2009年10月号

NI No.426 & NIジャパン No.114

イスラームの政治は変わるのか
Islam in power - Change from within

イスラームと聞くと、一部の国における過激派やテロリスト、厳格な宗教といった情報やイメージばかりが目立つ印象を受ける。だが実際は、13億人のムスリム(イスラーム教徒)の多くは、仕事、家族、地域など私たちとそう違わない雑多なことに追われる忙しい日常を送っている。ただ一口にムスリムと言っても、それぞれ異なる政治体制の国に暮らし、彼らを取り巻く政治社会環境はさまざまである。今そのイスラーム諸国では、女性の人権状況改善からイスラームの教典の再解釈までをも含む、変革への叫び、期待、動きが国の内側でかつてないほどのうねりを見せている。しかし一方で、そのような動きを弾圧する政府、偽りのイスラーム制の導入を求める過激なイスラーム主義者も存在する。今回は、イスラーム諸国の現地の状況を報告し、イスラームの歴史の流れも振り返りながら、今後のイスラームの政治・社会の形を探る。

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● NI No.426 目次 ●


(本文は英語です)


*<>の表示がある記事は、日本版に翻訳(全訳)もしくは要約記事を掲載しています。


2 読者の声


4 政治的イスラームをたどる<翻訳>
イスラームに本来備わっているはずの民主主義と多様性に寛容な多元主義。これらのイデオロギーによって、イスラーム文明が頂点に達したと言われるのが10世紀ごろ、アルアンダルス(アンダルシア)を中心に栄えていた時代である。非寛容と専制主義が支配しているように見える現代のイスラーム諸国は、再びそのイデオロギーを受け入れ、多くの人々が求めている変革の緒に就くことができるのか。

8 マイノリティーの回想と叫び<一部要約>
・サウジ女性の地位向上を目指した挑戦
・亡命イラク人ゲイ活動家の告白<要約>
・ユダヤ人としてイランに生まれて

12 イスラームの人と政治 ― その事実<翻訳>
多様なイスラームの世界をデータで見てみよう。

14 偽りのイスラーム制<要約>
もともとは共同体を重んじ、衆議による意思決定を行ってきたイスラームの社会。しかしそれは長い時間を経て、一握りの人間たちが支配する国家へと変質していった。その国のいくつかはイスラーム制*の国家を標榜するが、実はその姿は本来の考え方と異なるものである。
  *指導者がイスラームの教義をもとにした法にのっとって政治を行う政教一致の国。

16 知識はきらめき
ロンドンを拠点に活躍する現代芸術家サイド・タジャムール・フセイン。これは、クルアーン(コーラン)を芸術的に表現した彼の作品である。

17 テロリストをつくったのは誰だ
イスラームの原理主義武装勢力は、欧米諸国やイスラエルの敵なのだろうか? アフガニスタンからチェチェン、ハマスからアルカイダまで、その裏側には複雑で愚かな事情が見えてくる。

20 イスラームに関する文献とお役立ちウェブサイト


【Special Feature】

21 環境法の新たな流れ<要約>

環境を守ろうとする市民にとって、法律は非常に重要な手段となってきた。そして今日、かつてないほど多くの環境法が制定されている。しかしながら、自然環境の悪化はとどまることを知らない。それはつまり、私たちはこれまでとは全く異なる新しい概念を必要としているということだ。



25 世界のニュース<一部記事の要約をオンラインリポートに掲載>
ハゲタカ文化(債務)/世界難民白書2009より(人権)/復興に必要な正義(ティモール・レステ)/国際社会をあざける国(ビルマ)/アンデスの開発(鉱山)ほか

27 オンリー・プラネット(4コマ漫画)
自らを破壊する人類の活動にGortとKlaatuは…。

28 ビッグバッドワールド(風刺漫画)
カネがものを言う世界。
PLUS:NIクロスワードパズル

29 社会を揺さぶる人々<要約>
  ─ 子ども兵士から活動する有名ラッパーへ:エマニュエル・ジャル

スーダンの子ども兵士だったジャル。彼は暴力にまみれた日常から解放され、いまや売れっ子のラッパーになり、アフリカの教育のために活動する。彼は歌を通して何を訴え、どんな思いで活動しているのか。

30 ミクスト・メディア
本・映画・音楽の紹介

32 南の国からの一コマ
サッカーのワールドカップの開催が近づく南アフリカのスラムの最近の事情と、スラムを撮った1枚。

33 コルカタで考える
インドで古くから行われている、ハンガーストライキという抗議行動について。

34 エッセー:汚染された惑星
この地球の空気、水、大地は、多くの有毒な化合物で汚染され、それは私たちの体内にも蓄積されている。化合物汚染の解決は、気候変動と同様に、テクノロジーではなく持続可能性を基本として考えていかなければならないものだ。

36 世界の国のプロフィール:ギニア



NI日本版 No.114 目次

(本文は日本語です)

 


