その寄付ちょっと待った!
(+NIジャパンからの補足)

Ask before you give!
New Internationalist No.383
October 2005 p18-19

<NIジャパンからの補足>

どんなNGO[訳注:ここでは国際協力活動を行っているNGOについて述べる]を支援したらいいのか? NGOに優劣をつけるのは難しく、それぞれの違いを見極めるのは容易なことではない。迷ったときのヒントになる質問をここにいくつか挙げてみた。すでに知られていることやNGOが公表している資料からも答えが見つからなかったら、直接NGOに聞いてもいいだろう。これらの質問の答えを探るなかで、支援すべきNGOを絞り込めるだろう。

あなたの基本的な考えは?

特定の主義主張や呼びかけを支持するのではなく、一つのNGO団体を支援したいと考えるのであれば、次のような点を考慮してみよう。
・大きな団体ではなく小さな団体を探して支援をする。
・地道な貢献や少額の寄付などを定期的に行う ― 「継続して定期的な寄付を行う」
・お金だけでなく、自分の得意なことや意欲や情熱による貢献、余った時間を利用しての支援など。

資金集めの方法

必ずしも資金力のあるNGOが良いNGOになるとはいえない。資金集めの方法は、そのNGOの本質と深くかかわっている。
・搾取的なイメージ、あるいは人間の尊厳への配慮に欠けたイメージを利用してはいないだろうか? 特に子どもに関してそのようなイメージを使っていないか?
・特定の個人やその周囲のほんの限られた人々だけを支援する目的の「子ども支援制度」が主な収入源となっていないか?
・資金集めの方法の中に、支援する側の知識や理解を高めるような取り組みや手段が組み込まれているか?

キャンペーン

大半のNGOは、一般大衆の意識向上を図るために何らかのキャンペーンを行っている。これはNGO活動の中でも一番重要な活動といえるだろう。
・集めた資金でキャンペーンを実施すると考えるのではなく、キャンペーン自体を資金集めの手段としてとらえていないか?
・団体はどんな優先順位を持って活動しているのか?
・会員や支援者は積極的にキャンペーンにかかわっているか?

政府との関係

NGOは政府とも一緒にやっていかなければならない。しかし、政府と一定の距離を置くかどうかは重要なポイントだ。
・政府の政策に追従するようなことを避けるため、どのようなことを実施しているのか?
・政府との契約に、例えば民営化のようなことが含まれていた場合、契約を断るのか?
・全収入に占める政府資金の割合の上限が明確に示されているか?

企業との関係

全部とまではいかないが、現在は多くのNGOがビジネス界や多国籍企業との関係拡大に努めている。だが、その程度は団体によって異なる。
・特定の産業や企業(例えば兵器製造企業など)との結びつきは持たないというような「倫理的」な方針は示されているか?
・人件費の支援など、表面的には見えにくい関係はないのか?
・全収入に占める企業からの資金の割合の上限が明確に示されているか?

組織体質

NGOがビジネスライクな考えを持ってはいけないというわけではない。しかし、その前に考えるべきより重要なことがあるはずだ。
・団体運営に関して、保守的、専制的、階層的な運営形態に代わる他の方法を検討してみたことはあるか?
・団体の運営責任者の給与体系と内容はどのようなものか? 一般のスタッフとの違いは? そしてその差は広がっているのか?
・特に貧しいコミュニティーへ出かけるときの交通手段や宿泊先、「行動スタイル」は適切か? 全般的に「経費」の支出は適切か?

規模

大きな団体は頼りがいがあるように見えるかもしれないが、柔軟性に欠けることもある。
・団体規模の上限は検討されているのか?
・団体が大きくなることを成功と見なしていないか?
・団体をより小さな部門に分割する場合のメリットについて検討したことはあるか?

パートナー関係

NGO、特に国際NGOは、独自のプロジェクトを自分たちで実施する必要はない。他のNGOとパートナー関係を結んで活動することも可能だ。
・活動地に現地のパートナー団体を持っているか?
・現地側に権限を持たせ、ローカル(現地人)スタッフや現地の資源(設備や物資など)を活用していくというような方針はあるか?
・現地のパートナー団体は、NGOに対してどのような影響力を持っているのか?

