消えた女の子たち ― その事実
Missing girls
- The facts

New Internationalist No.466
October 2013 p16-17

人間の出生時の男女の比(性比)は、通常女児100人に対して男児105人となっています。これは、男児は女児に比べて病気やけがなどで死亡する確率が高いため、多くの生物で見られる安定性比「1:1」に向けた人間の生物学的戦略です。このことは1930年にロナルド・フィッシャーが遺伝学的な理論で説明しています。

しかし現在世界の一部の地域で、この出生時の男女比が著しくゆがめられ、それによって起こる経済・社会に対する影響が危惧されています。

人口の抑制策と言えば中国の「一人っ子政策」が有名ですが、その中国は今週閉幕した第18期中央委員会第3回全体会議で、一人っ子政策の緩和を打ち出しました。

中国、一人っ子政策緩和へ 強制労働制度も廃止」(ウォール・ストリート・ジャーナル)

今回のNIミニリポートでは、このような中国の政策、産み分けるための技術向上、息子優遇意識などが世界の国や地域にどのような影響を及ぼしているのかデータで紹介します。1〜3の詳細と、"4. Effects"、"5.The Future"、"6.Action"についてはNI誌上でご覧ください。

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「消えた女の子たち ― その事実」

1.出生時の性比<1> (女児100人あたり)
生物学的な正常値:男児105人
非常に疑わしい値:男児110人
極端な値:男児150人(この「極端な値」は、中国中部やインド北西部の一部地域で見られる値である)

出生時の性比の推定値<1><2>(女児100人あたり)
中国全体:117.8人(2011)<1>
安徽省:128.7人(2010)
福建省:125.6人(2010)
香港:116.2人(2011)
台湾:108.4人(2009)
韓国:106.7人(2010)
日本:105.2人(2012)※
ベトナム:111.2人(2010)
インド全体:110.5人(2008-10)
パンジャブ州:120.3人(2008-10)
ハリヤーナー州:117.9人(2008-10)
パキスタン:109.9人(2007)
アゼルバイジャン:116.5人(2011)
アルメニア:114.9人(2010)
グルジア:113.6人(2009-11)
アルバニア:111.7人(2008-10)
モンテネグロ:109.8人(2009-11)
欧州と米国のアジア人コミュニティー:107-110人(2000-09)<2>

2.望まれない子どもたち
国連の最新の推測では、1億1,700万人の女児の行方が分からず、そのほとんどは中国とインドの子どもたちである。<1>

生物学的な標準からすれば、男児は女児に比べて弱く、死亡数が20%あまり高い傾向がある。しかし、女性差別が極端な国では、5歳未満の女児の死亡率が標準よりも高い。

3.男女の産み分けが増える要因とは?
主に3つの要因があり、複合的に作用している。
・息子を望む傾向
・性別診断技術の向上
・低い出生率

出典:
国勢調査、出生登録、人口統計調査、特別調査などを含む多様な資料を使用。
※日本のデータはNIジャパンが追加(出典:人口動態調査)
<1> UNFPA, Sex Imbalances at Birth: Current trends, consequences and policy implications, 2012.
http://nin.tl/1aMFbwq
<2> Christophe Z Guilmoto, Hanoi presentation, 'Sex Imbalances at Birth', revised 2011.
http://nin.tl/12p2bBy


No.466 Where have all the girls gone?



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