2009年11月号

NI No.427 & NIジャパン No.115

テロ対策の波紋
Counterterrorism's rise

2001年9月11日の米同時多発テロを受け、米国ブッシュ政権は「テロとの戦い」を始め、多くの国が米国に追随してテロと戦うことを選択した。それは、各国国内法の制定・改正から国際法を無視した容疑者の拘束・移送、慎重さを欠く行き過ぎた捜査からテロ対策名目の反対派弾圧まで、あらゆる変化を世界にもたらした。これまで8年の間、多くの人々と市民団体が政府に抗議の声を上げ、多少は制度や慣行の見直しも行われてきた。しかし、「テロ対策」という錦の御旗の影響は依然として人々の心の中に重しとなってとどまり、治安への不安と、人権よりも治安対策優先という雰囲気が社会に漂っている。さらに、まだまだ多くの人々が確たる証拠もなく裁判も受けられずにテロ容疑者として拘束されたまま行方不明となっている。テロ対策という名の下、現在世界はどのような状況になっているのか。私たちは、この閉塞感を打破して真に有効な方法でテロと戦うためにはどうすればよいのだろうか。

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● NI No.427 目次 ●


(本文は英語です)


*<>の表示がある記事は、日本版に翻訳(全訳)もしくは要約記事を掲載しています。


2 読者の声


4 テロとの戦いの現実<翻訳>
テロリズムに対する私たちのパニックが、抑えの効かない権力乱用へのゴーサインとなってしまったのだろうか。ディンヤール・ゴドレイは、断固とした姿勢で人権の重さを繰り返し主張する。

8 世界を覆う反テロ政策の現実<一部要約>
法律の制定、違法な移送、恣意的な逮捕、拷問、弾圧……世界は、反テロ政策という名の下にこんなひどい状態に陥っている。

10 劇場的治安対策を超えて<要約>
安心感を高めるだけの単なる名目上の治安対策ではなく、実際に有効な対策へシフトするための考察。

12 驚きの事実―テロを理由に世界で起きている不思議なこと<翻訳>
それはテロと関係があるのか? 当局はあると言いたいらしいが、いかにもおかしなこと、ささいなことで追及されたり疑われたりした人々は、そんな見解には全く納得していない。

14 内に積もる怒り
ペルーの貧しい人々が自らの権利を守るために立ち上がった。しかしその行動に対し、政府はテロというレッテルを張って弾圧し、企業活動の邪魔になると感じた企業は監視・妨害工作のためにスパイを送り込む。フジモリ元大統領の敷いた強権弾圧政治の影響がいまだ尾を引くペルーからの報告。

16 無実の犠牲者たち
インドでは、テロ容疑者のイメージが取り締まり当局によって誘導され、社会に広められ、捜査が行われている可能性がある。そして実際に、少なくない人々がその犠牲となっている。

18 究極の移送とは
英国の詩人ヒューバート・ムーアが問いかける。


【Special Features】
20 涙と正義 ─ コンゴ民主共和国のレイプ犯罪<一部翻訳>
月平均で1,100件もの強かん事件が発生しているコンゴ民主共和国。被害者の苦悩と再起、加害者の裁きなど、この国の苦闘をフォトジャーナリストのジーン・チュンの写真で伝える。

24 バングラデシュでゲイとして暮らして

イスラーム教国のバングラデシュでは、同性愛は犯罪となる。しかしそれは罪ではないと、イスラーム教の導師デルワー・フセインは語る。



25 世界のニュース<一部記事の要約をオンラインリポートに掲載>
血なまぐさいオイルサンド(環境)/バリボのジャーナリスト殺人事件(人権)/奇跡か幻想か(エネルギー)/サッカーワールドカップ開催で立ち退き(人権)/切迫する水不足(企業犯罪)ほか

27 オンリー・プラネット(4コマ漫画)
食べ物の逆襲。

28 ビッグバッドワールド(風刺漫画)
思考のすき間もない社会。
PLUS:NIクロスワードパズル

30 ミクスト・メディア
本・映画・音楽の紹介

32 社会を揺さぶる人々―女性地雷除去隊員:ヘレン・グレイ<要約>
モザンビークで活動するスコットランド出身の女性、ヘレン・グレイ。彼女は1チーム10人で働く女性地雷除去隊のメンバーである。グレイとモザンビーク人の同僚たちは、なぜこの危険な仕事を選び、どのように働いているのだろうか。

33 ワールド・ビーターズ

弁護士資格を持ち、貧しい農民や漁民の側についていることを装って「大衆の味方」と自称するスリランカのマヒンダ・ラージャパクサ大統領。反政府勢力の「タミル・イーラム解放のトラ」を壊滅させ、長年続いてきた内戦に終止符を打ち、特にシンハラ人の間では人気が高まっている。しかし、彼が行ってきた人道に対する犯罪は歴史から消えることはなく、国内安定を図るため続く人々への締め付けもあり、内戦終結の余韻は長くは続かないだろう。

34 エッセー:期待はずれの特別法廷
2002年、シエラレオネで10年あまり続いた内戦がようやく終結した。国連はその内戦での犯罪者を裁くため、首都フリータウンに特別法廷を設置した。期待を集めた特別法廷だったが、実はその設置段階から効果が疑問視されていたという。

36 世界の国のプロフィール:セントルシア


NI日本版 No.115 目次

(本文は日本語です)

 


1 テロとの戦いの現実(NI p4-7の翻訳)

