2009年5月号

NI No.422 & NIジャパン No.110

多文化主義の夢と現実
Multiculturalism - Is it working?

グローバル化が進む世界では、実に多様な人々が多くの場所で隣り合って生活している。国外の人を必要とする国々や受け入れざるを得ない国々……。さまざまな理由から母国を離れざるを得ない人々……。その接点となる多くの社会では、形式はさまざまであるが、他者を平等に考え敬意をはらう多文化主義がある程度は存在してきた。しかし現在世界では、異なる者への非寛容性が以前よりも強まっている。はたして、他者との摩擦を乗り越え、お互い学び合えるより良い暮らし方は可能なのか? 政府はそのためにいかなる政策を進めていくべきなのか? これまでのような多文化主義政策は今後も有効なのか? 社会のきずなを深めるには、政府は、そしてまた個人は、どう考えながら行動していけばいいのか? 今月は、これらの疑問を多様な視点から探る。

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● NI No.422 目次 ●


(本文は英語です)


*<>の表示がある記事は、日本版に翻訳(全訳)もしくは要約記事を掲載しています。


2 読者の声

4 アイデンティティーの渦の中へ<翻訳>
インドからオランダへ渡った自らの経験を振り返りながら、オランダ社会が直面してきた多文化主義の困難の理由、そして今後の方向性について、ディンヤール・ゴドレイが探る。

8 新たな社会の創造<要約>
多くの移民が暮らす英国は、外から見れば多文化主義政策がうまく機能してきたように見える。しかし、移民問題に詳しい英国の『インディペンデント』紙のコラムニスト、ヤスミン・アリバイ=ブラウンは、これまでの英国の多文化主義の理論と実践が失敗だったポイントを指摘する。

10 偏見に場所はない
世界各地で多文化主義が問題を抱えている中、カナダはうまく問題に対処し、社会で多文化を受け入れている。ケベック州の分離問題からオンタリオ州でのイスラム法導入の動きまで、この国ではどのような対応がとられてきたのか。

13 「私とは何か?」
宗教系の学校のあり方をめぐっては、しばしば激しい意見対立が見られる。宗教系学校を擁護する人々は、そこでは子どもたちが一般的な教育からは得られない文化的アイデンティティーを獲得できると指摘するが、それは偏った見方を植え付けているだけだと非難する人々もいる。実際はどうなのか? オーストラリアのキリスト教系高校を卒業した大学生、ローラ・マカリスターにインタビューを行った。

14 夢の国インドの分裂<要約>
多くの民族、言語、宗教、文化、カーストを抱えるインド。この国の建国者たちは、「多様性の中の結束」をこの国に植え付けようと目指してきた。だが、この国の成立の経緯を色濃く反映する多数派のヒンズー教徒と少数派のイスラム教徒の間の深い溝が埋まることはなく、この国を揺さぶり続けている。しかしそんな状況にも、変化に向かう一筋の光明が見えてきたようだ。

18 パラダイスの裏側で<要約>
モーリシャスは、異なる民族や宗教が調和の中に暮らす多文化のパラダイスなどと呼ばれているが、これまでに3度の大きな危機を乗り越えてきた。しかしそれは、社会階級の衝突が文化の衝突に偽装されたものだという。モーリシャスの作家、リンゼイ・コーレンが当時の記憶をたどる。

20 社会的な結束を求めて 団結しよう<翻訳>
国は何をすべきなのか。また私たちは、どう考えてどんな行動をとればよいのか。


【Special Feature】

21 イスラエル/パレスチナ:平和を求める人々の動き<要約>

政治的には歩み寄りが全く期待できないこの2国間で、支え合いの連帯から抗議活動などの共同闘争まで、一般の人々の間での動きが広がりを見せている。政治や宗教の色眼鏡を通さずにお互いを単なる人間として考え、それぞれが置かれた苦境を認識する。そんな原点に立った活動を紹介する。


25 世界のニュース<一部記事を要約>
声を上げろ(経済危機)/チェコの平和活動家の勝利(ミサイル防衛)/モントリオール警察の横暴(カナダ)/環境にやさしい政府の乱行(エクアドル)/おびえる毎日(イラン)/ほか

27 オンリー・プラネット(4コマ漫画)
地球環境悪化を求める汚い者たちとは。

28ビッグバッドワールド(風刺漫画)
企業が行っているくす玉(地球)割り。

29 社会を揺さぶる人々
女性たちのための組合を立ち上げたボリビアのフェミニストの活動家へのインタビュー。

30 ミクスト・メディア
本・映画・音楽の紹介

32 南の国からの一コマ
バングラデシュから、ジダン(フランスのサッカー選手)ファンのサッカー少年が夢を語る。

33 ワールドビーターズ
冷戦が終了してなお拡大を続けるNATO(北大西洋条約機構)。今では世界の軍事支出の70%を占めるようになったが、NATOがもたらすコストは費用だけではなかった。

