2010年7/8月合併号

NI No.434 & NIジャパン No.122

脱成長時代へ歩む
Zero Growth - Life beyond growth

世界中どこの政府にとっても、経済成長は主要な目標である。しかし成長は、繁栄、幸福、雇用、発展を本当にもたらすのだろうか? 私たちはすでに物理学的な限界を超えて地球を汚染し、自然を脅かしているが、成長はこの状況を悪化させている。成長がうまく作用しないことは、これまでの人類の経験からも分かっている。富は幸福を保証せず、貧困と失業がはびこっている。また、成長が減速すれば、消費の落ち込み、工場の閉鎖、失業率の急増など、社会問題のタネは増え、悪循環である。かつて私たちは、需要を満たすために人手に頼って生産していた。だが現在は、雇用を確保し、投資のリターンを増大させ、終わりのない生産と消費のサイクルを回すために生産をしているのだ。今月のNIは、成長を超えたより良い方法について探る。


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● NI No.434 目次 ●


(本文は英語です)


*<>の表示がある記事は、日本版に翻訳(全訳)もしくは要約記事を掲載しています。


2 読者の声


2 ビッグバッドワールド(風刺漫画)
政党が違っても政治は同じ。

4 自然の限界を超えた暮らし<翻訳>
経済が成長をしているという状態は、人類の歴史上ではほんのわずかな期間のことにすぎない。しかしその間の人間活動による影響はすさまじく、地球に多大な負担を強いている。有限な地球という惑星で、私たちは今の暮らしを続けることができるのだろうか。

7 ブリーズ〜新しいそよ風<要約>
干上がってしまった湖や多発する山火事。オーストラリアの農村部を襲う温暖化の影響。そんな状況を憂慮したコミュニティーの人々が、地に足ついた取り組みを地元で始めた。彼らの活動と思いを紹介する。

8 慎ましいインドはいずこへ<要約>
拝金病が発生しているインド。著しい経済成長とともに、昔から人々が持っていた物を大切にしたり他人に配慮したりする価値観が薄れ、カネと物への執着が強まってきている。インドの社会と人はどう変わってしまったのか? その変化は、不可逆的なものなのだろうか?

10 ゼロ成長への道
私たちは、経済は未来永劫成長していくものと思い込み、経済成長抜きの世界など想像することもできない。しかし現在、現実をしっかり見据えてその想像し難い世界の実現へ向けて歩む必要が出てきている。私たちは、どうしたらゼロ成長で暮らしていけるのか。NIからの提案。

13 もうかる開発をせずに生きる<要約>
豊富な銅が眠るエクアドルのインタグバレー。日本企業の現地子会社をはじめ、いくつかの企業がその資源を狙ってこの地域にやって来た。しかし住民たちは、銅山開発によって自然と生活が破壊されることを理解しており、企業の説得と工作に屈せずオルタナティブな方法を模索して生活している。

14 ブレーキなき成長
ゼロ成長社会は実現可能なのか? それはどんな仕組みで達成できるのか? どんな課題を解決する必要があるのか? サリー大学の研究者ティム・ジャクソンと国際NGOのオックスファムの政策アナリストのダンカン・グリーンが議論する。

16 万国の労働者よ、リラックスせよ<要約>
成長中毒と仕事中毒は無関係ではない。生きていくために仕事をする人、仕事をするために生きている人、そのいずれにしても、仕事に対する考え方や仕事の習慣は私たちの意識と大きく関係している。より人間らしい時間を増やし、成長中毒を中和できるような仕事への意識、労働習慣、仕組みとは。

19 脱成長万歳<オンラインリポートに掲載>
近著『経済成長なき社会発展は可能か?〈脱成長〉と〈ポスト開発〉の経済学』(作品社)が話題となっているフランスの経済学者セルジュ・ラトゥーシュ。彼が「脱成長」を唱えるようになった経緯と、それがフランスから世界へ広まりつつある状況について、ラトゥーシュのインタビューも交えて報告する。
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20 気候ではなく制度を変えろ
経済活動と気候変動のつながりを社会的に認知させた英国の環境活動家たちが目指す次の活動目標とは。


