偽りの財政緊縮政策
Austerity hypocrisy

New Internationalist No.464
July/August 2013 p20

債務で苦しむ南ヨーロッパ諸国には、緊急支援の条件として財政緊縮政策が課されている。しかし、軍事費の抑制を求める声はあまり聞かれない。

トランスナショナル研究所(TNI)の最近の報告によれば、ドイツ政府は、ギリシャなどに社会的な支出の削減を求める裏側で、軍事費削減に反対するロビー活動を行っているとのことだ。その理由は、ドイツの軍需産業とその産業界が抱える債務への危惧にある。軍事費は削減されているものの、そのほとんどは人員と賃金からなるもので、TNIが言うところの「子どもたちのおもちゃ」の削減によるものではない。

ギリシャのヨルギオス・パパンドレウ元首相の側近のひとりは、次のように語ったという。「『軍艦を買うか、さもなければ緊急支援をあきらめるかだ』とは誰も言わないが、もしそうすれば、彼らは支援にもっと協力的になる」

EU(欧州連合)の経済大国の軍需産業は、依然続く軍事支出により、競争の激化を感じつつも収益を増やしている。英国のデービッド・キャメロン首相やフランスのフランソワ・オランド首相などヨーロッパの首脳は、軍需産業の営業マンとして、人権状況に疑問符のつく国々にも売り込みを図っている。

<ギリシャ>
EUには数少ないGDPの2%以上を軍事につぎ込んでいる国である。報道によれば、フランスとドイツはギリシャに対し、国防費を削減しないよう圧力をかけたとされる。ギリシャが2002年から2011年の間に購入した兵器は、25.3%がドイツからで、12.8%がフランスからのものである

<スペイン>
2012年のGDPに占める軍事費の割合は1%未満であるが、スペインは軍需産業に対して膨大な債務を抱えている。2012年9月スペイン政府は、18億ユーロ(23億ドル)の未払い金を支払うため、特別な融資限度枠を設けた。

<ポルトガル>
2004年ポルトガルは、ドイツのジャーマン・サブマリン・コンソーシアムから潜水艦2隻を10億ユーロ(12億9,000万ドル)で購入する契約を結んだ。これは、同国で過去最大の兵器取引となった。この金額は、2023年までの国防費の4割を占めることになる。2011年には、ドイツのフェロスタール社の元マネジャー2人が、ポルトガルとギリシャの高官へ6,200万ユーロ(8,000万ドル)の賄賂を渡して有罪判決を受けている。

<イタリア>
2012年、イタリアは破綻の一歩手前だったが、それでもこの年は推定でGDPの1.7%を軍事支出に回していた。軍事費削減は実施されてきたが、予想通り人員削減が主なものだった。イタリアとドイツは軍備協力協定を結んでいる。

エイミー・ホール

出典:
-Frank Slijper, 'Guns, debt and corruption: military spending and the EU crisis', Transnational Institute, April 2013.
-SIPRI military expenditure database,
-Andrew Rettman, 'EU figures show crisis-busting arms sales to Greece', EUobserver.com, 7 March 2012
http://www.euobserver.com/defence/115513
-Helena Smith, 'German "hypocrisy" over Greek military spending has critics up in arms', The Guardian, 19 April 2012.



No.464 At the service of debt



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