自分の意志と力で
(一部翻訳)
In our own words

New Internationalist No.467
November 2013 p24-25

素晴らしい回復力や適応性を見せ、勇気をくれるアフリカやアジアの目や腕に障害を持つ人々について、障害を持ったジャーナリストたちが報告する。
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その昔から視覚障がい者は、路上でのパフォーマー、ミュージシャン、アーティストになるのが当たり前だと考えられていた国。そんな国で、常識に挑んでいるコンピューター・サイエンスを学ぶ盲目の学生に、アヌープ・クマールが話を聞いた。
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「多くの人々が私に、科学を学ぶという選択は君の人生にとって最悪のものだ、と言いました」。こう語るのは、カルティック・サワニー(19)である。彼は、インドの中等教育課程で科学を学ぶことを許可された最初の視覚障がい者だ。「行政の教育部局から入学許可を得るのに8カ月かかりましたが、私は自分の決定を信じています。私は当時も今も科学に対して情熱を持っています」

ニューデリーに住むカルティックは全く目が見えない。彼はインドにおける第10学年(16〜17歳)終了後に科学を学ぶことを選んだ。「その一番の理由は本でした。私と友人はよく科学以外の授業をサボって図書館で科学の勉強をしていました」、と彼は熱心に語った。「多いときには、友人が一度に300ページあまりも声を上げて読んでくれて、あらゆる種類のテーマについて議論しました。私が丸ごとひとつのコンピュータープログラムを作り上げたのは14歳の時でした。そのプログラムは、私が通っていた学校の運営を手助けするためのものでした」

インドが経済的な発展を遂げるにつれ、人々は変化し、障害に対する姿勢も徐々に変わっていった。昔からインドでは、視覚障害を持つ人はミュージシャン、アーティスト、あるいは路上でのパフォーマーとして働くことが定めとなっていた。このことは教育制度にも表れており、目の見えない子どもたちは音楽や芸術のクラスをとることが推奨されていた。

「障がい者の教育は、主流派の教育議論の蚊帳の外でした」。こう語るのは、デリーを拠点に障がい児への教育を推進するNGO、アルス・アースサのラディッカ・アルカジである。「しかし、インドが「国連障害者権利条約」を批准し、6〜14歳のすべての子どもの教育がインドにおいて基本的な権利となる中で、ここ数年は障害を持った子どもの教育に力を入れるようになってきました」

障害を持った子どもたちは、法律の変更によって現在は公式に「ハンデがあるグループ」とされている。つまりそれは、私立学校の25%を障害を持った子どもたちのための特別枠とし、学校運営委員会にはその親たちが含まれなければならないということを意味する。

しかし、机上における進歩にもかかわらず、若者たちにこれらの変化が実際にもたらされるにはまだ困難があった。

「科学は物事を視覚化することですが、私は生まれた時から目が見えないため、それが非常に難しいことが分かりました」、とカルティックは言う。「例えば有機化学では、視覚化して発表することが求められます。そのため、私の研究を発表するためには独自のシステムを開発する必要がありました」

技術は彼を後押ししてくれた。コンピューターによって、彼らは目の見える学生たちとほとんど互角に競い合うことができた。また、試験の時にコンピューターを使うことによって、目の見えない学生でも他の学生による筆記の手助けなしに自分で回答ができるようになった。だがカルティックが直面した難問のひとつは、中等教育課程中央委員会である。彼らは、物理、化学、生物、数学の授業で非常に多くの図表や数式が使われるため、目の見えない学生が中等教育レベルで科学の勉強をすることは不可能だと考えていた。

カルティックは、最終試験を平均95.8%の結果で合格した。だがこのような結果にもかかわらず、インドの教育制度は依然として改革には消極的であった。彼は、インドのトップクラスの科学、あるいは技術系大学への進学が許可されず、入学試験すら受けさせてもらえなかった。

しかし米国のカリフォルニア州にあるスタンフォード大学はカルティックを歓迎し、コンピューター・エンジニアリングを学ぶ5年間のコースのための費用すべてをまかなう奨学金を支給した。

「本当にとてもわくわくしています。誰もが技術にアクセスできるようなプログラムを開発したいです。特に開発途上国の人々のためになるものを開発したいです」。彼は満面の笑みでそう語った。「障がい者が負担としてではなく、資産として考えられるようにしたいのです」

■アヌープ・クマールは、Leonard Cheshire Disability's Young Voicesプログラムに参加している。また、コミュニケーションの権利について取り組む団体Radarを通じて、市民記者としての研修を受けた。


No.467 We are able



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