再生可能エネルギーに関する
世界の良いニュース、悪いニュース
(一部翻訳)

From best to worst:
renewable energy
around the world

New Internationalist No.480
March 2015 p16-19

<インド:暗闇に浮かぶ灯台>
ビハール州では、8割以上の人々が電気のない暮らしをしているが、ダーナイ村はそんな8割から抜け出した村である。2014年、それまで30年間まき、牛糞燃料[訳注:円盤状に天日干しした牛のふん]、灯油に頼ってきたこの村で電気が使えるようになった。これは、環境NGOのグリーンピース・インドが、太陽光発電によるマイクログリッド[訳注:小規模な地域内で電力を供給する地域のインフラによる送電網]を設置して可能になったものだ。村内の450世帯、50社、街灯60本、学校2カ所、保健センター1カ所が現在この送電網と接続され、2,000人以上に24時間電気を供給している。この100キロワットのシステムと蓄電池は、20名から成る村の電化委員会が管理している。この委員会は、委員の最低25%を女性するという女性枠を持ち、村内のさまざまなカーストの代表者も含まれている。電気料金は、人々の手が届くよう十分低くしつつも、村人をエンジニアとして研修、雇用するための費用なども含んだシステム運用・保守コストをカバーできるよう、電化委員会が料金を決めている。
http://nin.tl/indiamicrogrid
参考動画:「グリーンピース・インド、過去30年電気にアクセスのなかった村にマイクロ太陽光発電を導入」
https://www.youtube.com/watch?v=QMTe5H7wX2s

<ノルウェー:成功だが失敗の新制度>
電気自動車に関する新しい制度があまりにもうまくいった結果、良いニュースと悪いニュースが聞こえてくるのがノルウェーである。2013年、電気自動車購入時の購買・付加価値税が免除となり、さらには充電施設使用料の無料化、通行税免除、家庭に充電設備を導入する場合の補助金、バス専用レーンの通行も許可され、電気自動車は爆発的に売れた。2014年のノルウェーでの自動車販売数のうち、13%近くを電気自動車が占め、今では町中で走っている車の1%が電気自動車となった。新しいクリーンな技術の車が急速に普及したことには実に励まされるが、一方でその結果には疑問が残る。普及が予想よりもはるかに多く急速だったため、バス専用レーンは電気自動車で渋滞し、社会的な負担が予想よりも大きくなった。この制度と同じ費用を電気バスに投資すれば、二酸化炭素の排出量を減らして渋滞もひどくならなかったのではないかという批判もある。今回のケースは、既存の持続不可能なシステム(各個人の自動車の所有など)の変更を実践するのではなく、現状に合わせた制度にする場合の教訓である。

<英国:破壊者の名はドラックス>
北ヨークシャーにあるドラックス発電所は、英国で最も多くの石炭を使用する発電所だが、現在は世界で最も多くの木を燃やす発電所でもある。ドラックスは、6基ある発電設備のうち1基を木質ペレットで発電するものに改造した。現在では、年間500万トンのフレッシュな「環境に優しい」木をペレットとして燃やしている。これは、英国の年間の木材生産量の半分に等しい。ドラックスの木質燃料は、現在は米国とカナダから輸入されているが、その輸入元の地域はペレット生産のために手つかずの森を大規模に伐採していることで悪名高い地域だ。このような発電は、どんな理由をつけても「再生可能」と考えることはできない。これは、循環ではなく、発電所に投入するために森林を破壊するという一方通行の流れである。このような状況にもかかわらず木質燃料発電所は、北米やヨーロッパにおける政府の目標や補助金によって支援され拡大傾向にある。ドラックス自体は、木質燃料の投入量を3倍にし、最大で英国の木材生産量の1.5倍程度にしたいと考えている。あいにくEU(欧州連合)の規定では、いかなる供給源でも木であれば「低炭素」として扱われるため、ドラックスのような石炭火力発電所でも、一時的に木質燃料に切り替えれば排出量削減として主張することが許されてしまう。そして、堂々と石炭と森林の両方を燃やすことが、本来許可される期間よりも長い間認められてしまうのだ。
http://nin.tl/globalforest-drax

<ブラジル&マレーシア:ダムの国>
持続可能なエネルギー源にとって熱帯地方の巨大ダムは、間違いなく史上最悪のライバルである。大規模な立ち退きを引き起こし、居住環境を破壊し、下流に位置するコミュニティーの暮らしや水を奪ってしまうが、そのくらいの悪事ではまだ足りないらしく、気候にも悪影響を及ぼす。植物の宝庫である広大な森林を水没させ、それが徐々に腐ることで膨大な量のメタン(非常に強力な温暖化ガス)が発生する。最近の研究では、熱帯地方のダムは石炭火力発電所よりも気候に悪影響を及ぼす可能性があることが指摘されている。それにもかかわらず、巨大ダムプロジェクトは世界中で推進されている。悪名高きブラジルのベルモンテダムは、数十年にわたる先住民と国際NGOからの反対にもかかわらず、2015年に工事が完了する予定である。それにより、ブラジルの熱帯林1,500平方キロメートルが水没し、最大で4万人が強制移住させられる。

一方マレーシアのボルネオでは、闘いは今も続いている。ケンヤ、カヤン、ペナンの先住民たちは、1,600平方キロメートルにわたる熱帯林と彼らの住まいを破壊するサラワク州で計画中の12のダムに抗議するため、道路や建設現場を封鎖した。この闘いは勝利する可能性もある。チリでは2014年、国中で抗議が起こり、パタゴニアのアイセン川に計画されていた5つの巨大ダムの建設を、政府も中止せざるを得なくなったという前例がある。
http://nin.tl/borneostopdams

<米国:非合理的なトウモロコシの活用>
米国は世界最大のトウモロコシ生産国で、その生産量は中国とブラジルの生産量を合わせた規模に匹敵する。現在、その膨大な生産量の40%がエタノールとなり、米国の自動車の燃料に混合されている。米国のトウモロコシのうち年間1億トン以上(EU(欧州連合)全体の年間収穫量のほぼ2倍に匹敵)が、人間ではなく車に与えられているのだ。これは、2005年に米国議会が定めた米国のガソリンの10%をエタノールに置き換えるという目標の結果である。この膨大な食料の燃料への転用によって得をしているのは、エタノール製造業者と米国のトウモロコシ農家だけである。これによって食料価格が上昇し、その影響は世界の飢餓をより深刻なものにしている。また、気候にもたらす恩恵は、大目に見ても疑わしいものだ。トウモロコシ栽培からエタノール精製までに必要なエネルギーや化学物質を考えれば、トウモロコシ由来のエタノールはガソリンと比べても温室効果ガスはわずかに低い程度である。農業生産のシステムから膨大なトウモロコシを取り出し、国際的な食料供給量を減少させ、それはまたどこかで新たな農地の開拓につながり、森林と湿地の消滅をもたらす。つまり、いわゆるILUC(間接的土地利用の変化)が起こる。これらのことを考慮すれば、トウモロコシのエタノールは化石燃料よりも気候に悪影響を及ぼしていることも考えられる。エタノールは、石油価格の下落により、米国の消費者にとって低価格の燃料でもなくなっている。この1月米国上院議会では、ガソリンへのエタノール混合制度を廃止するという新しい提案が提出されたが、十分な支持を集めることができなかった。
http://nin.tl/corncrackers




No.480
Renewable energy(再生可能エネルギー)

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