ゼロカーボン社会への道 ― その現実と課題

・The need for zero
・Energy
・Food revolution

New Internationalist No.438
December 2010 p13

ゼロにする必要性 ― その事実 The need for zero - THE FACTS

大気中の二酸化炭素濃度は現在388ppm(体積比で100万分の1を表す)で、その結果すでに温暖化が進行している。
・今日の研究で徐々に影響力を持ち始めている科学者グループは、濃度を350ppmに下げることで地球温暖化の進行を食い止める十分な可能性が出てくるだろうと考えている。(1)
・NASA(米航空宇宙局)の科学者ジェームス・ハンセンは、もしも今後20年以内に石炭の使用をやめ、現在の石油とガスの埋蔵量だけを使用するとすれば、二酸化炭素濃度は350ppmに下がり、手に負えない気候変動の抑止が手遅れにならずにすむ、と推測する。(2)
・大規模森林伐採をやめ、世界の土壌からの炭素放出を防ぎ、メタンや亜酸化窒素(N2O一酸化二窒素とも呼ばれる)など二酸化炭素以外の温室効果ガスの排出を削減する必要もある。




エネルギー:その削減と再生可能な資源 Energy: reductions and renewables

CATによれば、1人あたり1万5,000KWhあまりのエネルギーでも快適な「先進国のような」生活を送ることが可能だ。(3)
・それは、既存の再生可能エネルギー技術だけで可能になるだろう。(4) エネルギーの専門家デヴィッド・マッケイは、再生可能エネルギー生産に大規模に取り組めば、ヨーロッパでは1人あたり年間で3万KWhを発電できる可能性もあると試算している。
・米国の場合、風力、水力、地熱発電だけで1人あたり年間2万2,500KWhの発電が可能とされる。
ゼロカーボン・ブリテンの報告書では、ウェールズ地方の広さ[訳注:宮城県と岩手県を合わせた面積に近い]と同等の海域に、高さ100メートルの海上風力発電機を13万基以上設置することが提案されている。
ゼロカーボン・オーストラリアは、カンガルー島の面積に匹敵する2,760平方キロ[訳注:大阪府の面積の約1.5倍]に12の太陽光集熱(太陽熱)プラントを建設することを提案している。




食料品改革 Food revolution

食品産業は、世界の排出量の3分の1から2分の1を占める。
・これには、化学物質と肥料の生産、土壌からの炭素の放出、農業でのエネルギー使用、輸送、加工、冷凍冷蔵貯蔵、農地開拓による森林伐採も含まれる。
・これらすべての影響は、大規模な工業化された農業と密接に関係しているが、小規模な有機農業や小農とは無関係である。
・コミュニティー主導の生物多様性を基本とした小農を支援する国際NGO、GRAINの試算では、世界の農地が全体的に伝統的な手法で管理されるように変われば、今後10年間にわたり毎年37億5,000万トンの二酸化炭素を大気から土壌に吸収させることができる。この量は、現在の世界の排出量の10%にあたる。(6)


出典:(1) James Hansen et al, 'Target atmospheric CO2: Where should humanity aim?', Open Atmospheric Science Journal, vol. 2, 2008; Johan Rockstrom et al, 'A safe operating space for humanity', Nature 461, 2009. (2) James Hansen, Storms of My Grandchildren, Bloomsbury 2009. (3) CAT's Zero Carbon Britain 2030 報告書では合計で1万3,000 KWh/年となっているが、英国は大量の工業製品を輸出しているためThe No-Nonsense Guide to Climate Change: the Science, the Solutions, the Way Forward, New Internationalist, 2011でダニー・シバーズが調整した数値。 (4) David Mackay, Sustainable Energy Without the Hot Air, UIT, 2009. (5) International Energy Agency. (6) GRAIN, Seedling special climate issue, 2009, http://nin.tl/grainseed

●このデータはNI英語版438号p13からの翻訳で、NI日本版126号p4に掲載しています。





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