海洋資源の可能性と限界

Plenty and Plunders
New Internationalist No.397
Jan/Feb 2007 p16

 

地球上のすベての生き物は、もともと海から生まれ、海のおかげで生きている。海の資源には限りがあるが、私たちは海からの寛大な恵みをひどく間違ったやり方で消費している。

有史以前から、海水の水分を蒸発させて塩の製造が行われてきた。中国や中東では、自然な油微(石油のしみ出し)を数千年前から利用してきた。中世の終わりごろの英国とオランダの沿岸部では、波の力を利用して小麦の製粉を行っていた。現在では、主に建設現場で使用される海砂や海砂利は、陸上よりも海で採取されたものの方が多い。

約30年前、鉱山業界は、深海に非常に大きな期待を寄せていた。当初は、深海の豊富なマンガン団塊が注目されていたが、その後は北海のような比較的浅い場所での石油とガスに関心が移っていった。 そして今日の商業採掘では 、北極から熱帯地方まで、3,000メートルより深い場所での作業も可能で、海底下7,000メートルほどの場所での石油採掘も可能となった。現在、石油とガスは年間60億トンのペースで消費されているが、この量は地球が生成するのにおよそ100万年かかる量に匹敵する。

海自身が持つ膨大なエネルギーは、いまだに有効活用されていない。その主な理由は、化石燃料が利用しやすく比較的安いからである。潮力の持つエネルギーの利用はほんのわずかだ。熱エネルギー(海の表面の暖かい海水と、深いところにある冷たい海水の温度差を利用する)を使ってタービンを回す技術は緒についたばかりである。

今のところ、最も幅広く人間が恩恵を受けているのは海産物である。しかしそれを得る方法は、ひと昔前とは異なっている。昔ながらの伝統的な漁法から、魚群追跡の衛星技術と巨大な網を駆使し、加工船まで従えた船団が地球上のあらゆる場所へ行くやり方へと変化している。たった1隻の加工船で、200トンのニシンを塩漬けにし、150トンの魚粉を作り100トンの切り身を冷凍にし、5トンの魚油を毎日作ることができる。人間が捕る早さに魚の成育は追いつけない。「混獲」(漁業対象以外の魚や海洋動物が捕獲されること)は、多いときは漁獲量の4分の1あまりに上ることもあるが、それは通常捨てられてしまう。そしてまた多数の哺乳動物と鳥が、網や針に引っかけられてしまう。

人間は、授かる海の恵みと同じくらいの勢いで海を汚している。毎年60億トン近くに上る一般廃棄物と100億トンあまりの下水汚泥が発生し、その多くが海に流れ込んだり捨てられたりしている。沿岸部では、「開発」という名の下に干潟とマングローブ林が破壊され、汚染と気候変動によってさんご礁の死滅が進んでいるのだ。


参考:『Encyclopedia of the Oceans』 (Oxford University Press, 2004)

 

 

 


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