2010年6月号

NI No.433 & NIジャパン No.121

知られざる強制送還者のその後
Deported! - What happened next?

2008年日本では、約2万4000人の外国人が強制送還された。労働目的のオーバーステイ(超過滞在)や人身売買被害者、在留特別許可や難民申請を何度も却下されあきらめた人々など、強制送還の理由はさまざまである。

私たちが普段ニュースで強制送還と聞いても、個々の送還者の例えば日本での生活状況や、彼らの本国の事情を思い浮かべたり、ましてや彼らが強制送還後にどうなるのか気にしたりすることはほとんどないだろう。強制送還と言っても、政治的主張や活動、社会的指向、思想や宗教の違いなどが原因で危険を感じて出国した人、国外にいる間に母国の政情が不安定化して危険になってしまった人、数十年も外国で暮らすうちに母国での生活基盤がなくなり帰国しても生活が困難と考えられる人、人身売買被害者、出稼ぎ労働者等々さまざまな背景がある。しかし私たちが情報を受け取る一般のメディアは、強制送還という同じラベルを貼って表面的に報道するだけだ。

退去命令を受けて自らの意思で、または無理矢理飛行機に乗せられ送り返される外国人たち。今月のNIは、彼らが母国を去った背景と、彼らの強制送還後の運命を報告する。

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● NI No.433 目次 ●


(本文は英語です)


*<>の表示がある記事は、日本版に翻訳(全訳)もしくは要約記事を掲載しています。


2 読者の声


4 国境に拒まれる人々<翻訳>
報道されることのない強制送還者のその後。私たちはなぜ、彼らのその後を知る必要があるのか。

6 絶望の旅路<翻訳>
政治活動家として受けた拷問の傷跡を抱えて英国にやってきたカメルーンのエマニュエル・ヌジョヤ。彼は政治難民として亡命を希望したが認められず、妻と1歳に満たない娘も強制送還されてしまう。そして、カメルーンで彼と家族を待っていたのは、あまりにも酷な現実だった。

10 数字で見る強制送還

11 新聞に載っていた男<要約>
銀行員としてウガンダで何不自由のない生活を送っていたジョン・‘ボスコ’・ニョンビ。しかし彼は同性愛者で、身の危険を感じていたため、豊かな生活を捨てて英国に渡り、難民申請を行う。だが結局は英国入管の違法なやり方で強制送還されてしまう。最悪なことに帰国2日前、彼の強制送還の詳細が顔写真入りでウガンダの大手紙に掲載されて同性愛者のジョンと知れ渡ってしまい、帰国早々ひどい目にあって投獄されてしまう。しかしその後、思いがけない展開が待っていた。

15 「それは美術の時間でした」
コスタリカ生まれカナダ育ちの15歳の少女。彼女は突然学校にやってきた入管職員に拘束され、入管の収容所に収容されてしまった。そしてその後、コスタリカに強制送還されてしまった。異なる文化と生活にとまどいながら暮らす少女が、拘束された辛い日のことを語った。


【Special Feature】
16 地球をむしばむ格差社会

気候変動を回避したければ、まずは不公平な格差をどうにかしなければならない。貧困国と富裕国の格差はもちろん、各国内の格差にも目を向けなければならない。

【Feature Articles】
22 南アフリカ人とサッカー・ワールドカップ
写真で見る南アフリカ人たちのサッカー・ワールドカップへの思い。

24 殺人者に狙われる職業<一部要約>
メディアで働くのが最も危険だと言われる4つの国のひとつ、ロシア。政府、財界、犯罪組織の隠された利害に光を当てようとするジャーナリストが命を落としている。ロシアでは何が起こっているのか。

26 コペンハーゲンとは大違い
この4月にボリビアで開かれた「気候変動と母なる大地の権利に関する世界民衆会議」。そこで得られた成果と課題、そして希望について。



28 世界のニュース<*の記事を要約で掲載、※は7月10日発行のメルマガに掲載>
※石油企業vs.先住民、巨人と小人の対決(エクアドル)/*母なる地球に手を出すな!(地球工学)/*カイロの政治弾圧(人権)/*ニュージーランドが軌道修正(先住民の権利)/ほか
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29 オンリー・プラネット(4コマ漫画)
人類に溶け込もうとするゴートとクラーツ。

31 ビッグバッドワールド(風刺漫画)
この世の中の不安定な状態。

32 ワールドビーターズ
インド出身のラクシュミー・ミタルは父親の製鉄ビジネスを継ぎ、世界各国の製鉄会社を買収してミタル・スチール社を急成長させていった。そして2006年、ルクセンブルクのアルセロール社を買収してアルセロール・ミタル社となり、ついに世界最大の製鉄会社となった。しかしこの成功物語の裏には、計算高い経営者とがめつい金持ちのエピソード隠れている。

33 社会を揺さぶる人々
ブルンジで平和活動家として活動していたパスカリーヌ・ンセケラ。南アフリカで研修中、軍のクーデターによってブルンジでは軍事政権が樹立し、帰国することができなくなった彼女は、国連の難民支援プログラムによってカナダに渡って大学で学ぶ。現在カナダでアフリカ人を支援する活動を行う彼女に話を聞いた。

34 ミクスト・メディア
本・映画・音楽の紹介

36 世界の国のプロフィール:パレスチナ


NI日本版 No.121 目次

(本文は日本語です)

 


1 国境に拒まれる人々(NI p4-5の翻訳)

移民に対して強い姿勢で臨む政治家たちは、私たちが彼らの現実を知ることを望んでいない。だが私たちは、国境によって追い返されてしまう人々の話に耳を傾けなければならない。それはなぜか? ディンヤール・ゴドレイがその理由を説明する。