資産

どんな団体でも予備の資金を積み立てておく必要はある。しかし、1年分の運営資金を上回る積み立ては、たいていの場合は行き過ぎた浪費といえるだろう。
・団体はどの程度の予備資金を積み立てているのか?
・資産を最大限増やすため、ヘッジファンドのような金融「商品」を利用していないか?
・倫理的投資や財務運営の方針を公開しているか?

優遇措置

ほとんどのNGOは「免税措置」を受けたり、慈善事業体として登録されている。これは財務的に大きな恩恵をもたらすが、そうすることによってひも付きとなってしまう可能性は否定できない。
・優遇措置によってもたらされる利害の衝突とそれが及ぼす活動への影響について、団体ははっきりと認識できるのか?
・利害の衝突の影響と優遇措置によって受ける財務的恩恵について、これまでに比較検討したことはあるのか?
・免税措置や慈善事業としての認可に頼らず運営できるようになるには、組織的にどのような条件が必要なのか?

説明責任(アカウンタビリティー)

説明責任の定義自体が定まっておらず、現在それが物議をかもしている。理論上、NGOは「理事会」や「評議員」に対して説明責任を負っている。しかし実際は、主要な資金提供者(ドナー)が力を握っている。
・団体が正式に説明責任を負っているのは誰か?
・誰がそうした人々を指名するのか?
・誰がそうした人々を除名できるのか?

受益者への配慮

「受益者」あるいは支援対象者は、通常は活動の意思決定にかかわることはできない。だからといって彼らの意見を無視してよいという解釈は成り立たない。
・団体や資金、または関連するプロジェクトなどについて、どのくらいの情報を定期的に受益者に知らせているのか?
・受益者たちは、どのように自分たちの意見を伝えることができるのか?
・受益者たちの意見は、どのようにして団体の活動に反映されているのか?

政治

NGOが「政党」政治に直接干渉することは認められていない。しかし、明らかに政治的問題にかかわっており、完全に無関係という立場を貫くことは不可能だ。
・団体は公正な世界を目指す運動を幅広く支援しているか?
・お膝元である豊かな国々で聞かれる企業主導のグローバル化や新自由主義正統派への批判について、団体は十分な情報や知識を持っているか?
・例えば今であれば、「テロとの戦い」や「イラク占領」を正当化するいかなる解釈に対してもきっぱりと反対しているか?

ドナーやドナーとなる可能性のある人々は真の影響力を持っており、それが問題の一部ともなっている。しかし、こうした力や責務を前向きな変革のために利用することも可能だ。

 

訳:松並 敦子

 

 

<NIジャパンからの補足>

 

NGOとのかかわりを持つための一歩

NGOに寄付をしたり活動に参加したりする動機は、人によってさまざまでしょう。ただ、マスメディアによる災害や紛争などのニュース報道、テレビのドキュメンタリー番組やクイズ番組、海外旅行、音楽、食べもの、スポーツ、友人の話や誘いなどいろいろな異なるきっかけでも、「何か」を感じて行動を起こす部分は誰でもほぼ共通しているでしょう。

その行動の受け皿になるNGOは大小さまざまで、日本に700〜800ぐらいあるといわれています。また、NGOではありませんが、よくマスメディアで取り上げられる海外援助の寄付先として、ユニセフや日本赤十字社などの名前を聞くこともあるかもしれません。しかし、なかなかそれらの団体やNGOの違いは見えてきません総じて、規模の大きな団体の方が資金が豊富で資金集めにたけ(人材や資金集め手法の違い)、人・物・情報も集まりやすく支援を受けやすいという傾向があります。それとは逆に小規模の団体は、非常に限定された資金と人材で精一杯の活動と団体運営を行っていることがほとんどです。日本には、今回NIで取り上げているようなbingo(巨大国際NGO)は存在しません(ただし、欧米のbingoの日本事務所はあります)。

