2008年9月号

NI No.415 & NIジャパン No.103

プラスチック・ビジネス─健康・環境・バイオ資源の問題
Drowning in plastic - Living in a toxic world

  私たちの生活のあらゆる部分まで広く深く浸透している素材、プラスチック。その便利さや手軽さの裏には、製造から廃棄までさまざまな問題が横たわっている。特に健康と環境においては、環境ホルモンや発がん性物質など、まだはっきりとは安全が確認されていないグレーゾーンの物質が多数含まれている。また、環境にやさしい部分ばかりが注目を浴びるバイオプラスチックの中にも、特定条件下でしか生分解が促進されない問題、原料作物の問題(世界の食料危機への影響、GM作物や合成生物の使用)などを抱えているものがある。はたして、口先だけで健康や環境のことを論じる企業が展開するプラスチック・ビジネスは、どこからどこへ行こうとしているのか。


 

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● NI No.415 目次 ●


(本文は英語です)


*<NIJ>の表示がある記事は、NIジャパンに翻訳が掲載されています。


2 読者の声

4 有毒物質あふれる世界<NIJ>
家の中や職場から、私たちが吸い込む空気や食べる食料まで、実はそれが潜んでいる。本来の自然の仕組みや姿を変えつつある有毒な化学物質とその影響について報告する。

8 ポリマー革命 ─ プラスチックの歴史<NIJ>

約150年前のパーキシンから今日身の回りにあふれている素材まで、その歴史をコンパクトにまとめた。

10 ボトル入り飲料水の環境インパクト

世界中で消費量が伸びているボトル入り飲料水。石油を原料とするプラスチック製ボトルを使い、その製造・廃棄にまつわる問題のみならず、地下水くみ上げで起こる問題、ボトリング地から消費地への遠距離輸送のためのエネルギーと二酸化炭素排出の問題なども起こっている。ナチュラルでヘルシーなイメージで売る飲料水のスキャンダラスな現実を探る。

12 プラスチックは永遠に ─ その事実<NIJ>
世界では、どんな用途でどのくらい多くのプラスチック類が使用され、それはどんな影響を及ぼしているのだろうか。さまざまなデータから見てみよう。

14 待ったなしの海ゴミ対策
きれいな砂浜と海が広がるハワイ。しかし、そんな私たちのイメージを裏切るような、プラスチックの破片が大量に打ち上げられ、その小片が砂と混じり合ってしまった砂浜も現れている。アルガリータ海洋研究財団の調査船アルギータ号が、ハワイからロサンゼルスまでの1カ月の調査航海に出た。ここに取り上げたその時の乗組員の記録を見れば、プラスチックによる海ゴミの深刻な状況は明らかである。

17 バイオプラスチックは本当にグリーンなのか<NIJ>
プラスチック業界では、石油価格が上昇するにつれ、プラスチックの原料を植物にシフトさせる動きがある。しかし、バイオ燃料の増産で世界の食料事情が悪化し、プラスチック用作物による遺伝子汚染や環境汚染が懸念されるなか、その動きはとても見過ごせるようなものではない。

20 少しでも汚染リスクを減らすために<NIJに一部翻訳>
毎日の生活の中で私たちにできることはあるのだろうか。



【Special Feature】

21 何かがおかしいカンボジア法廷
外国の資金援助によって国際法廷が設置され、人々が首を長くして待っていたクメールルージュの元幹部5人を裁く裁判が始まっている。しかし、何かがおかしい。裁く側は、裁きを下す悪者を限定するだけでなく、罪を犯した人間ではなく考えを裁こうとしている。はたして、そこにはどんな問題があるのだろうか。





25 世界のニュース
「クリーンな石炭」のうそ(グリーンウォッシュ)/「領土、自治権、尊厳……、石炭なんかいらない」(先住民の権利)/石炭依存からの脱却(中国)/石炭開発とデモ(バングラデシュ)/ほか