 ヨーロッパのテレビでは、珍しい番組が人気を呼んでいる。それは、どこにでもいるような家族が、現在の状況とは異なるより良い生活を求めて海外へ移住するという番組である。その移動は壮大な旅と人間ドラマとなり、視聴者の欲求に応えるようにできている。
 一方、ヨーロッパの要塞のような国境を突破しようと貧しい国からやって来る人々。彼らに関する番組はほとんどない。おそらく彼らのような旅は、夕食時の番組としてはスリルがありすぎるのだろう。金持ちのヨーロッパの家族にとって、小さなボートから投げ出されてスペインの海岸に打ち上げられた半分餓死状態のアフリカ人たちは単なる不法入国者にすぎず、関心も払われない。
 このような思い切った不法侵入をしても、招かれざる者たちは投獄を避けられない。どの段階においても彼らの証言がきちんと考慮されることはない。そして受け入れ国側は、できるだけすぐに追い出したいと思っているのだ。西側では、このやり方は公平で公正なものと考えられ、それを支持して高い人気を集める政治家もいる。
 富裕国がとる厳しい対応は非常に効果的だ。2008年末時点では、人口に占める難民の割合はカナダが0.23%、米国が0.06%、英国が0.05%、オーストラリアが0.05%となっている[訳注1]。右寄りの報道機関が叫ぶような、国に資金負担がのしかかり、異文化が洪水のごとく流れ込むという状況からはほど遠い。1人あたりの国民所得が1万ドルを超える国々をすべて合計しても、世界の難民の9%しか受け入れていない。難民の受け入れに関しては、ブラジルやエクアドルなどの方がずっと良い対応をしている。難民の悩みを迅速に解決し、労働によって自らを支えるという権利を否定しないなどの対応をとっているのだ。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

3 絶望の旅路(NI p6-9の翻訳)

将来への不安を抱えたまま身を隠しているエマニュエル・ヌジョヤ。英国から強制送還された彼と家族の物語は、「安全な帰国」という嘘を暴き、ほとんど明かされることのない強制送還の現実を伝える。

 エマニュエル・ヌジョヤは話すことをためらっていた。1日経ってから、ようやく私の携帯電話にEメールが送られてきた。
 「メールできなくてすまない。携帯のバッテリーがなかったんだ。僕が今いるところには電気がなくてね。やっぱり、英国から強制送還させられた時に僕と家族が受けたひどい仕打ちを思い出したくないんだ。そのことはもう忘れようと必死になっていて…僕も家族も悪夢にうなされているんだ。あれは苦痛で、否定的な経験なんだよ」
 私は少々困惑した。ミック・フライヤー牧師からは、エマニュエル(彼は現在カメルーンで指名手配されている)がカメルーンへ強制送還された時の不当な処遇についてしきりに話したがっている、と聞いていたからだ。ミックは、エマニュエルが英国で通っていた教会の牧師で、彼を支えてきた人物のひとりである。ミックは、彼がまたうつ状態になっているのかもしれないと考えた。エマニュエルの一家は、病状が深刻な1歳の娘トレーシーを抱えながら遠隔地で隠れて暮らしているという。電話をかけて状況を確認してみなければ。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

9 新聞に載っていた男(NI p11-14の要約)

ジョン・'ボスコ'・ニョンビをウガンダに強制送還した時、英国当局は自ら定めた法律を破り、それによってジョンは悪夢のような現実に放り込まれた。いったい彼に何が起こったのか。

 ウガンダで銀行員として働いていたジョンは安定した生活を送り、家も車も持っていた。しかし同性愛者だったため、最悪の場合には終身刑になる可能性があった。「母のところに来る人が言うんです。『あなたの息子は何で結婚しないのかしら?うちの娘なんかどう? とってもいい娘よ』」。いつも彼は結婚の決心がついていないと言ってごまかしていたが、いつまでごまかしきれるのかと常に不安を抱いていた。「...女のように踊っていただけで逮捕された人々もいるんです」。2001年9月、彼はブローカーにカネを払ってパスポートと航空券を手に入れ、英国に向かった。
 空港に着いたとたん、荷物を受け取る間もなくジョンは拘束され、取調室で尋問を受けた。尋問では、法律に疎い彼のために通訳が呼ばれたが、その通訳は実際にはジョンとは異なる民族言語を話す人だった。そのためその通訳は、独自の解釈を加えて通訳をしていたのである。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

12 日本での動き
この3月、強制送還中にガーナ人が死亡し、5月には入管収容所で約70人の収容者がハンガーストライキを行った。これらの事件は何を問いかけているのだろうか。
●牛久入管収容所の現実 <牛久入管収容所問題を考える会
●強制送還途中の不可解な死 <ASIAN PEPOPLE'S FRIENDSHIP SOCIETY (APFS)
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12 アクション! ─ 何かする・もっと知る
・日本の団体と参考ウェブサイト、本、資料などの情報。

14 今月のフォーカス(NI p24-25の要約)
●殺人者に狙われる職業
メディアで働くのが最も危険だと言われる4つの国のひとつ、ロシア。政府、財界、犯罪組織の隠された利害に光を当てようとするジャーナリストが命を落としている。ロシアでは何が起こっているのか。

15 世界のニュース(NI p29、30からの要約)
・母なる地球に手を出すな!(地球工学)
・カイロの政治弾圧(人権)
・ニュージーランドが軌道修正(先住民の権利)

16 編集後記、次号のお知らせ、ほか

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