エボラ熱に対するNGOの適切な対応とは?
What is
the right response
to the Ebola crisis?

New Internationalist No.478
December 2014 p23

NGOは、危機に直面している国々が行う対応を台無しにするような、にわか作りの活動を行うことがある。NGOは、その国でずっと活動をするわけではない。

9月に行ったインタビューで、オリバー・ジョンソン医師はそんな批判を口にした。(*) ジョンソン医師は、シエラレオネの首都フリータウンにある政府の病院で、エボラ熱と闘うボランティアチームの一員として、以下のように述べた。


「NGOが、保健医療システムを乗っ取っています。内戦以降、国境なき医師団(MSF)と赤十字は、この国での活動を徐々に縮小させてきました。しかし現在は戻ってきて、保健医療活動を行っています。もしNGOだけに資金をつぎ込むのであれば、NGOが保健医療システムを2〜3年運営した後にいなくなってしまうという状況が再来します。つまり、シエラレオネ人が中心となって運営する強い政府主導の保健医療システムではなく、NGOの短期的なにわか作りの介入と援助によって運営される保健医療システムという、これまで避けようとしてきた状況に逆戻りすることになります」

「通常の保健医療サービスを維持し、医療スタッフの安全が守られ、彼らが死亡することのないようなシステムにするには、国際社会からの非常に大きな支援が必要です。病院に来る人々がきちんとした医療ケアを受けられるようにするには、医療スタッフが自信を持ち、それを維持していけるようにする必要があります。国のシステムと重複するようなNGOのシステムは、望んでいません」

「政府の病院では、その中で協力的に働くNGOが必要です。しかし多くのNGOはそれをためらっています」

本誌は、ジョンソン医師の主張についてMSFに尋ね、次のような回答を得た。

「ジョンソン先生の言うことは非常に的確だと思います。内戦が終わって10年以上が過ぎ、シエラレオネの保健医療システムは海外の支援を得ながらも、政府のリーダーシップの下で徐々に以前の状態を取り戻してきたと思います」

「シエラレオネの保健医療システムは、スタッフ不足だけでなく、彼らの低い意欲、不十分な管理、手袋や消毒薬などの不足等の深刻な問題がまだ残っているものの、少しずつ状況は改善されてきています。このような問題はありましたが、この国の状況は明らかに切迫した緊急状態ではなく、開発支援を行っていく状況にありました。緊急援助を中心に行う団体であるMSFは、今回のエボラ熱が発生するまでは、この国での最後のプロジェクトをシエラレオネ側に引き渡す準備をしていました。当団体は、いくつかの最も激しい戦闘が行われていた地域も含め、シエラレオネの国中で20年以上にわたり活動してきました。最近では、私たちは活動を縮小し、専門病院1カ所での小児科と妊産婦のケアだけを行ってきました」

「そこにエボラ熱が発生し、すべてを変えてしまったのです。この危機に対応するため、私たちはシエラレオネでの活動を強化し、特別治療センターを複数箇所立ち上げました。エボラ熱は、保健医療施設が感染源になってしまったり、流行を拡大させてしまったりしないよう防護のための厳格な対策と規制が求められます。エボラ熱管理センターの設置にあたっては、医療施設自体の汚染を避けるために、一般の保健医療サービスとは分けることが最善策です。そのため現在MSFは、ボーとカイラフンでそれぞれ35床と80床の独立型施設を運営しています」

「世界保健機関の支援を受けたシエラレオネの保健省は、20以上の特別センターを設置する計画を立てています。このような緊急事態の場合、できる限りの努力と意志で取り組んでいる政府でも、一国の政府だけで事態の収拾を図ることは不可能です。直接有効な効果をもたらすには、しっかりと組織化された専門性を持った団体がただちに介入する必要があります。シエラレオネの大統領自身が国際社会へ支援を呼びかけたのは、このような理由からです」

「トップニュースになるような人道危機では、これまではNGOが大挙して支援に駆けつけるような状況がありました。しかし今回の流行の現実を見ると、たくさんのNGOが活動に出発しようと待ち構えているといった状況にはありません。ほとんどのNGOは、対応力も専門性も持っていません。そのためMSFが、必要な場合は軍も含めて、国に対する支援をあちこちで模索するという状況になっています」

「ジョンソン先生の言う通り、国際社会からはもっと多くの支援が必要です。しかし、最も急を要することは、現実的、直接的な対応です。それは、資金援助と国の保健医療システムの強化だけでなく、すぐに治療できる体制を外から持ってくることなのです。優先すべきことは、できるだけ多くの命を救うということです。重複したシステムができてしまっても、それが必要な時期なのです」

「実際、保健医療システムの強化に集中していたら、国際社会による迅速で適切な対応の妨げになっていたかもしれません。つまり、病気の流行が悪循環に陥り制御できなくなり、多くの支援国が消極的になり、崩壊する保健医療システムの支援には技術提供と助言で間接的な協力を申し出て、消耗する保健医療スタッフの強化と応援には結局手を出さないという事態になっていたかもしれないのです。国際社会からの支援は、エボラ熱の流行や他の危機に対応してきた地域の保健医療システムだけに投入されてきましたが、今では多くの人々がこのことは正しかったという確信を持っています」

「しかし、保健医療サービスにおける格差を早急に埋め、エボラ熱によって出てくる新たな要望、あるいは悪化する事態に対応する必要があります。負荷がかかっているぜい弱なシステムへの支援に『手を出さない』ことは、システムの崩壊を防ぐには不十分で、逆の効果をもたらす可能性もあります。今、重複するシステムを作ってしまうことが不適切であろうとなかろうと、それは緊急の問題なのです」

インタビュー全編(英語)はこちらのウェブサイトで閲覧できます。




No.478 The NGO chargesheet(NGOへの疑問)


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