【Special Feature】
21 ミレニアム開発目標と貧困の基準

1日1ドル未満で暮らす人々の数を2015年までに1990年比で半減する目標を掲げたミレニアム開発目標。そもそもこの1ドルとはどうやって決められ、それは貧困の基準としては本当に妥当なのだろうか。



25 世界のニュース<*のついた記事を要約で掲載>
*やみくもな暴力(パレスチナ)/*カネになるインドの牛(動物の権利)/*インドネシアの恐怖の弾圧(西パプア)/残虐な石油会社(コロンビア)/ほか

27 オンリー・プラネット(4コマ漫画)
物々交換に臨むゴートとクラーツ。

28 NIジャンボ・クロスワードパズル

29 南の国からの一コマ
バングラデシュの闇に光を当てようとした写真展「クロスファイア」。警察に開催を妨害されオープニングが10日遅れたこの写真展は、どのような意図を持って開かれたのか。

32 ミクスト・メディア
本・映画・音楽の紹介

34 エッセー:プレデターとスカベンジャー
自然環境をどう利用するかは、これまでの人間の考え方や暮らしを形づくってきた。今後の世界では、他者を積極的に捕食するようなプレデター的な考え方ではなく、残り物を見つけて生きていくスカベンジャー的な考え方が問題を乗り越えていくヒントになるのかもしれない。


36 世界の国のプロフィール:アラブ首長国連邦


NI日本版 No.122 目次

(本文は日本語です)

 


1 自然の限界を超えた暮らし(NI p4-6の翻訳)

世界のあちこちで生態系の崩壊が進んでいる。だが、繁栄するには経済成長しかないという思い込みが弱まる気配は見られない。限りある惑星で際限ない成長を叫ぶという愚考について、ウェイン・エルウッドが探る

 チャールズ・ダーウィンは細部にもこだわって厳密を期し、偉業を成し遂げた科学者である。20年近くを費やして調査を慎重に進め、最高の分析となるよう努力をし、文章を研ぎ澄まし、1859年11月、革新的な著作『種の起源』を出版した。(1)
 内容のわりにスリムなこの本は、「常識を覆した」と言えるものであり、その革命的な研究は人間と自然に対する見方を根本的に変えてしまった。今日、彼の理論「自然淘汰(自然選択)」は広く知られ、現代の進化生物学の基礎ともなっている。
 しかし150年前、ダーウィンは世間の波風にもまれていた。当時は、人間は神の創造物で特別な存在であり、生物は神がつくったもので変化はしないという伝統的な考え方が支配しており、彼の理論はその考え方への挑戦であった。英国国教会は彼の理論を異端視して相手にしなかった。
 支配層の人間たちは彼をあざ笑い、社会的にも激しい議論がわき起こった。しかしダーウィンはひるまなかった。今日、彼の理論の中核を成す考え(すべての動植物は自然淘汰を経て進化し順応していく)は、現代の生命科学の根本原理となっている。彼は新たな世界へ通じる扉を開いたが、宗教原理主義者とインテリジェント・デザイン論[訳注1]支持者はそれを閉じようと現在も試みている。
 ダーウィンの長年にわたる闘いによって生じた不協和音は、今の時代にもまだ響いている。実は私たちも誤った幻想にとらわれているのだ。根本的な物事が(「種の起源」のような衝撃的レベルで)解明されても、幻想にとらわれていれば合理的な思慮が妨げられる。現代の幻想はもっと危険でずっと根が深いものである。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

6 慎ましいインドはいずこへ(NI p8-9の要約)

