2008年10月号

NI No.416 & NIジャパン No.104

世界の税金 ─ 格差を広げる仕組みと実態
Wanted! - For dodging tax justice

  直接税から間接税へのシフト、租税回避行為のまん延、タックス・ヘイブンの増加……。一般の人々が意識しないところで、税の考え方と仕組み、それを取り巻く環境が変化を続けている。間接税へのシフトは、貧しい層の負担を増やし、税の公平性や富の再分配においても問題が指摘されているが、個人・法人所得税など直接税税率引き下げとセットになった動きとして世界中で見られるトレンドだ。かつて税金は、その収入に比例して多く納めるほど名士として高く評価されたものであったが、現在では納税額が少なければ少ないほど力があると見なされるようになった。そしてまた、オフショア金融センター(タックス・ヘイブン)と呼ばれる低税率と守秘義務を掲げた国や地域が、海外の富をかき集めている。このような形で個人の富や法人の利益が海外に移転されることは、国の税収減となり、それは即教育や保健医療など国の公的サービスの低下にもつながる。今月のNIでは、税負担を富裕層から貧困層へシフトする流れや、税回避の現状、環境税の限界など、税制が直面している問題について報告する。
 

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● NI No.416 目次 ●


(本文は英語です)


*<NIJ>の表示がある記事は、NIジャパンに翻訳が掲載されています。


2 読者の声

4 世界にはびこる不公平な税制の現実<NIJ>
ここ何年か世界では、税金に関するある統一的な見解が支配的になっている。しかしそれは、税金の機能である国家の税収や富の再分配に悪影響をもたらしてきた。世界を覆うこのトレンドを探る
セレブの「節税」術:ボノ、ルパート・マードック

9 タックス・ヘイブンの実情
タックス・ヘイブン。それは、税金を軽減または回避するための仕組みを提供している国や地域のことである。世界の金融のおよそ半分、そして貿易も書類上は半分以上がタックス・ヘイブンを経由して行われている。タックス・ヘイブンは、税金を少しでも安くしようとする金持ちの個人や企業だけでなく、非合法なカネを洗浄(ロンダリング)する組織にも利用されている。タックス・ヘイブンであるジャージー島で経済アドバイザーを務め極秘調査を実施した経験もあるジョン・クリステンセンが、タックス・ヘイブンの悪影響と実態について語る。
セレブの「節税」術:レオナ・ヘルムズリー、リヒテンシュタイン公爵

12 不公平な税 ─ その事実<NIJ>

世界のタックス・ヘイブン一覧と、不公平な税制を示す各種データを掲載。

14 開発援助のための国際連帯税

2015年までに世界の貧困、教育、保健などの問題を解決することを目標に掲げた国連のミレニアム開発目標。世界147カ国が合意した目標で、現在、国連、国、NPO/NGOがその目標達成に取り組んでいる。しかしそのための資金は、十分に集まっていないだけでなく、温暖化によって引き起こされる問題の影響から、年間500億ドルがさらに必要になるとみられている。この資金を調達するために最近試みられている通貨取引開発税や航空券連帯税など、革新的資金集めの現状と見通しについて報告する。
セレブの「節税」術:テスコ社

16 税金の歴史<NIJ>
今日英語で税という意味で使われるtaxの語源やその関連語の由来から、バイキングの徴税行為、所得税の始まり、近代国家の経済主義による税制への影響まで、税の歴史を概観する。

18 環境税の限界<NIJ>
今注目を浴びている環境税には、エネルギー使用量や炭素排出量など、課税する対象や政策目的によっていくつか種類がある。デンマーク、スウェーデン、オランダ、カナダのブリティッシュコロンビア州などで実施され成果を上げている環境税だが、グローバル化が進んだ今日では、同様の税制を他の先進国や開発途上国にも実施させることは可能なのだろうか。
セレブの「節税」術:英国王室

20 税金への反逆

人々の支払能力を無視した理不尽な課税に対して、世界ではさまざまな抗議や反乱が行われてきた。そのいくつかを紹介しよう。


【Special Feature】

21 インドにおける同性愛
ヒンズー教寺院に見られる官能的な彫刻などからは、この国が性に寛容であったことが想像でき、ヒジュラと呼ばれる両性具有の人々に対する社会的な認識にも納得がいくだろう。しかし、少なくとも数年前までは、インドにおけるゲイやレズビアンの現実には厳しいものがあった。このリポートでは、インドの同性愛者の権利の背景と最近の動きについて報告する。




25 世界のニュース
アボリジニの権利(先住民族)/フィリピンのアロヨ大統領のゴージャスな外遊(腐敗)/テント・オブ・ホープ(ダルフール)/ビルマのカレン民族(民族浄化)/ほか

28 ビッグバッドワールド(風刺漫画)
エデンの園にもあった石油の誘惑。

29 ワールドビーターズ
2014年までに世界最大の企業になることを目指しているロシアの巨大エネルギー企業ガスプロムについて。

30 ミクスト・メディア
本・映画・音楽の紹介

32 南の国からの一コマ
エチオピアの子どもサーカスから。

33 社会を揺さぶる人々
何十年にもわたって女性の権利を守るためにメキシコで闘ってきたマーサ・ルシア・ミシェル・カマレナ。長年の活動が実って昨年2つの大きな勝利を手に入れたカマレナに話を聞く。

