ください

日本版PDF(200円)のご案内

(DL-MARKETのサイトにジャンプします)

ご意見をお聞かせください

このリポートは役に立ちましたか?
役に立った  どちらとも言えない  役に立たない

このリポートは興味深いと思いますか?
興味深い  どちらでもない  興味深いと思わない

ご意見、ご感想、こんなことを知りたい等ありましたら、ご自由にお書きください。



 



 




戻る       HOME