1 政治的イスラームをたどる(NI p4-7の要約)


ハダニ・ディトマスがイスラームの政治を概観するという困難に挑む。

私が政治的イスラームに関する特集号の編集という困難な仕事を引き受けてから、世界ではさまざまな出来事が起こった。イランでは、大統領選挙の結果に疑問を持った人々が立ち上がり、神権政治(神政)[訳注:最高指導者が神の代理とみなされて政治を行う、政治と宗教が一元化された体制]がもとになっているさまざまな社会的制約に反対する抗議行動が広がり、それに対して残虐な弾圧が行われた。その状況は、1979年のイラン革命に至る道のりをほうふつとさせるものだった[訳注1]。

多くの一般市民を巻き添えにしているアフガニスタンの戦争は、一般的には「タリバン」と呼ばれる漠然とした敵との戦いでNATO(北大西洋条約機構)軍兵士の犠牲者が増えるにつれ、徐々に欧米の一般市民にもその情報は広がっていった。

ドイツの法廷では、イスラームを嫌悪する右翼男性が、ヒジャブをかぶったエジプト人女性を3歳の娘の目の前で刺し殺した。そして英国では、警察の捜査によって、英国国民党主導の国内モスク爆破計画が暴かれた。
 イスラーム過激派たちが手を組み活動しているが、いわゆる「イスラーム世界」は今も色彩豊かで多様、雑然とした状況には変わりはない。また、単一的で強力な「彼ら」という単純化をよく耳にするが、地球上の13億人のムスリム(イスラーム教徒)は、幅広い政治的現実世界の真っただ中で日々の生活を送っている。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

7 亡命イラク人ゲイ活動家の告白(NI p9-10の要約)

死のファトワを受け、亡命を強いられながらも、ゲイの仲間のために活動を続けるアリ・ヒリが、ハダニ・ディトマスに語った。

私は1987年にDJコンテストで優勝し、それからバグダットのホテルのクラブでDJとして働いていた。当時はダンスパーティーも多く、そこにはゲイ(同性愛者)がよく集まっていた。18歳の時に外交官の恋人ができるとイラクの情報局は、スパイになれ、ならないと家族を殺すぞ、と脅迫してきた。それで10年ほどスパイをした。その状況から逃れたくて一度国外脱出をしようとしたが、捕まってしまった。だが、コネを使って刑罰は受けずに済んだ。警察に脱出の理由を聞かれ、経済制裁の中で生計を立てるのが難しいからだと答えた。すると、彼らのために働くことを条件にドバイ行きを命じられた。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

8 イスラームの人と政治 ─ その事実(NI p12-13の翻訳)
多様なイスラームの世界をデータで見てみよう。

10 偽りのイスラーム制(NI p14-15の要約)

一部のムスリムが非常に重要とする「イスラーム制国家」。実はその概念自体は全くイスラーム的ではないと、ディヤーウッディーン・サルダールは主張する。

次のような場面を思い浮かべてみよう。メディナにある預言者ムハンマドの家の周りに多くの人が集まる中、彼は息を引き取った。そこに彼に最も近い教友のアブー・バクルが馬に乗って到着し、家の中に入ってその事実を確かめた。彼は自らを力づけると、外に出て膨れ上がる群衆に向かって言った。「ああ、信者よ、もしもお前たちがムハンマドを崇拝しているのなら、そのムハンマドは死んだと言おう。しかし神を崇拝している者であれば誰でも知っている。神は生きている。死ぬことはない」。そしてアブー・バクルはコーラン(クルアーン)の一節を唱えた。「ムハンマド(マホメット)も結局はただの使徒(ただの人間であって神や天使ではない)。これまでにも随分沢山の使徒が(この世に現れては)過ぎ去って逝った」(3:144)[訳注:邦訳は岩波書店の井筒俊彦訳『コーラン』(上)p96より]

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

12 アクション! ─ 何かする・もっと知る
日本の団体と参考ウェブサイト、本、資料などの情報。

13 日本での動き
●ムスリムの暮らしと思い
日本には、1〜3万人の日本人イスラーム教徒が住んでいる。多くが「無宗教」または「形式的には仏教や神道」の慣習に従って生活する日本人の中にあって、彼らはどんな教義に従い、どんな思いで生活しているのか。
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14 今月のフォーカス(NI p21-24の要約)
●環境法の新たな流れ
環境を守ろうとする市民にとって、法律は非常に重要な手段となってきた。そして今日、かつてないほど多くの環境法が制定されている。しかしながら、自然環境の悪化はとどまることを知らない。それはつまり、私たちはこれまでとは全く異なる新しい概念を必要としているということだ。

15 世界のニュース(NI p25-29からの要約)
・ハゲタカ文化(債務)
・国際社会をあざける国(ビルマ)
・子ども兵士から活動する有名ラッパーへ:エマニュエル・ジャル(インタビュー)

16 編集後記、次号のお知らせ、ほか

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