テロリズムに対する私たちのパニックが、抑えの効かない権力の乱用へのゴーサインとなってしまったのだろうか。ディンヤール・ゴドレイは、断固とした姿勢で人権の重さを繰り返し主張する。

 2005 年7 月30 日、パキスタン。バスでペシャワールに向かったラワルピンディの商店主、マスード・ジャンジュアがこつぜんと姿を消した。彼に同行するはずだった友人のファイサル・ファラズも行方不明となった。バス会社は、この2 人の名前で予約が入っていたことを確認している。家からバスターミナルに向かう短い間に、彼らはまるで異次元にでも吸い込まれてしまったようにいなくなってしまったのである。
 誰でも1 度くらいは、約束の時間になっても親しい人が現れずに不安になった経験があるだろう。繰り返し時計を確認し、沈黙を守っている電話に何度も目をやり、冷静さを失った頭に最悪の事態がよぎる。時間がたつにつれ、心の中で葛藤が起こる。警察に連絡してみようか、もう少し待ってみようか……時間になっても現れない人を心配すべきなのか、非難すべきなのか……今日現れない原因となるような何かがこの数日間で起こったのか……。
 幸いにもほとんどの人々は、何らかの仕方がない理由で遅れてきた親しい人を迎えることになる。そして少し前までの不安は、思い過ごしとして忘れ去ってしまうだろう。このような些細な形ではあるが、私たちも日々の生活の中で親しい人が戻ってこないという状況を体験している。
 マスードの妻、アミナ・マスード・ジャンジュアは、自分がその日いかに取り乱したかを詳しく述べた。「私たちは毎日本当に幸せに暮らしていました。3 人の子どもと一緒にとても仲良く暮らし、何の不安も感じていませんでした。そこへ突然事件は起こったのです。私はとてもショックを受け、数カ月の間はひどくふさぎ込み、横たわって泣くことしかできませんでした。それが単なる悪い夢であるようにとひたすら願っていました。でもそれは夢ではないと我に返り、起きあがって何かしなくてはいけないと思ったのです」
 アミナ・マスードはあらゆる手を尽くした。警察の行方不明者リストを確認し、さまざまな行政の窓口や諜報機関にも情報を尋ねた。しかし、何の手がかりも出てこなかった。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

7 世界を覆う反テロ政策の現実(NI p8-9から一部を要約)

反テロ政策という名で世界各地で行われている、人権と市民の自由を踏みにじる行為の数々。

テロとの戦い

 2001年9月11日の米国ニューヨークの同時多発テロの後、ブッシュ政権は「テロとの戦い」を宣言した。そのテロ容疑者は、米当局がつくった「不法または違法な敵性戦闘員」という名称で呼ばれた。米国は、1949年のジュネーブ条約で定められた捕虜に対する処遇を守らずに済むように、「敵性戦闘員」は通常の戦争の捕虜とは異なると主張した。
 テロ容疑者は、米国外のキューバにあるグアンタナモの収容所などに拘留されたが、それは人権に関する米国内法や国際法の適用から逃れるためである。しかしこのような行為は、国際法では許されていない。(1)


・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

8 劇場的治安対策を超えて(NI p10-12の要約)
安心感を高めるだけの単なる名目上の治安対策ではなく、実際に有効な対策へシフトするための考察。

10 驚きの事実―テロを理由に世界で起きている不思議なこと(NI p12-13の翻訳)
それはテロと関係があるのか? 当局はあると言いたいらしいが、いかにもおかしなこと、ささいなことで追及されたり疑われたりした人々は、そんな見解には全く納得していない。

12 アクション! ─ 何かする・もっと知る
日本の団体と参考ウェブサイト、本、資料などの情報。

13 日本での動き
・日本の国内対テロ政策の底流
 (アムネスティ・インターナショナル日本 寺中誠事務局長インタビューより)
・つくられた防犯カメラ神話の再検討
 (監視社会を拒否する会 田島泰彦共同代表インタビューより)

14 今月のフォーカス(NI p20-23の一部翻訳)
・涙と正義 ─ コンゴ民主共和国のレイプ犯罪

 世界で最悪の強かん被害に苦しんでいるのがコンゴ民主共和国の女性たちである。1年で1万3,247件の被害が報告され、この数字は月平均だと1,100件にも上ることを示している。
 強かんの犯人が捕まらないこともしばしばだが、以前にも増して多くの女性たちが声を上げ、犯罪者に裁きをもたらすための行動を起こすようになっている。ゴマでは、軍事法廷と民事法廷の両方で性的暴行の裁判が行われている。しかし、DNA鑑定が行われておらず、起訴に持ち込むのに非常に苦労している。容疑者の中には、自分こそが「被害者」で、女性たちが自分を陥れる、または利益を得ようとしていると主張する者もいる。
 強かんの被害者は、けがの手術や治療によって苦しみが続く。また、地域に戻って家族との生活を再開するときに大きな困難にぶつかることもある。多くの被害者が、地域と家族から拒絶されてしまうのだ。
 フォトジャーナリストのジーン・チュンが、彼女たちの過去と苦闘を写し出す。



・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

15 世界のニュース(NI p28、32からの要約)
・サッカーワールドカップ開催で立ち退き(人権)
・切迫する水不足(企業犯罪)
・女性地雷除去隊員:ヘレン・グレイ(インタビュー)
モザンビークで活動するスコットランド出身の女性、ヘレン・グレイ。彼女は1チーム10人で働く女性地雷除去隊のメンバーである。グレイとモザンビーク人の同僚たちは、なぜこの危険な仕事を選び、どのように働いているのだろうか。

16 編集後記、次号のお知らせ、ほか

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