私たちの社会を支える移民労働者

If... migrant workers left the rich world what would happen?
New Internationalist No.379
June 2005 p24

 

現在世界には、働いて収入を得ている移民労働者(難民も含む)が8,600万人いる。彼らの半数近くは北米とヨーロッパで働いている。

 

家庭では

世界中から女性や少女が家事仕事をするために雇われてくる。彼女たちの多くは、自らの子どもや家族を国に残し、自分の家族を食べさせるために他人の子どもの世話をしている。カナダをはじめ世界各国で、フィリピン女性が家政婦の過半数を占める。GABRIELAという団体の推測によれば、外国人家政婦を雇う共働きの夫婦が富裕国では徐々に増えており、600〜800万人ものフィリピン人女性が外国で家事労働に従事している。

田畑では

富裕国は、移民労働者に大きく依存している。移民労働者がいなければ、農業のかなりの部分が立ち行かなくなるだろう。毎年約1万8千人の移民農場労働者が、農作業をするためにメキシコやカリブ海沿岸諸国からカナダにやって来る。米国では、果物や野菜の収穫のかなりの部分を合法または不法な季節農場労働者に頼っており、2000年にはその数が4万4千人を超えた。欧州連合(EU)全体では、地元民がやりたがらない季節農作業をさせるため、EU加盟国以外からの移民労働者が50万人必要である。英国の全国農民組合は、英国で移民労働者を雇う自由が制限されれば、年間売り上げ50億ドルを超える農業や園芸産業の一部が閉鎖に追い込まれるだろうと警告する。オーストラリアとニュージーランド/アオテアロアでも同じような状況だ。

商店や会社では

多くの移民が、自ら事業を立ち上げ、経営し、雇用を創出し、経済成長の一端を担っている。ニュージーランド/アオテアロアでは、人口の5分の1近くが外国生まれで、移民労働者の流入が技術者不足を埋めるのに役立っている。移民労働者は、所得税収入と個人的な投資の両面から国の経済に多大な貢献をしている。オーストラリアでは、4人に1人が外国生まれである。オーストラリア政府の調査では、移民労働者が納める税金は、彼ら自身が公共機関から受け取る手当やサービスの額を上回っている。英国も同じ状況にあり、合法に働いている移民労働者の場合、彼らが受ける公共サービスよりも45億ドル多く税金を納めているのだ。カナダでは、2000年に移民農業労働者が支払った雇用保険料は1,100万ドルに上るが、彼らが失業しても彼らには手当受給者の資格は発生しない。豊かな産油国であるサウジアラビアは、労働力の過半数を占める移民労働者がいなくなれば大混乱に陥るだろう。

病院やレストランでは

富裕国は、運輸、教育、建設、観光、清掃という分野で移民労働者に依存する割合が高い。そのなかでも保健医療分野での依存は極めて高い。ロンドンのケータリング業界で働く労働者のうち、およそ70%は移民である。メルボルン、トロント、ニューヨーク、ダブリンのような大都市のホテル、レストラン、喫茶店、バーで多くの移民が働いており、こうした事業の存続は移民労働者抜きで考えられない状況だ。移民労働者たちは、タクシー運転手などの運輸関係の仕事をすることが多い。こうした移民労働者がいなければ、活気あふれる経済やいきいきとした都市はたちまち機能不全に陥るだろう。業界団体である英国ホスピタリティ協会は、清掃やケータリングの仕事をする労働者を海外から雇うことができなくなれば、いくつもの深刻な問題が発生するだろうと警告している。

 

Sources: ILO Facts on Migrant Labour, 2005; GEOPA-COPA; Victor Kennan 'Immigrants are Driving the Growth Engine' Guardian Unlimited, 25 February 2005. Australian Government, Department of Immigration and Multicultural and Indigenous Affairs; UK Home Office; New Zealand Government; Women & Economy, UNPAC, Globalization and Migration http://unpac.ca/economy

 

訳: 松並敦子

 




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