賞賛されるノルウェーの投資引き揚げ
Norway
- Divestment glory
New Internationalist No.484
July/August 2015 p9
気候キャンペーン活動家らはこの6月、世界中で歓喜に沸いた。それは、ノルウェーの政府系ファンドが石炭関連で投資していた資金を引き揚げるというニュースが飛び込んできたからだ。その引き揚げ規模は、化石燃料分野で決まった中では今のところ最高額となる。

6月5日ノルウェー議会は、最も汚染がひどい化石燃料である石炭を採掘・燃焼している分野への投資88億ドルを引き揚げることを全会一致で可決した。

市民社会組織は、12月にパリで行われる気候変動会議に向けた、さい先の良い重要な一歩として歓迎した。

国連が後押しする「化石燃料をなくす」キャンペーンは、投資家に対して炭素集約株の売却を説得するためのキャンペーンである。これは、石炭、石油、ガスの埋蔵量が安全に燃焼できる量の何倍にも上ることから行われている。

このキャンペーンはわずか3年間で、フランスの保険会社アクサ(炭素まみれの投資50万ドルを6月に処分)、スタンフォード大学、英国国教会ほか多数の年金基金、国や町の評議会など主要組織を説得した。

ノルウェーの政府系年金基金であるグローバル(GPFG)は2016年1月1日までに、石炭関連収入が30%を超える企業(現在の推測で122社)から資金を引き揚げる予定である。

キャンペーン活動家たちはノルウェーの決定を歓迎する一方で、基金の9,000億ドルに上る資金が北海の石油とガスという別の化石燃料の輸出によって捻出されていることにも黙ってはいない。

「ノルウェーの決定を導いた倫理的な指針は、ノルウェー自身の化石燃料採掘の中止に使われなければならない」。国際的な投資引き揚げ運動を促進する350.org[訳注:気候変動に関する国際的なキャンペーンネットワーク]のニコロ・ウォゼウォーダは述べた。「石炭は、最も汚染がひどい排出源です。しかし、石油とガスは気候変動危機の解決策ではありません」

「王様だった石炭がその座から滑り落ちる今、私たちは大規模な石油とガスに向かうべく背中を押されています」

byヘーゼル・ヘーリー


廃棄するなかれ
Waste not…
New Internationalist No.484
July/August 2015 p9
フランスは、スーパーマーケットが売れ残った食料品を廃棄することを禁じ、慈善団体に寄付するか動物のえさとして提供することを法律に定めた。この法律は、フランスの710万トンという食料廃棄量を2025年までに半減することを目標に作られたものだ。欧州連合(EU)では、依然として英国の廃棄量が毎年1,200万トンと最大である。


オルタナティブへ歩むための現実
What should we
stand for?
New Internationalist No.484
July/August 2015 p27
オルタナティブを信じている人々にしてみれば、人類にとってより魅力的な未来(持続可能な生態系をベースとした、人間が集団として生き延びる可能性をもたらすもの)に向かうアイデアを推進する以外に選択肢はない。そうしなければ、私たちの抗議活動は無駄であり、単に現在の制度を否定するだけの行動になる。そして、一般の人々が抱く懸念や関心からかけ離れた夢想家、あるいは反対論者と見なされてしまう。

これは、全くお門違いの批判ではない。根本的な変革を求める急進的な人々は、しばしば独自の文化的流れの中に身を置く。そして彼らは抽象的な「一般の人々」に対しては強い思いを抱き続けながらも、実際の人々に対しては大量消費主義に走る中流階級といった偏見を持ち、せっかちに否定的な評価を下す。私たちもまた、子どもの宿題について心配したりショッピングモールで特売品を探す人々に対して、政治的意識のわずかな違いやプライドによるこだわりが心に引っかかることもあるだろう。私たちは、抗議だけによる政治反対活動を超えて、実行可能で魅力的なオルタナティブを「提案すること」を実際に始める必要がある。

手始めに、私たちの成長中毒を考え直し、徐々に人々が「脱成長」と呼ぶようになってきている政策を受け入れるのが良いだろう。脱成長は多次元的な概念で、単にGDPの減少という規模縮小だけでなく、経済に完全に支配されている私たちの生活をその支配から脱却させることにつなげるものでもある。それは、より重要な脱中央集権的な形式で、社会的公平性と民主主義の再活性の推進を目指すものだ。

