ロイヤル・ダッチ・シェル
― 人々が気づかぬ間にこっそりと

Eight Great Greenwashers
一部翻訳

New Internationalist No.453
June 2012 p22-28

誌上では、持続可能、環境、グリーン、クリーンなどの言葉の意味をゆがめ、そしてその言葉を隠れ蓑にして利益を上げようとする8つの組織について取り上げた。オンラインリポートには、グリーンウォッシュ企業としてよく知られているシェルに関する分析を掲載する。

好ましい自己イメージ:
「我が社は、よりクリーンなエネルギーを供給すること、社会的利益を創出すること、社会的、環境的な配慮を我々のビジネスに統合することに取り組んでいる」

実際の活動を例えると:
ネズミの発生に悩まされているあなたに対し、その駆除を約束する害虫駆除業者。しかしその業者は、自分で毎晩あなたの家にネズミを放していた。

主要な事業:
石油とガスを地中から掘り出すこと。シェルは、石油換算で日量300万バレル相当を採掘している。今年初め、外国企業としては中国で初めてガスの水圧破砕法[訳注1]の契約を締結した。また、ぜい弱な北極での海底油田開発一番乗りも目指す。そしてカナダでは、先住民族の激しい法的対抗措置に遭っているにもかかわらず、2カ所でターサンド[訳注2]採掘地の拡大を図っている。ターサンドは、油にまみれた泥のようなもので、石油を生産するには非常に破壊的で高い汚染と大量のエネルギー消費を伴う抽出方法が必要である。カナダのターサンドを利用すると、それだけで人類に残された二酸化炭素排出の「許容量」の12%を使ってしまう可能性があり、徐々に高まる気候変動の混乱へ
さらに大きく近づくことになる[訳注3]。(*)

巧妙なやり方:
シェルは、今年3月にロンドンで行われた「圧力下にある惑星(Planet Under Pressure)」環境科学会議に講演者を送り込んだ。そこでエネルギー・アドバイザーのマーティン・ヘイグは、バイオ燃料と炭素回収への投資を通じ、いかにシェルが持続可能な(遠い)未来に向けて準備を進めているかを説明した。彼の講演の冒頭、聴衆の中から2人がステージに駆け上がり「グリーンウォッシュはもうたくさんだ」という横断幕を広げたこともあり、彼の発する言葉はいくらかそれを意識したものになった。

リオ+20への期待:
シェルは、「持続可能な開発のためのビジネスアクション(BASD)」のメンバーである。BASDは、環境に関する規制ではなく、自主対策を推進している。BASDは、「グリーン経済」を創出する上で最重要な要素のひとつが新しい技術だと考えている。

主要な出典:
Indigenous Environmental Network and UK Tar Sands Network, Get the Shell out of the Tar Sands
http://www.ienearth.org
http://www.no-tar-sands.org

出典:*詳細と計算内容に関しては、 http://dannychivers.blogspot.comを参照のこと。

訳注1:正式な英語としてはhydraulic fracturingだが、単にfrackingと呼ばれることが多い。これは、0.5%程度の薬品が含まれた大量の水を地層に高圧で圧入してガスを採取する方法である。もともと効率が低く高コストで採算が見込めない方法だったが、技術の進歩と天然ガス価格の上昇により採算性が向上した。米国のシェールガス採掘では、地下水汚染などの問題が起こっている。
訳注2:オイルサンドとも呼ばれる油分を含んだ砂岩のこと。この地層から油分を抽出して重質原油を生産するが、その抽出には膨大な水とエネルギーが必要になり、採掘地での環境破壊と二酸化炭素排出量増加という問題を抱える。詳しくは、NI日本版2010年4月号「ストップ! オイルサンド」を参照。
訳注3:出典にある英国オックスフォード大学の研究結果を参照したダニー・シーバースのブログによれば、人類が気候変動による混乱を避けられる可能性を75%とした場合、人類はあと約7,100億トンの二酸化炭素を排出できる。カナダに埋蔵されているターサンドを使用すれば、それによって約1,100億トンの二酸化炭素が発生する。



 No.453 Eight Great Greenwashers

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