34 エッセー:東ティモールのことを忘れるな
国民投票によって10年前に独立を勝ち取り、ようやくインドネシアの残酷な支配から逃れることができた東ティモール。しかし当時の期待とは裏腹に、いまだにこの国の先行きは不透明なままである。国際社会の関心が薄れる中、この国は依然として支援を必要としている。


36 世界の国のプロフィール:韓国

NI日本版 No.110 目次

(本文は日本語です)

 


1 KEYNOTE:アイデンティティーの渦の中へ(NI p4-7の翻訳)


なぜ多文化主義が停滞してしまったのか? どうしたら再び元気を取り戻せるのか? オランダ在住のディンヤール・ゴドレイが、自らの体験を基に探る。

 私がオランダに移住したのは13年前である。実際にこの地球の人口移動の流れに身を投じたわけだが、私のちっぽけな人生が、受け入れ国オランダでの議論に激しくもまれることになるとは思いもよらなかった。この国に渦巻く文化、人種、宗教、社会階層、非寛容な怒りの激流は、一時的に世界の注目を浴びることとなった。
 多くの移民と同じように、私はただ単に国を出たかったのではなく、移住への目的があった。私を受け入れてくれたこの小さな国には本当に感謝している。結局ヨーロッパの国々は、ヨーロッパ・コミュニティーの外からの新たな移民を阻止しようと、すでに築かれている壁を補強するための新たな方法を模索しているように思えた。
 私が夜間学校の無料オランダ語クラス(自宅からの路面電車の往復切符付)参加の案内をもらった時、私は非常に幸運なのだと感じた。オランダに来たばかりの学ぶことに懸命な移民たちとともに、私はクラスに参加した。そして私は、この社会という流れの中で懸命にもがき続ければ、どこかにたどり着けるだろうと感じた。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

7 新たな社会の創造(NI p8-9の要約)

急速に変化する世界で転機を迎えた多文化主義。社会の分裂を防ぐための方策はあるのか。

 新しい世紀を迎え、地政学から国内の人口構成に至るまで急速な変化が起こり、過去の考え方が通用しなくなっている。この状況に即して再検討が必要とされている考え方のひとつに、異なる人種間の調和と文化的権利を促進する目的で導入されてきた多文化主義の方針がある。
 1968年、英国労働党のロイ・ジェンキンス内務大臣は、移民を「英国人らしさ」に完全に同化させようと考えることは、公平でなく実践可能でもない、と述べた。彼は、移民文化は尊重されるべきだと信じていた。しかし1978年、保守党のマーガレット・サッチャー首相は、移民は英国文化を「台無し」にし、多様性は国の結束や健全さへの脅威となると発言。それは社会的論争となったが、英国が世界の多様な意見や経験を拒絶するようになることはなかった。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

8 夢の国インドの分裂(NI p14-17の要約)
多くの民族、言語、宗教、文化、カーストを抱えるインド。この国の建国者たちは、「多様性の中の結束」をこの国に植え付けようと目指してきた。だが、この国の成立の経緯を色濃く反映する多数派のヒンズー教徒と少数派のイスラム教徒の間の深い溝が埋まることはなく、この国を揺さぶり続けている。しかしそんな状況にも、変化に向かう一筋の光明が見えてきたようだ。


10 パラダイスの裏側で(NI p18-19の要約)

モーリシャスの社会階級の衝突は文化の衝突として偽装されてきた。なぜ偽装が起こったのか。

 世界銀行からホテルの幹部、首相から訪れた学者、ジャーナリストから小学生にいたるまで、ほとんどすべての人々が、「モーリシャスは、異なる民族や宗教のコミュニティーが隣り合って調和の中に暮らす多文化のパラダイスだ」という決まり文句を口にする。このことを考えた時、私はこの国の節目となった3つのことを思い浮かべる。


・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

11 社会的な結束を求めて 団結しよう(NI p20の翻訳)
国は何をすべきなのか。また私たちは、どう考えてどんな行動をとればよいのか。

12 アクション! ─ 何かする・もっと知る
日本の団体と参考ウェブサイト、本、資料などの情報。

13 日本人の動き
〜異なる文化を持った人々が、尊重・協力して生きていくにはどうすればいいのか? いろいろな場所で、多様な考え方に基づき、課題を乗り越えようと活動する、 さまざまな個人・団体の話を聞いてみよう。

今月のインタビュー団体
NPO法人 日本フィリピンボランティア協会
NPO法人 多文化共生センター東京

14 今月のフォーカス(NI p21-24の要約)
イスラエル/パレスチナ:平和を求める人々の動き
政治的には歩み寄りが全く期待できないこの2国間で、支え合いの連帯から抗議活動などの共同闘争まで、一般の人々の間での動きが広がりを見せている。政治や宗教の色眼鏡を通さずにお互いを単なる人間として考え、それぞれが置かれた苦境を認識する。そんな原点に立った活動を紹介する。


15 世界のニュース(NI p25-27からの要約)
・声を上げろ(経済危機)
・環境にやさしい政府の乱行(エクアドル)
・おびえる毎日(イラン)

16 編集後記、次号のお知らせ、ほか


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