Noとは言えない
米国はいかにしてイラク大量破壊兵器査察の国連決議を手に入れたのか
Can't say no
(New Internationalist No.352
December 2002 p8)

2002年11月の国連安全保障理事会で、米国が提案したイラク大量破壊兵器査察の決議案が満場一致で採択された。これは、理事会のメンバー各国への少なからぬ政治・外交的圧力により達成されたものだ。

国連安全保障理事会は、拒否権を持つ常任理事国5カ国(米国、英国、フランス、中国、ロシア)と、2年の任期で交代する非常任理事国(2002年11月当時は、カメルーン、ギニア、モーリシャス、ブルガリア、コロンビア、メキシコ、シンガポール、ノルウェー、アイルランド、シリアの10カ国)によって構成されている。決議案採択にあたっては、拒否権の発動がなく、さらに最低9票の賛成票が必要となっている。この時米国は、最悪の場合、フランス、中国、ロシアの棄権という可能性を想定していたため、これら非常任理事国、中でも経済または軍事、もしくはその両方を米国に頼っている国々に圧力がかかった。

投票前の週には、モーリシャスのジャグディシュ・クーンジュル国連大使が一時本国に呼び戻されたが、それは彼が、モーリシャスがこの決議案に前向きでないような誤解を与え続けたからだった。この決断をモーリシャスが下した背景には、1990年にイエメンに降りかかった次のような出来事があった。当時イエメンは、イラクをクウェートから軍事力で追い出すという米国が後押しした安全保障理事会での決議案に対し反対票を投じた。その結果米国は、対イエメン援助7千万ドルすべて削減という決定を、ほとんど一晩のうちに下したのだ。

米国は、「アフリカの成長と機会に関する法」に基づき貧困国へ援助を行っているが、その総合政策として、「米国の国家安全保障または外交政策・国益と矛盾するような活動に関わらないこと」を被援助国に要求している。だが、圧力を感じていたのはこの法の恩恵を受けているモーリシャスだけではない。以下のような経済・軍事的支援を受けている様々な国々が、矛盾として非難される事に戦々恐々としていた。

コロンビア
・世界の主要コカイン生産国のひとつで、米国市場への有力なヘロイン供給国でもあるコロンビアは、「国際的な麻薬に関する統制と捜査」のプログラムにより、3億8千万ドルの助成を2002年に受けた。

メキシコ
・コロンビアと同様のプログラムにより、2001年に約1千万ドル、2002年には1,200万ドルを受け取っている。さらに、「米国経済支援基金」から2,820万ドルを受け取っている。

ギニア
・2001年、軍事支援300万ドルを受け、2003年には2,070万ドルを開発援助として受け取る予定。

カメルーン
・米国から余剰武器を無料で支給された上、年間250万ドルの軍事教育・トレーニング費用を受け取っている。

ブルガリア
・2001年は1,350万ドル(そのほとんどは米国の兵器システム購入に使われた)を受け取る。「東欧民主化支援」(SEED)プログラムからは6,900万ドルを受け取った。

シリアを除けば、シンガポールが唯一米国から経済・軍事的援助を受けていない安全保障理事会メンバー国である。だが、米国はシンガポールにとって最大の武器供給国だ。その東南アジアの国々に米国は、2001年6億5,630億ドル分の武器を売却し、2002年の売却額は3億7千万ドルに達するものと予想されている。

文:シャリフ・デーン(IPS)の記事の要約


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