この限りある世界で、無限の成長が不可能なことは言うまでもない。これは、すべての急進的な環境保護主義がその根幹で共有している考え方だ。この世界では、水や豊かな土壌から、現行の市場中心システムの下での人間らしい仕事の創出まで、すべてのことが成長の限界にどんどんと近づいている。私たちは「生き残るための進歩」という状況に、徐々に追いやられている。繁栄と幸福な生活をもたらすはずのものが、地球上の生命をますます不安定にしていく。この「安定の不足」は、日常の経済から人間を支える生態系全体の仕組みにまで広がっている。成長マシーンは、依然として途方もない富を最富裕層にもたらしているが、自らを「中流」と考えている人々であっても受け取る富は以前よりもずっと少なくなっている。

では、脱成長政策の基本はどのようなものなのだろうか。それは、物質的成長は「足るを知る経済」に置き換えるべきという考えもとにした、まさに経済民主化のプログラムである。またそれは、直接的影響を最も受ける労働者や地域コミュニティーが、民主的にもたらされた公益の概念の一部として、公共という観点から経済的判断を下すべきだと主張する。以下に、いくつか基本原則を紹介しよう。

・生活の質については、消費物資の量よりもむしろ楽しい文化と人間関係に重点が置かれる。
・意思決定、エネルギー、農業システム、ゴミの廃棄/再利用/リサイクル等々、すべてにおいて地域を優先する。その目的は、理にかなったレベルで可能な限り高い自給自足を達成することである。
・ダウンシフト(個人と地域の環境負荷の削減)をする。
・生態系や社会に害をもたらすような仕事をなくすため、労働時間の削減を進める。そして、コミュニティーでのボランティアの機会増加を支援するために、すべての人を対象としたベーシックインカムを導入する。
・脱成長が公平に起こるよう資源を民主的に分配する。これは、現行の対策を置き換えるものになる。現行の対策とは、緊縮政策を通じた経済危機と欠乏への対応だが、非富裕層は公的支援に大きく依存しており不公平な影響を受けている。
・都市のスプロール現象[訳注:都市が中心部から周囲に無秩序に広がっていくこと]などのエコでない生活様式を大幅に減らし、地方と都市の間の人口格差を縮める一方で、サービスの効率性を確保するために、十分な人口密度を保つ都市計画を促進する。
・地方への分散と直接民主主義を通して、政治活動を活性化する。これには、住民が構成する議会、職場の民主化、住民投票に加え、市民参加を最大化してプロの政治階級の出現を妨げる裁判員制度の創設も含む。

成長中毒の資本主義は迷路に例えると分かりやすいかもしれない。その迷路の中で、常識的な出口を探しながら、人間が生き延びていくことを可能にするような持続可能な暮らしを作り上げていくのである。

今月号のNIでは、資本主義に対して過去に示されたオルタナティブな考え方の歴史、いくつかの行き詰まり、失敗、取り込まれてしまったケース、より悪い方向に変化した例を説明した。

しかしまた、残されたわずかな可能性が将来のオルタナティブにつながることを私は望んでいる。そのわずかな可能性はさまざまであり、それに伴う多様な価値は能力のある人々にとっても容易に扱えるものではない。根本的な改革主義(資本主義以前の経験と、そして価値観の尊重から導かれたもの)を修正した考え方は、私たちが身の丈に合った生活を送る助けとなるだろう。ユートピア主義は、伝統的な左派からは軽く見られているが、未来をより自由に考える上では役立つ可能性もある。コモンズ(公共財)の根本的な再評価もある。ただ、単に自己主張するのとは異なる自治の本来的なやり方(最近ではラテンアメリカで起こっている)もあり、そこから私たちは政治階級の自己保身を超える政治への希望を持つことができる。

以上のようなこれまでのやり方は、創造的に共存するよう変わっていくことができるのだろうか? 共存の道は、それぞれの関係者が言うように、歩んでいく中で作られていくのだ。




No.484 Capitalism - A guide to viable alternatives(資本主義のオルタナティブを求めて)


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