34 エッセー:世界で活躍するキューバ人医師・看護師
人口1,000万人のキューバは、年間3万人のボランティア医師・看護師などを世界93カ国に派遣している。彼らはどのような制度の下で現場に派遣され、実際にどんな活動をしているのだろうか。東ティモールの現場からもリポートする。


36 世界の国のプロフィール:タンザニア<NIJ>

● NIジャパン No.104 目次 ●

(本文は日本語です)

 


A5判・モノクロ・48ページ
定価(本体600円+税)

ISBN978-4-8113-0242-3


2 イントロダクション ─ 税金とロマン


3 世界にはびこる不公平な税制の現実(NI p4-8の翻訳)


これまで世界では、直接税から間接税へのシフトなどを含む税制に関する「コンセンサス(関係者の一致した見解)」が押しつけられてきた。そんなタックス・コンセンサスなど聞いたこともないという人々に、それはどのような影響を及ぼしてきたのだろうか。デビッド・ランソムが報告する。

  「 プライベート・エクイティ(未公開株投資)の大物として知られるガイ・ハンズは、多難な海に投げ出されたエンターテインメント企業グループEMIの責任者である[訳注:EMIは世界第3位の英国の音楽企業で、ハンズはEMIを買収した企業買収会社のオーナー]。2メートルのエビが主人公のB級映画『Crust』(邦題:えびボクサー)に投資した彼は、その投資1ドルあたり1.4ドルが税控除によって返ってくると見込んでいた。彼は必ずうまくいくと考えていたに違いない。ミュージカルとして称賛を浴びて映画にもなった『The Producers』(邦題:プロデューサーズ)[訳注1]のように、『Nine Dead Gay Guys』(邦題:ナイン・デッド・ゲイ・ガイズ)などの鳴かず飛ばずの映画からも同様のリターンを得ることを彼が期待していたのは明らかだった。しかし税務署は還付を拒んだ。するとハンズとその他74名は、彼らにアドバイスを行った会計事務所と弁護士を訴えるという行動に出たのである。だが、この一件が話題にならなければ、そんなB級映画も私たちの耳には入らなかっただろう。(1)
 ここ10年ほどの間に登場したタックス「コンセンサス」は、地域ごとの差異を考えることなく世界各地で導入されてきた。ハンズのようないかさま師は、タックス・コンセンサスの陰の部分をまさに象徴している。ごく一般的な人々からすれば、税金のごまかしは金持ちがやっていることで自分たちには無関係のように思われ、傍観者の立場をとりがちである。それはまるで、巨額の報酬を得るスター選手が活躍する野球やサッカーなどのスポーツを観戦するようなものかもしれない。ただし大きく違うのは、金持ちの報酬の方がはるかに大きく、税金のごまかしは実際に政府の財源不足につながり、それによって予算が回されるべきところに回されず、本来ならば救える子どもたちも命を落としているという現実が目の前に横たわっていることである。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください


14 不公平な税 ─ その事実(NI p12-13の翻訳)

低税率への飽くなき追求(1)
今日、少しでも税金を逃れようとする多国籍企業と金持ちが最初に考えるのがタックス・ヘイブンである。タックス・ヘイブンの数が増えれば、世界の富を引きつけようとより低い税率への競争が激化する。タックス・ヘイブンはすでに「オフショア(海外)」だけでなく、ウォールストリートやロンドンといった金融センターにも出現し、世界中がタックス・ヘイブンになりつつある。


「タックス・ヘイブン」の定義はいくつかあるが、次のリストの国や地域では、かなり高くつくものの、低税率または無税と、秘密保持を約束してくれる。※は「富裕国クラブ」であるOECD(経済協力開発機構)のメンバー国で、2000 年にOECD自身によって潜在的に「有害な」税制を持つ国として指定された。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

21 税金の歴史(NI p16-17の翻訳)


32 セレブの「節税」術(NI p5, 7, 11の翻訳)

35 環境税の限界(NI p18-19の翻訳)

気候変動対策における税金の役割は、非常に重要なものだと言える。しかしドイツの事例からは、ありがちな政治的弱点が見えてくる。ニコラ・リーバートが報告する。

 環境汚染と失業対策のどちらにも役立つ税金。つまり誰もが恩恵を受け、納税者にきちんと利益を還元し、痛みをほとんど伴わない税金。これはあまりにもできすぎた話なのだろうか? いやそうでもないと考えたのは、スイスの有名なザンクトガレン大学経済学部のハンス・クリストフ・ビンスヴァンガー教授である。彼は25年あまり前、税制の中立性を保ちながらも、持続不可能なエネルギー大量消費社会とは別の方向を目指す、生態系に配慮した税制改革案を提唱した。
 そのアイデアはとてもシンプルで、エネルギーに課税し、その税金を社会保障分野の負担軽減につなげるというものだ。「賃金を下げることなく人件費を抑えなければならない」と、ビンスヴァンガーはドイツの新聞『Die Tageszeitung』のインタビューに答え、この税制によって一気に複数の問題が解決すると述べたのである。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

41 もっと知るためのネタ帳

42 世界の国のプロフィール:タンザニア

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