原子力エネルギー ― その事実
(一部翻訳)

Nuclear Power - THE FACTS
New Internationalist No.382
September 2005 p12-13

 

ピークに達するウラン生産

・世界中の原発産業で必要とされるウラン鉱石の量は、年間およそ6万8千トンである。(1)
・鉱山は第一の供給源で、そこから採掘されて生産されるウランの量は年間約3万6千トンである。(1)
・現在、ウラン供給全体の半分近くは、軍需品(解体された核兵器などから取り出され貯蔵されていたもの)や使用済み核燃料の再処理によって供給されている。(1)
・欧州委員会の予測によれば、地球上の採掘可能なウランは200〜300万トンにすぎない。(2)
・原子力発電容量の現在の見通しから需要を考えてみると、10〜20年以内にウランの採掘量を倍増する必要がある。(2)
・地球上の採掘可能なウランは、30〜40年以内に枯渇する可能性が高いと予想されている。(2)
・化石燃料を使用する世界の既存の発電所がすべて原子力発電に置き換えられた場合、ウランの供給はたった3〜4年程度しかもたない。(2)

事故

1986年のチェルノブイリ原発事故以降、少なくとも22件の大事故が原子力発電所で発生し、うち15件は放射能漏れを引き起こしている。このうち2件は炉心溶融寸前の事故だった。(5)

廃棄物

・平均的な原子力発電所は、1カ所で使用済み核燃料を毎年20〜30トン生み出す。これを世界全体でみれば、年間8,800〜1万3,200トンに上る(これには軍事、研究、医療用のものは含まれていない)。(2)
・原発の全工程(採掘、輸送、運転、保管、廃炉)のライフサイクル分析を徹底的に行った結果、平均的な原子炉の二酸化炭素排出量は、標準的なガス火力発電所の二酸化炭素排出量の20〜40%であることが分かった。原発からは、強力な温室効果ガスであるハイドロフルオロカーボン(HFC)や六フッ化硫黄(SF6)も発生しているが、その排出量はまだ明らかになっていない。(2)
・標準的な1,000メガワットの冷却塔を備えた加圧水型原子炉は、河川、湖、海といった水源から毎分2万ガロンの水を冷却用に取り込み、全長50マイルにおよぶ入り組んだパイプによって循環させている。毎分5千ガロンの水は元の水源に排出されるが、その他は水蒸気となって大気中に放出される。(3)
・多くの政府が、使用済み核燃料棒と放射能を帯びたスラッジの入ったドラム缶を北大西洋(26カ所が明らかになっている)、北太平洋(21カ所が明らかになっている)、そして北極海(6カ所が明らかになっているが、疑わしい場所がほかにも多く存在する)に海洋投棄した。(4)

経済

・カナダ政府が1953〜2002年の間に原発産業に対して交付した直接補助金は約145億ドルである。(6)
・米国政府は、1948〜1998年の50年間で原発産業に対して670億ドル近い直接補助金を交付した。(7)
・経済協力開発機構(先進工業国30カ国)の加盟国が1992年までに原子力エネルギーの研究開発につぎ込んだ資金は3,180億ドルと推定される。(8)
・欧州連合(EU)は、エネルギー分野の研究開発費の61%を原子力分野につぎ込んでいるが、EUのエネルギー供給に原発が占める割合はたったの13%である。(9)
・フランスでは、原発産業が総合損害保険の保険料支払免除という恩恵を受けなければ、原発によって発電される電力のコストは4倍になるとみられる。(9)

原発と補助金・コストについての参考文献
'Unfair Aid: The Subsidies Keeping Nuclear Energy Afloat' by WISE/NIRS Nuclear Monitor on June 24, 2005

 

訳: 松並 敦子

(1) Uranium Information Centre, www.uic.com.au. WISE-Uranium, www.wise-uranium.org. Nuclear Energy: the Energy Balance, Jan-Willem Storm van Leeuwen and Philip Smith, 2005. Nuclear Monitor, WISE/NIRS.
(2) Nuclear Energy: the Energy Balance, Jan-Willem Storm van Leeuwen and Philip Smith, 2005. Nuclear Monitor, WISE/NIRS.
(3) Nuclear Monitor, WISE/NIRS.
(4) State of the Environment Atlas, Penguin Books, 1995.
(5) Nuclear Monitor, WISE/NIRS. 'List of Nuclear Accidents’, Wikipedia, http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_nuclear_accidents. Calendar of Nuclear Accidents, Greenpeace, http://archive.greenpeace.org/comms/nukes/chernob/rep02.html. Press Report.
(6) Canadian Nuclear Subsidies: Fifty Years of Futile Funding, David H Martin, Campaign for Nuclear Phaseout, 2003. 'Unfair Aid: The Subsidies Keeping Nuclear Energy Afloat', Nuclear Monitor, WISE/NIRS.
(7) 'Unfair Aid: The Subsidies Keeping Nuclear Energy Afloat', Nuclear Monitor, WISE/NIRS. Running on Empty: How Environmentally Harmful Energy Subsidies Siphons Billions from Taxpayers, Green Scissors Campaign, 2002.
(8) 'Unfair Aid: The Subsidies Keeping Nuclear Energy Afloat', Nuclear Monitor, WISE/NIRS. 'Nuclear Energy Belongs in the Technology Museum', Hermann Scheer, Renewable Energy Access, 2004. www.renewableenergyaccess.com/rea/news/story?id=19012
(9) 'Unfair Aid: The Subsidies Keeping Nuclear Energy Afloat', Nuclear Monitor, WISE/NIRS. Environmentally Harmful Support Measures in EU States, B Leurs et al, Centre for Energy Conservation and Environment Technology CE, Delft, 2003.


 

 


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