現在インドには消費主義の大波が押し寄せている。全国にショッピングセンターができ、高級車の売れ行きも絶好調だが、目に余る状況も見られる。ウルバシ・ブタリアの報告。

 インドの首都デリーにある企業で雑用係として働く青年ラマカント。夜は庭仕事や何でも屋の仕事をし、副収入を得ている。彼は普段オートバイに乗っているが、町の暑さだけでなく、エアコンをかけた涼しげな金持ちの大きな自動車が熱をまき散らし、信号待ちで彼に熱気を浴びせかけることに非常に腹を立てている。
 ラマカントの怒りはもっともだ。インドの都市部、そして実際には農村部でさえ、金持ちは大きな自動車を運転するが、周囲の恵まれない人々を気づかうことはほとんどない。金持ちであることをひけらかし、時にはカネを使って力を手に入れ、法の網の目をくぐり抜けるようなこともする。
 数年前、裕福で政治的なコネを持つ若い男が町のバーで酒を注文した。しかし法律で決まっている酒類販売時間帯を過ぎていたため、ウエイトレスは注文を受け付けなかった。するとその男は激怒して銃を取り出しウエイトレスを射殺し、自動車で去って行った。彼はカネの力によって罪に問われないだろうと確信していたのだ。その事件が起こる少し前には、若い男たちのグループ(そのうちの1人は海軍の高官の孫)が酔っ払ってBMWでひき逃げをし、路上生活者5人を殺した。自動車についた血は、彼らの運転手が洗い流したという。貧乏人を数人殺したところで、彼らにとっては大したことではないのだ。
 インド人は拝金病にかかっているが、自らの手でつくり上げた国産にこだわる自給自足経済モデルを捨てたのは、それほど昔の話ではない。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

8 万国の労働者よ、リラックスせよ(NI p16-18の要約)

生きるために働く人もいれば、働くために生きているような人もいる。だが成長とは、より効率的な技術とより少ない労働力でより多くの物を生み出すという意味になる。ならば生産性向上で減少した仕事量を他の人々と分かち合ってはどうなのか。ゾー・コーミアが問う。

 世界金融危機の時、それを象徴するさまざま映像がニュースで流れた。その中でも印象に残っているのが、解雇されたリーマン・ブラザーズ社の元社員が笑みを浮かべながら箱を抱えてビルから出てくる場面である。それは、破壊された熱帯雨林や上海の高層ビル群と並び、私たちの時代を象徴するイメージのひとつだ。高報酬の仕事を解雇された元社員が浮かべる笑み。それを見ると、現在の働き方への疑問がわいてくる。
 週35〜40時間労働はあたりまえ。そしてそれは社会の繁栄に必要だと私たちは考える。だが、英国の「持続可能な開発委員会」で保健担当委員を務めるアナ・クートは、それに異を唱え、富、環境、気候変動など多くのことに悪影響を与えると言う。また、英国の新経済財団の報告書『21時間』の共著者として、週21時間労働にすべきだと彼女は主張する。英国では、現在の英国人の労働時間を均等に配分すれば、すでに平均で1人当たり大体週20時間労働になっているという。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

10 ブリーズ〜新しいそよ風(NI p7の要約)
干上がってしまった湖や多発する山火事。オーストラリアの農村部を襲う温暖化の影響。そんな状況を憂慮したコミュニティーの人々が、地に足ついた取り組みを地元で始めた。彼らの活動と思いを紹介する。

11 もうかる開発をせずに生きる(NI p13の要約)
豊富な銅が眠るエクアドルのインタグバレー。日本企業の現地子会社をはじめ、いくつかの企業がその資源を狙ってこの地域にやって来た。しかし住民たちは、銅山開発によって自然と生活が破壊されることを理解しており、企業の説得と工作に屈せずオルタナティブな方法を模索して生活している。

12 日本での動き
成長という自己暗示をかけて多くのことに目をつむってきた日本人。しっかりと目を見開き自己暗示を解き、現実と渡り合いながら新しい時代を見据える時が来ている。
●仏教経済学の考え方
●厳しさを増す労働者の現実<過労死110番全国ネットワーク

12 アクション! ─ 何かする・もっと知る
・日本の団体と参考ウェブサイト、本、資料などの情報。

14 今月のフォーカス(NI p21-24の要約)
●ミレニアム開発目標と貧困の基準
1日1ドル未満で暮らす人々の数を2015年までに1990年比で半減する目標を掲げたミレニアム開発目標。そもそもこの1ドルとはどうやって決められ、それは貧困の基準としては本当に妥当なのだろうか。

15 世界のニュース(NI p25-26からの要約)
・やみくもな暴力(パレスチナ)
・カネになるインドの牛(動物の権利)
・インドネシアの恐怖の弾圧(西パプア)

16 編集後記、次号のお知らせ、ほか

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