支援をする側から見れば、大きな団体はしっかりしているように見えますし、小さな団体に比べればメディアへの露出も多くネームバリューというような安心感もあるでしょう。しかし、あまり知られていない小さな団体の中にも地道に良い活動をし、支援を受けている受益者から感謝され、高い評価を受けている団体もありますまた、ユニークな活動をして可能性を秘めながらも、資金不足や人材不足に苦しんでいるような団体もあります。なんとなくネームバリューや安心感だけで選ぶのではなく、どのような団体のどんな活動に対してどうかかわりたいのかを自分自身でよく考え、それに合った小さくてもユニークで可能性のある団体を探して応援していくというのも選択肢の一つです。

お金はないが時間に融通が利くという人はボランティアとしてかかわるのもいいでしょう。ウェブサイトの更新作業、パソコンでのデータ入力、会報の発送作業、書類や資料のファイリング、バザー商品の整理や値札付け、翻訳などのような事務的な作業から、より専門的な財務会計、広報・マーケティング、人材育成・研修など、仕事の知識や経験を生かして助言できるようなボランティアもあります。NGOにしてみれば、お金や物品の寄付、または会員になって(会費を支払って)支援することはもちろん大変ありがたいものですが、それ以外にも「何かできる」方法はいくらでもあります。寄付する余裕がないからといってちゅうちょせず、NGOのホームページを見たり直接問い合わせたりして、「何かしたい」「何かすべきだ」という自分の思いを「何かできること」に変換する方法を見つけることが第一歩です。

NGOと市民、そして受益者(支援を受ける途上国の人)との関係

NGOは市民団体という言葉が示すように、一般市民のさまざまな形での参加によって支えられています。「何かしたい・しなければ」と感じながらもさまざまな理由で行動を起こせない人々の思いをくみ取りながらNGOは活動しています。NGOは市民に支えられ育てられていますが、NGOも市民を育てていく義務があります。市民は単なる金づるではありません。単にもの悲しそうな顔をした子どもや悲惨で苦しい状況に立ちすくんでいるような人々のイメージを多用して集金するだけでは、「南北問題」を解決するには不十分です。資金を集めて南の国々でプロジェクトを行い、今まさに権利を侵害されたり貧しく困窮している人々を支援することは重要なことです。しかし、そのような目に見える現象を抑えても、それが永続的な問題解決の方法にならないことも少なくありません。問題の根本的な原因が、債務、貿易、地球環境、企業活動などにある場合、その多くは北の国々の中で対応する必要が出てきます。それには、例えば現在話題になっているホワイトバンドの「ほっとけない世界のまずしさキャンペーン」や1997年にノーベル平和賞を受賞した「地雷禁止国際キャンペーン」に見られるような、市民の知識と意識を高めて理解を深め、社会や政治に提言をしていくような活動が必要となってきます。この一環として、個々の団体が市民の理解を助けて啓発していくという義務を果たすためには、南の人々の状況や生活の一部を切り取ったような断片的なイメージを流すだけでは不十分なのです。

イメージの問題

「民間の海外援助団体に寄付をしている人々のほとんどは、『海外にいる人々』に対して寄付しているのではなく、より正確に言えば、『海外にいる人々のイメージ』に対して寄付をしているのです」
Wren, B. 1975. The Ambiguity Business: A Study of Some of the Choices Faced by British Overseas Aid Charities. unpublished draft. London.
(Lissner, J. 1977. The Politics of Altruism: A Study of the Political Behaviour of Voluntary Development Agencies. Geneva. Lutheran World Federation. p147から引用、和訳はNIジャパン

英国の海外援助団体の調査を行った1975年の報告書にはこのように記されていました。またその20年後、世界最大規模の英国のNGO「オックスファム」は、『Which picture?』(1994年1月)という題名のインフォメーション・シートの中で、写真は使いようによっては薬にも毒にもなり得ると警告し、写真の利用についてオックスファムの見解と方針を述べています。

