南アフリカの村落女性運動の軌跡

Power surge
New Internationalist No.400
May 2007 p9

 

南アフリカの村落部に住む自立した女性たちについて。

「私は田舎者の貧乏な黒人で、しかも女なんです」。南アフリカのネットワーク団体、村落女性運動(RWM)の創設者シザニ・ングバネは言う。「私の母は、父や親戚の男たちから暴力を受けていました。そんな環境の中で育ったので、私がなんとかしなければとずっと考えてきました」。彼女の言葉の力強さからその信念がうかがえる。だが最も印象的なのは、彼女の生き生きした目の輝きと暖かみのある笑顔だ。それは、どんなことが起きても対応できそうな印象を受ける。

RWMには彼女と同じような力強さと自信がみなぎっている。RWMは、今ではクワズールナタールで500以上の住民組織を抱えるまでに成長した。

RWMが活動する上で基本としている原則は、女性の権利と生存を保障するために必要なことは、男性の親戚やパートナーからの経済的、政治的な自立であるということだ。女性の権利は南アフリカの憲法でも認められているが、現実はそれとは異なり、特に土地の所有権に関しては大違いである。「1995年に政府が土地改革プログラムを実施した時、土地の所有権を主張したのはほとんどが男性でした。これは、アパルトヘイト(人種隔離政策)の時代を通して、土地は『男の問題』であり『女の問題』は保健医療と子育てだと考えられてきたからです」とシザニは説明した。この問題をさらに悪化させているのが、土地の所有権と相続に関しては男性に有利な慣習的な決まりの存在である。女性たちはこの慣習法のため、離婚や夫との死別によって家族の土地から追い出されることもある。さらに悪いことに、周りの人々はたいていこのようなケースを「家庭内の問題」としてとらえる。このような問題を広く社会で議論する必要があるとシザニは考えた。「私たちは農村の女性ですから、ほとんどの場合声を上げることはありません。公的なミーティングで発言すると『手に負えない』女だと思われます。そのような行動はタブーでした」

実際、声を上げた女性はそのことが原因で夫から暴力を受けた。RWMメンバーの半分以上がドメスティックバイオレンス(家庭内暴力)の被害を受けている。RWMの示す解決策は、女性が社会の中で声を上げる能力を身につけるための支援と、地元選挙へ出馬するための支援を行うことである。また、土地から追い出された女性のための法的措置や、政府の差別的な政策への異議申し立ても行っている。

RWMの理念は極めてはっきりしている。シザニは、「自分たちのためになることをほかの誰かに代弁してもらう必要はありません」と力強く言った。このネットワークは数々の素晴しい成果を上げてきた。自分で仕事を始める女性たちを支援するプロジェクト、夫の死後に強制される夫の兄弟との望まない結婚に抵抗するメンバーの支援、土地所有権法草案への提言などはその一部である。

実際RWMの活動は非常に成功し、女性の権利のために活動するアフリカ中の団体と手を組み始めた。今年1月にナイロビ(ケニア)で行われた世界社会フォーラムでは、40を超える女性関連の団体が一堂に会し、戦略を話し合い知識と情報を共有し合った。グループ同士が刺激し合い、これまでなかった新しいキャンペーンでの協力を決め、アフリカの女性団体のさまざまなネットワークの連帯を促進した。シザニが興奮していることは端から見ても明らかである。彼女は、時代がようやく変わりつつあるその兆候を、はっきりと感じとっていた。

「女性たちが女性のためのミーティングに参加していること知って両親に暴力を振るっていた男たちが、今では女性たちが世界社会フォーラムに参加している間の子どもの世話を引き受けてくれるようになったのです」

ハイディ・バッハラム
www.rwm.org.za

 

 


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