石油開発への抵抗
一部翻訳
A year
of oil resistance

New Internationalist No.477
November 2014 p16-17

世界中の地域で、コミュニティーに打撃を与えてきた石油の怪物たちに反撃が行われている。


パイプラインの夢(コロンビア)

2014年4月、ウワ先住民がコロンビアで2番目に長い石油パイプラインを1カ月以上にわたり封鎖した。これは、政府にとって1億3000万ドル以上のコストとなった。

ウワは、1990年代より石油採掘と闘ってきた。彼らは、自分たちがアマゾン熱帯雨林にある自分たちの土地の守護者であり、石油は「母なる地球の血液で、地球を殺してしまっては誰も生きていくことができない」と考えていた。国際的な支援の後押しを受けた彼らの反対は、2002年にオクシデンタル石油の石油採掘プロジェクトを撤退に追い込んだ。

そして現在、危機が再来している。今回は、国営石油会社エコペトロールである。ゲリラがカノ・リモン-コベナス パイプラインを爆破したため、ウワはその爆破された地域を封鎖し、パイプラインを修理させないという戦術に打って出た。

政府は彼らの要求に耳を傾けざるを得なくなったが、その代わりとして、彼らの土地に新しい油田とガス田を開発するための交渉を開始するよう軍隊の影をちらつかせながら圧力をかけてきた。エコペトロールとの間では、石油開発の一時的な差し止めで合意。そして5月1日にパイプラインは再開した。

ウワは、これで決着がついたとは考えていない。彼らの封鎖はエコペトロールの野望にブレーキをかけた。だが、石油会社を追い出して問題解決を図るのは長い闘いになる。そのための国際的な連帯を、彼らは呼びかけている。

補足情報:
ウワの暮らしと土地を守るためのアマゾン・ウォッチのキャンペーン


ゴリラをめぐる闘い(コンゴ民主共和国)

世界遺産に指定されているコンゴ民主共和国のヴィルンガ国立公園は、世界に残る880頭のマウンテンゴリラの4分の1が生息し、鳥とほ乳類の種類はアフリカの国立公園で最も多い。しかし、英国企業SOCOの石油開発のせいでそれが危機にひんしている。

国立公園内での採掘に反対する国内外の圧力が高まるにつれ、公園の労働者、地域の活動家、そしてNGOに対し、殺人予告、逮捕、暴力が増加した。ヴィルンガ国立公園のエマニュエル・デ・メローデ園長は、SOCOの活動について地域の検事に報告書を提出した後、胸と腹を撃たれたが、命はとりとめた。

資源や環境にからむ汚職や人権侵害を調査・報告するNGO、グローバル・ウィットネスは、SOCOと政府の間のひどい腐敗について報告をまとめた。そこには、SOCOに協力したコンゴの情報機関のある幹部職員が、園長をスパイするよう公園警備官にもちかけ、報酬数千ドルを提示した件や、地域の議員がロビー活動する見返りにSOCOから毎月報酬を受け取っていたという件に関する告発が含まれていた。SOCOは全て否定している。

以上のような状況にもかかわらず、石油採掘反対キャンペーンは成功だった。地域のコミュニティーグループは、公園内の石油採掘に対する抗議活動を行った。WWFの国際的な署名活動には、25万人が署名した。もうひとつTOTALという企業が石油採掘を考えていたが、ヴィルンガ国立公園に手をつけないようにという説得を受け入れ、それは非常に有効な前例となった。英国、ドイツ、ベルギー、欧州連合議会などいくつかの政府は、ヴィルンガ国立公園での石油開発に反対を表明した。

2014年6月、SOCOはTOTALに続き、世界遺産内では石油採掘をしないことに同意。しかしその一方でSOCOと政府の石油開発支持者は、世界遺産の指定を行うユネスコにロビー活動を行い、彼らが望む場所で石油採掘ができるようにするため世界遺産指定区域の変更を働きかけている。そして、反対キャンペーンは今も続いている。

補足情報:
今年11月にはドキュメンタリー『ヴィルンガ』がオンラインTVのNetflixで放映予定。グローバル・ウィットネスの報告書『Drillers in the mist』はウェブサイトで。


オイルサンドお断り(米国)

2014年7月、メイン州のサウス・ポートランドでは、オイルサンド[訳注]の石油を町に持ち込むことを禁止することを投票し可決された。オイルサンド業界は、この町を輸出基地として使うことを望んでいた。


芸術でブロック(カナダ)

アルバータ州のアーティスト、ピーター・フォン・ティーゼンハウゼンは、石油会社が彼の3.2平方キロメートルの土地にパイプラインを建設することを阻止するため、地面を彫刻で覆って地上高さ15センチメートルまでは彼の芸術作品として著作権を主張した。


訳注:タールサンドとも呼ばれる粘性の高い油分を含んだ砂岩のこと。採掘時の環境汚染と多大な二酸化炭素排出量、地域の土地収奪の問題などを引き起こしている。詳しくはNIジャパン2010年4月号を参照のこと。



No.477 Big Oil RIP?(石油時代終わりの始まり)


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