困った人やかわいそうな人を見ると助けたくなるという遺伝子が、人間に組み込まれているのかどうかは分かりませんが、貧しく悲惨なネガティブなイメージの写真は、その昔から人の心を打ち、何かしなければという気持ちを抱かせ、行動へと駆り立ててきました。NGOの中には、もう何十年にもわたってそのようなイメージに頼っている団体もありますが、資金集めに有効なためなかなかやめられないという事情もあります。そして、支援する側の市民は、あまり深く考えずにそのイメージに動かされてきました。ネガティブなイメージの広報は、人の感情に直接的に訴えかけて集金力はあるかもしれませんが、そのイメージは非常に偏ったメッセージしか伝えません。従って、「集金」目的だけでなく、「南の国の現状はどうなっているのか」「南北問題とは何か」など、団体が支援する受益者の状況を包括的に伝え、市民の理解を深めて納得してもらおうと考えている団体は、ネガティブなイメージだけでなく、それを補完するような情報も一緒にきちんと伝えているはずです。また寄付をする側も、「メディアリテラシー」の考え方を用いながら写真や広告イメージを見て、それは何を意図するものでどんな目的があり、イメージにはどんな背景があるのかなどを読み解いてみると、団体の見えにくかった部分もはっきりしてくるかもしれません。

NGOは非営利で非政府

利益を追求する企業や、国益を優先する国とは異なり、NGOは支援先の地域社会やそこに住む住民たちの利益(問題の解決)を第一に考えて行動する組織です。最近では、企業の社会的責任(CSR)や国際協力の市民参加という考え方から、NGOと企業や政府機関がさまざまな部分で協力しています。しかし、非政府・非営利をモットーとする市民団体であるNGOは、企業や政府と一定の距離を置く必要があります。今月のNIジャパンの「日本からのレポート」の中で、国際協力NGOセンター(JANIC)の山崎事務局長は次のように述べています。

……寄付などの自主財源のみで活動することが非常に難しい日本では、これからも政府や企業との補完関係をベースとしたパートナーシップは不可欠なものとなるでしょう。どんな協力関係を結べるかはこれからも引き続き模索していく必要があります。ただ、パートナー関係を結びながらも、自らの信念と目的に沿って、はっきりものを言う団体、それがNGOであるということを忘れてはなりません。
(NIジャパン No.71 p10)

NGOが企業や政府機関と協力している中で、両者はどのような関係にあり、どんな影響力がNGOに及ぼされ、NGOは企業や政府機関と建設的に議論を重ねているのかなど、両者の関係やNGOの対応をチェックしてみれば、NGOとしての姿勢や独立性が見えてくるでしょう。

まずは情報収集から

さて、支援するNGOを考えるとき、実際にはどうやって情報収集をしたらよいのでしょうか。一番手軽なのはウェブサイトを見ることです。NGO関連のウェブサイトが載っている「Yahoo! Japan生活と文化」のNGO、NPO、ボランティアのページ、Yahoo!ボランティア、NGO情報のメールマガジン(Viva国際協力マガジンNPO/NGO Walkerなど)、各地のネットワークNGOなどのサイトをのぞいたり、検索エンジンに関心のあるキーワード(例えば、具体的な活動国名、活動分野、活動方法などを"NGO"や"国際協力"などという基本的な単語と組み合わせる)を入力して探したり、前出の各地のネットワークNGOへの問い合わせや、情報センターなどを併設しているネットワークNGOには直接出かけて行ってNGOのチラシや会報を見てみるといいでしょう。

NGOをいくつか絞ったら、できれば実際にNGOが主催する活動報告会や講演会などのイベントに出かけてみることです。イベントに参加すれば、団体や活動の基本的な情報が得られるだけでなく、会の雰囲気も何となく伝わってきます。そして、NGOのスタッフに直接話を聞いてみます。イベントでの質問だけでなく、休憩中やイベント前後にもひまそうな関係者をつかまえて話を聞いてみましょう。また、イベント後に交流会や飲み会を設けている場合もあるので、そのような場を利用すればより細かい話が聞けるでしょう。その時点で、自分が支援したい方法やかかわり方がすでに決まっていれば、それが可能かどうか直接聞いて確認してみましょう。そのほうが、後々になって期待していたことと違うというようなトラブルも避けることができます。また、特にボランティアやインターンを考えている場合には、スタッフだけでなく、イベント会場で手伝いをしているボランティアやインターンに話を聞いてみると非常に参考になるでしょう。

 

 


戻る