28 ビッグバッドワールド(風刺漫画)
ピークオイルの曲芸。

29 社会を揺さぶる人々
紛争と飢餓ばかりが注目を浴びるアフリカで、前向きなエネルギーとメッセージにあふれる歌詞を西アフリカテイストの音楽にのせて発信するセネガルのミュージシャン、ユッスー・ンドゥールのインタビュー。

30 ミクスト・メディア
本・映画・音楽の紹介

32 南の国からの一コマ
アースワーク2008マンガコンテストの入賞作品。

34 エッセー:退職前にすべきこと
ブッシュ大統領の日記はきっとこんな感じなのだろう。作家、活動家、アナウンサーとしても活動するステファン・サイマノウィッツが想像を膨らませる。

36 世界の国のプロフィール:ボツワナ<NIJ>

● NIジャパン No.103 目次 ●

(本文は日本語です)

 


A5判・モノクロ・48ページ
定価(本体600円+税)

ISBN978-4-8113-0241-6


2 イントロダクション ─ 不安解消につなげる客観的事実の扱い方


4 有毒物質あふれる世界(NI p4-7の翻訳)


私たちが住む世界には、石油化学製品があふれている。プラスチックから殺虫剤まで、石油からできている物は今日の生活に欠かせない。しかし私たちは、これらの有害な物質をまきちらしているつけを払わされているのだ。その現状をウェイン・エルウッドが報告する。

  「ここに来る度に、悲しみと怒りが体中を駆けめぐります」とロンが言った。「それがどういうことなのか、言葉で表現することはできません」
 カナダのオンタリオ州にあるサルニアは、「化学工場が集まる谷」である。そこを3時間近く視察した私たちは、ようやくロン・プレインのジープから外に出た。ロンはこれを「汚染地帯視察ツアー」と呼ぶ。彼は何十回もこのツアーを行っており、手慣れたものだった。このほこりっぽいサルニアは、7万人が住む労働者の町で、米国のデトロイトから北へ約100キロ、セントクレア川の最上流のカナダ側に位置する。この川は川幅が広く、流れも早い。この自然の水路は、ヒューロン湖と南にあるエリー湖、そして東にあるオンタリオ湖を結んでいる。
(中略)

出生性比の変化

 環境NGO「エコジャスティス」の調査によれば、これらの工場が2005年に大気中に排出した汚染物質は13万1,000トンを超えている。この有毒物の量は、サルニアとチピワ居留区の住民1人あたりに換算すると1,800キログラムとなる。(1) この大量の有毒な化学物質によって、アームジナーンと地元の人々が多岐にわたる深刻な健康被害を被っていることが徐々に明らかになってきている。サルニアの職業健康クリニックが2004年から2005年にかけてコミュニティー全体で行った調査では、腎臓や甲状腺の疾患、そしてがんが広がっていることが分かった。ぜんそくがまん延し(アームジナーンの住民の40%が吸入器を使っている)、5歳から16歳の子どもの23%が学習と行動に問題を抱えている。
 しかし、この調査結果の中でも2つのことが特に激しく白熱した議論を巻き起こして、世界から注目を集めている。ひとつは異常に高い流産率で、居留区の女性の39%が流産または死産を経験している。もうひとつは生まれてくる子どもの出生性比の変化である。この居留区では、1990年代後半から男児の出生数が急激に減少した。通常は、生まれてくる子どものうち50%をわずかに超えるくらいが男児であるが、ここの場合は35%にも満たない。このゆがんだ出生性比の原因
はいまだに不明である。しかし、性別を変化させる汚染物質がこの問題の根底にあるのではないかという非常に強い疑いが残っている。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください


17 ポリマー革命 ─ プラスチックの歴史(NI p8-9の翻訳)

プラスチック時代への助走が始まったのは、およそ150年前である。そして第二次世界大戦後に誕生した石油化学産業によって、プラスチック時代が華々しく幕を開けた。プラスチックの世界生産量が鉄を超えたのは、それから間もない1970年代終わりのことであった。

