広告の妄想と企業の現実
(一部翻訳)

Beneath the gloss...
New Internationalist No.393
September 2006 p18-19

 

企業はどのようなイメージでどんな現実を覆い隠そうとしているのか

 

企業名:トヨタ自動車

広告費(2005年):7億3,500万ドル
売上高(2005年):1,730億ドル
利益(2005年):110億ドル
商品:ハイブリッドカー「プリウス」

●イメージ
テレビや映画では、「地球にとって良いニュース……低排出ガスで低燃費……。小さな一歩が踏み出す人類の大きな飛躍」と宣伝されている。

●現実
トヨタは世界第2位の自動車会社。そして、恐らく最も高い利益を上げている自動車会社だろう。しかし、いまだに労働者の権利を尊重していない。

<2005年>
ニカラグアの部品工場の労働者の賃金は、生活に最低限必要なレベルを下回っていた。労働者たちは、生活に必要な賃金を得るために1日16時間働いていた。(1)

<2006年春>
フィリピンのトヨタの工場では、労働組合の委員会が労働者の代表となることが投票によって決まった。しかしその後、労働組合の全委員を含む233人の従業員が解雇された。この事件の後、労働者たちは国際的な支援を求めて声を上げた。(2)

<兵器>
トヨタは軍用の軽車両(3)を製造している。米国国防総省の戦闘機開発事業には、トヨタが筆頭株主となっている富士重工業が参加している。(4)

<ちぐはぐな方針>
プリウスは、地球に優しい自動車として盛んに売り込みが行われている。しかし、トヨタの方針の中には地球に優しくないものもある。

・トヨタは、米国の大気浄化と省エネに関する法律に反対するロビー活動を行っている。ロビー活動によって、この法律の制定は10年間足踏み状態となっている。(5)

・カリフォルニア州(米国)のスモッグや気候変動に関する法律に反対しているトヨタは、環境保護キャンペーンに携わる人々から非難を浴びている。トヨタが2005年にカリフォルニア州で販売した車種の平均燃費は、1990年当時よりも悪化している。これは、販売車のラインアップに燃費の悪いSUV(スポーツ用多目的自動車)が加わったことが影響している。(6)

参考リンク:
<環境NGO共同声明>トヨタ等の日系自動車メーカーは、アメリカの温暖化対策の潮流を妨げるのはやめ、本当の「勝ち組み」路線を進むべき
(WWFジャパンのウェブサイト)

トヨタさん、これ「ECO」違反です。カリフォルニアで排ガス規制に急ブレーキ
(グリーンピース・ジャパンのウェブサイト)

 


企業名:スターバックス

広告費(2005年):8,770万ドル
収益(2005年):64億ドル
商品:カフェ

●イメージ
スターバックスの店舗では、フェアトレードのコーヒーを販売促進するためのディスプレーが目立ち、開発途上国の農民たちにもたらされる恩恵が説明されている。

●現実
フェアトレードはほんの一部:スターバックスはたくさんのフェアトレードのコーヒーを提供している。しかし、この企業の2005年の販売データによれば、販売された全コーヒーのうち、フェアトレードとして認証されたコーヒー豆が占める割合は3.7%にすぎない。全体の24.6%は、この企業独自の「coffee and farmer equity(C.A.F.E.)」という方針に基づいて仕入れられたコーヒー豆であった。しかしこのC.A.F.E.方針では、世界のコーヒー豆の価格が低い場合、生産者の生活に最低限必要な価格が保証されない。C.A.F.E.方針で仕入れている理由についてスターバックスは、フェアトレード認証団体が支援しているのは小規模な生産者が集まる協同組合だけなので、世界のコーヒー豆生産量からすればほんのわずかでしかないからだと述べる。しかし、変動の激しい世界のコーヒー豆市場にあって、フェアトレードが特別に保証している収入の安定化[訳注:世界市場の低迷によるコーヒー豆価格の下落が、生産者に影響しないようにする]がC.A.F.E.方針には含まれていないため、スターバックスは批判を浴びている。(7)

・スターバックスでは、フェアトレードのコーヒーを望む場合にはそれを顧客が指定する必要がある。店では、このような顧客に責任を転嫁した注文スタイルをとっているだけでなく、フェアトレードのコーヒーがメニューに載っていないことも少なくない。米国のOrganic Consumers Association(OCA)などいくつかの団体はこのような点を指摘し、人を欺くマーケティングを行っているとしてスターバックスのボイコットを呼びかけている。(8)

・スターバックスへコーヒー豆を納めている生産者の中には、厳しい労働を強いられている人々もいる。

<2001年>
スターバックスは、一部のクリスマス用商品の梱包に囚人労働者を使っていたことを認めた。(9)

<残酷なミルク>
スターバックスが牛用成長ホルモン(γBGH)を注射されている牛からのミルクを使用しているとし、OCAはボイコット運動を行っている。OCAは、「米国を除き、実質的にすべての先進国でγBGHを使用した牛のミルクの販売は禁止されている。γBGHを注射された乳牛のミルクは、人間と牛の健康に重大な危険を及ぼす」と批判する。牛の乳房は腫れ上がり、ミルクには高い割合で膿が混ざる。(8)

<大金持ち>
スターバックスのハワード・シュルツCEO(最高経営責任者)の給料の高さには驚くばかりだ(2005年は250万ドル)。(10) 彼はパレスチナの政策を非難し、2002年にイスラエルがパレスチナ西岸地区へ再侵略を行っている最中にイスラエルをたたえるスピーチを行った。また、西岸地区とガザ地区のパレスチナ人の居住権に全面的に反対するような複数の団体から賞を受けた。(11)

(1) National Labor Committee, July 2005, 'Arnecom auto parts workers in Nicaragua under attack'. (2) CSR Asia Weekly, 1 March 2006. (3) International Defence Directory 2004. (4) Defence Data Ltd, June 2005. (5) Greenpeace Business, November 2005. (6) What On Earth, Winter 2005 (Friends of the Earth Scotland). (7) The Guardian, 9 February 2006. (8) www.organicconsumers.org June 2006. (9) Seattle Weekly, 27 December 2001. (10) Forbes Rich List 2005. (11) William McDougall, 'Starbucks: the cup that cheers', ZNet, 11 July 2002.

 

*これらのケーススタディーは、「Ethical Consumer」誌のサラ・アーヴィングの報告です。
www.ethicalconsumer.org
www.ethiscore.org

 

 


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