フラッキング年表
Time line

New Internationalist No.468
December 2013 p10-11

素晴今回の特集号にある「フラッキングFracking」という言葉。日本ではあまり知られていませんが、「シェール」という言葉は聞いたことがある人も多いと思います。

もう3年前になりますが、NHKのBSで『ガスランド〜アメリカ水汚染の実態〜』という番組が放映されました。フラッキングやシェール、そしてその問題についてこの作品で知った方もいるかもしれません。
ガスランド〜アメリカ 水汚染の実態〜 前編(再)
ガスランド〜アメリカ 水汚染の実態〜 後編(再)

この作品は、2010年のアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞部門にノミネートされました。

フラッキングとは、Hydraulic Fracturing(水圧破砕)の通称です。これは、岩盤に高い圧力で砂や化学物質が含まれた水を送り込み、岩盤に割れ目を生じさせ、その岩盤の中に含まれている天然ガスや石油を採取する手法のことです。その対象となる地層がシェールと呼ばれる頁岩(けつがん)の地層です。

この技術自体は1940年代から使われていました。ただ当初は、一般的な石油や天然ガスの産出量増加のために行われていました。しかし1990年代終わりにフラッキング技術が進歩し、シェール層からのガス採掘が商業的なコストに見合うようになったことと、技術の進歩により採掘可能な範囲が広がり可採埋蔵量が増えたため、シェールガスが一躍脚光を浴びてブームとなり、「シェールガス革命」などともてはやされるようになりました。

採掘の仕組みや技術の歴史については、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構が刊行している「石油・天然ガスレビュー」の次の論文に非常に詳しく書かれています。

「水圧破砕技術の歴史とインパクト」
「石油・天然ガスレビュー」2011.5 Vol.45 No.35 p17-30 PDF

原発が停止して発電燃料の輸入費が増加している日本にとって、フラッキングによる米国やカナダの安いシェールガスは、のどから手が出るほど欲しいものです。しかし米国は、これまで安全保障上の理由でFTA(自由貿易協定)締結国など一部にしかシェールガスの輸出を認めてきませんでした。それが昨年、日本向けの認可が下り、2017年から輸出が始まる予定です。

このように日本にも無関係ではないシェール。光の部分ばかりが注目されがちな新技術や新しい資源の活用ですが、その採掘が地域と地球にさまざまな影響を及ぼしています。地下水汚染、地震、二酸化炭素排出量の増加、不正確な埋蔵量推定、住環境の汚染、住民の健康被害…。今月のNIでは陰の部分をしっかり伝えています。

今月は特別に、メイン記事のThe frack filesをNew InternationalistのウェブサイトからPDFで読むことができますのでご覧ください。
http://newint.org/blog/2013/12/04/frack-files/

オンラインリポートでは、導入としてフラッキングの主な出来事を示した年表の翻訳を掲載します。

●年表
1949年:オクラホマとテキサスの油田の産出量を増やすため、初期型の小規模な垂直掘削型破砕が実施された。既存の油井に油と化学物質が注入されたが、水平掘削は行われていない。
1953年:油井を刺激するために水が初めて使用された。平均的な作業では、2,800リットルの液体と180キログラムの砂が使われた。
1960年代:米国政府は、採取の難しい岩盤内のガスを採掘するための地下核爆発試験を行ったが、失敗に終わった。
1970年代:米国の油田において、大量または「大規模」な垂直掘削型破砕がより一般的になった。最大100万リットルの液体と50万キログラムの砂が既存の油井に注入され、産出量は劇的に増加した。
1980年代:テキサス湾岸では、他に先駆けて石油の水平掘削が実施された。
1991年:シェールに対する水平掘削型水圧破砕が初めて実施された。
1998年:ミッチェルエナジー社(現デボンエナジー社)が、「slickwater(水ベース圧入流体)」破砕の技術を開発し、シェール層における水平掘削型フラッキングのコストが大幅に低下した。
2001年:米国のディック・チェイニー副大統領(石油関連サービス会社、ハリバートン社の元CEO(最高経営責任者))が、フラッキングの恩恵を過大に、リスクを過小に評価した「エネルギー調査特別委員会」を主導した。
2005年:米国連邦議会は、フラッキングを水質汚染防止法と飲料水安全法の適用対象外とすることを採択した。チェイニーの関与によりできたこの修正案は、「ハリバートンの抜け穴」と呼ばれた。
2006年:カナダのブリティッシュコロンビア州でフラッキングが始まった。
2006-08年:米国では、フラッキングが全国に広まるにつれ、ガスの埋蔵量推定が35%増加した。現在は1カ所の「水圧破砕」で、最大1,900万リットルの水を使用するようになっている。
2007年:1パッド(採掘基地)から複数の坑井を掘るクラスター採掘が始まる。
2010年:フラッキングは、世界の新規の石油とガスの採掘坑井のうち、60%で使用されている。
2012年:国際エネルギー機関(IEA)の計算によれば、世界のガス供給の14%がフラッキングにより生産されている。

出典:
Carl T Montgomery and Michael B Smith, 'Hydraulic fracturing: history of an enduring technology', JPT, December 2010
CE Bell and others, 'Effective Diverting on Horizontal Wells in the Austin Chalk', SPE, 1993
Alex Trembath, 'US Government Role in Shale Gas Fracking History', The Breakthrough, 2 March 2012
Andrew Nikiforuk, 'Shale Gas: Myth and Realities', The Tyee, 7 January 2013



No.468 Fracking - The gathering storm



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