1862 年 パーキシン

プラスチックに似た最初の物質がデビューを飾ったのは、1869 年のロンドン万国博覧会である。アレクサンダー・パークスは、機械で成型することであらゆる製品にできる「パーキシン」という樹脂の塊を披露した。彼が最初に取り組んだのは、エーテル、アルコールと、綿から採った天然セルロースを混ぜた混合物「コロジオン」である。試行錯誤の結果、ゼリー状のローションを作ることに成功し、それを厚い板状に形成する可能性が見えてきた。しかし残念なことに、コロジオンを作るために必要な化学物質があまりにも高価で、彼のスポンサーらは尻込みしてしまった。そして数年後、パークスの事業は管財人の管理下に置かれた。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

24 プラスチックは永遠に ─ その事実(NI p12-13の翻訳)

31 バイオプラスチックは本当にグリーンなのか(NI p17-19の翻訳)

ヘンリー・フォード(*)は、大豆を原料としたプラスチック製の自動車を作ることを夢見ていた。今日では、ダウ社、デュポン社などの巨大化学企業が、「グリーンな(環境に優しい)」未来を夢見ている。しかしジム・トーマスは、バイオプラスチックは環境に優しい解決策どころか評判倒れだと主張する。

 プラスチックの未来は、常に輝く白さに包まれていた。かつてカリフォルニアのディズニーランドには、米国の巨大バイオ企業モンサント社がスポンサーとなったプラスチック製の「未来の家」というアトラクションがあった。スタンリー・キューブリックの映画『2001年宇宙の旅』[訳注:初上映は1968年]には、宇宙のヒルトンホテルが登場した。そのどちらもまぶしいくらいの白いドア・壁・天井・家具に囲まれていた。1960年代半ばのデザイナーにしてみれば、硬質で白く丈夫なプラスチックは技術革命の頂点を象徴するものであり、それは当時のモダニズムという名前から連想される無垢な未来のシンボルだったことは間違いない。このことは1967年の映画『卒業』でマクガイヤー氏がダスティン・ホフマンに耳打ちした言葉にも表れている。「プラスチックには偉大な未来が待っている。そのことを考えてみたまえ」
 それから40年、プラスチックの評判は後退し、「未来の家」は解体された。そして現在プラスチック業界は、素晴らしい「未来の素材」というプラスチックのイメージを復活させるのに四苦八苦している。今日のプラスチックは、柔らかく、分解性があり、自然と調和するものだと宣伝されているバイオプラスチックである。産業界はこの新たなプラスチックに、白に変わる緑という色をイメージしている。
 プラスチック製造企業の近ごろのウェブサイトをのぞいてみると、園芸に手を出しているのかと見まがうばかりのデザインが目に飛び込んでくる。例えば、ミレルというバイオプラスチックは、コーンシュガー[訳注:トウモロコシのでんぷんから作る砂糖]、甘しょ糖[訳注: サトウキビから作る砂糖]、または植物油を原料としているが、そのホームページはまるで植物の種を宣伝しているかのようなイメージがちりばめられている。また、ジャガイモからプラスチックを作っているヨーロッパの大手バイオフィルムメーカー、スフィア社は、そのホームページにチューリップの画像をあしらっている。デュポン社は、最新のバイオプラスチックを丘陵地帯の草原というイメージとともに売り込み、ネイチャーワークス社(米国のカーギル社と日本の帝人の共同出資企業)[訳注:ネイチャーワークスはバイオプラスチックの商品名でもある]のウェブサイトには、木の葉が多数並べられた画像が登場する。しかしデュポン社にしてもネイチャーワークス社にしても、作っているバイオプラスチックの原料は、殺虫剤まみれの遺伝子組み換え(GM)トウモロコシであり、草も葉も関係ないのだ。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください


40 少しでも汚染リスクを減らすために(NI p20の翻訳)

41 もっと知るためのネタ帳

42 世界の国のプロフィール:ボツワナ(NI p36の翻訳)


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