新しいキューバへ
A new Cuba
in the making

New Internationalist No.476
Octoberr 2014 p11

共産主義のとりでが、ついに資本主義にその扉を開いたのか? あるいは、全く異なる何かを試しているところなのか? 変化が起こっているこの国を、バネッサ・ベアードが探る。

キューバと聞いた時、たとえ行ったことがない人であっても、非常に極端なイメージが浮かんでくるだろう。

個々人の見方にもよるが、熱帯のこの島国はあまりにも象徴的に扱われてきた。

だが、誰もが同様に認めるのは、その特筆すべき生き残りの物語である。フィデル・カストロ率いる共産主義政府の後ろ盾であった旧ソ連崩壊後、キューバは数日ともたずに崩壊するだろうと誰もが考えていた。

そして23年後、わずかに若く小さいカストロの全盛期となってはいるが、共産党は現在も政権を保っている。

しかし、キューバは変化している。83歳のラウル・カストルの政府は、この国を様変わりさせる可能性がある311項目改革計画を実施している。彼は、兄のフィデルが2006年に病に倒れた時、その後を引き継いだ人物だ。この計画は、「革命を遂行するための生き残りをかけた計画」(1)と言われてきたものである。

さまざまな変化について、キューバ国外では「改革」と呼ばれているが、国内では公式には「更新」という言葉が使われている。言葉の意味としてはそんなに大きくないように思えるかもしれない。だが、政治的にはこれは重要なことだ。キューバ政府の主張によれば、現在行われているプロセスは資本主義になるためのものではなく、変化する世界の状況にキューバ社会主義を適応させ、その生き残りを確実にするためのものだという。

キューバ政府が変化の必要性を認識したのはそう昔の話ではない。何年もの間キューバの一般の人々は、行列、不足、しみったれた官僚主義、過度の規制、汚職、これまで一度も実現したことのないより良い生活等、日々の苦労と欠乏に打ちのめされてきた。約900万人が参加した2011年の一連の意見交換会では、市民の不満は大きく明白だった。

実務的できびきびとしたラウル・カストロは率直に述べた。これは、「歴史的に重要な世代」が過去の間違いを正し、革命を社会主義の発展としてその将来を確かなものにする最後のチャンスだ。過去の「教義」と「失敗した制度」は拒絶しなければならない。政治や行政上のエリートたちによる非効率と隠ぺいはもはや看過できない。

彼は、仲間と思われていた大臣たちを解任した。そしてこの若いカストルは、彼の党が「尊大な姿勢」と「無意味なスローガン」を好んでいることを激しく非難した。(2)

先日88歳になったフィデル・カストロは、彼の弟が着手した改革プロセスを支持していると言われる。革命の象徴である彼は、キューバモデルをまだ世界に広めたいか、というジャーナリストのジェフリー・ゴールドバーグの質問に対し口を滑らせ、次のように認めた。「キューバモデルは、私たちの国においてももはや機能していない」(1)

変革は着々と進行中で、今後数年間続くと見られている。

キューバでは多くの変化が目に付くようになっている。例えば、個人の自由が増えた。海外旅行、小規模な起業、家や自動車の売買、そして資金さえあれば外車の新車購入も可能になった。ただし、ヨーロッパで3万ドルで販売されている自動車が、キューバでは12万ドルである。

機能障害を起こしている国営企業は分割され、不要と見なされた仕事は順次削減され、土地(全て国有地)は多くの小規模農民に分配された。今年4月、海外の投資家の関心を引くよう政府は法律の改正を行った。

数少ない共産主義のとりでであるこの国に、この改革または更新は何をもたらすのだろうか? キューバは実際に白旗を掲げて資本主義に変わっていくのだろうか? 無料の医療制度や教育など、革命によって実現した社会的成果は存続できるのだろうか?

これは、一党支配の終わりの始まりなのか? 敵対する隣国である米国との関係はどうなるのか?

そして最も重要なのは、キューバの普通に人々は何を得ることができるのだろうか?

これらの疑問の答えを探しに、今号ではキューバを訪問して探った。

(1) Marc Frank, Cuban Revelations, University Press of Florida, 2013.
(2) Stephen Ludlam, 'Conference Proceedings', International Journal of Cuban Studies, Autumn /Winter 2012.



No.476 The New Cuba─Sell-out to capitalism or socialist update?(新しいキューバ?─資本主義に負けたのか、最新の社会主義なのか)


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