2010年10月号

NI No.436 & NIジャパン No.124

民主主義が変わるとき
A wake-up call for democracy

政党と選挙を中心とした西洋型の民主主義は、くたびれ、空虚で、専制的になってきている。現在多くの国は、民衆に選ばれた政治家という人々が政治をとりおこなう代表民主制という制度を採用している。しかし政治家たちは、代表として責務を託された民衆の意向を忘れ、利益集団や自己保身のために働くようになり、人々はそれにうんざりし、政治不信は深刻である。しかし一方で、特にラテンアメリカでは、より民衆に近い民主主義が実践され、人々の暮らしに前向きな影響も現れている。はたして、私たちはどんな民主主義に希望を見いだすことができるのだろうか。変わるべき民主主義のポイントと、その実践を紹介する。


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● NI No.436 目次 ●


(本文は英語です)


*<>の表示がある記事は、日本版に翻訳(全訳)もしくは要約記事を掲載しています。


4 読者の声


Agenda
6 今月のニュースのタネ
・10月3日ブラジル大統領選挙:ブラジルのルラ大統領の後はどうなる?
・10月4日レソト独立記念日:英国のウェールズとアフリカのレソトの共通点とは
・10月5日世界教師デー:教師と生徒への暴力<翻訳>
・10月7日:拷問に手を貸す米軍医たち
・10月10日:中米の地雷除去完了<翻訳>
・10月10日と12日:気候変動世界行動デーのアクション
・35年前の今月、NIは何を伝えたか……


Analysis
Special feature: democracy


10 大きな民主主義の素晴らしさ<翻訳>
現在の民主主義に幻滅していても、それほど悲しむことはない。これからの民主主義と希望を探してみよう。

16 被抑圧者の声を代弁するアルンダティ・ロイ
世界的権威ある英国の文学賞ブッカー賞を受賞したインドのアルンダティ・ロイ。彼女は高い人気を誇る一方で、当局への批判や言動から保守層からは批判を受けてきた。彼女の言説は、「世界最大の民主主義国家」インドが抱える2面性を浮き彫りにする。

19 独裁者を支援する民主主義の伝道者<要約>
中東の人々は西洋諸国が口を酸っぱくして喧伝する西洋型民主主義をどう見ているのだろうか? 彼らはなぜ、民主主義を受け入れようとしないのか? ベイルート在住の中東の専門家ロバート・フィスクへのインタビュー。

20 民主主義をもっと元気にする10の方法<翻訳>
民衆が主となる文字通りの民主主義を強化するには、どんな点に気をつけていけばよいのか。

22 スラム民主主義は未来の形<翻訳>
ラテンアメリカで実践されている草の根の民主主義。一般メディアがその動きや仕組みを報道することはほとんどない。しかし、それは地域の人々の生活を確実に変えている。


Applause

25 ネスレ社はなぜボイコットされるのか<翻訳>
多国籍食品大手ネスレ社が世界中でボイコットされるようになってから30年以上がたつ。10月25日から31日は、ネスレ社への働きかけを強めるキャンペーンInternational Nestle-Free Weekだった。ここで改めて、30年前から今日までのボイコットの道のりを振り返ってみよう。


Also in Analysis

26 女性たちが頼る占い師の弊害

アフガニスタンの首都カブールのあちこちで見かける占い師や魔術師と呼ばれる人々。女性たちがよく利用し、夫の暴力から家事や仕事の悩みまでさまざまなことを相談する。だが占い師たちがカネや家畜を受け取る代わりに与えるのは、呪いやおまじないレベルの実際には役立たずの助言だけだ。そしてその助言を受け入れる女性たちは、問題の本当の原因を見ようとはせず、彼女たちの状況は結局何も変わらない。

28 世界の国のプロフィール:エチオピア


Argument

30 臓器売買は許されるのか?
YESと言う精神科医でイエール大学医学部講師のシャリー・サテルと、NOと言う国際臓器移植学会の会長でシドニー大学教授の腎臓外科医ジェレミー・チャンプマンの激論。


33 パズルページ
クロスワード、数独、ワードサーチ。


Alternative

34 戦いではなく食べ物を作る紛争キッチン<翻訳> ほか


36 風刺漫画コーナー
これまでのビッグ・バッド・ワールド、オンリー・プラネットに加え、ビデオジャーナリストとマンガ家の国際ネットワークVJ Movementから提供された作品を毎月1つ掲載する。

37 Anna Chenのエッセー
英国で女優、脚本家、詩人、歌手、武術家などとして幅広く活躍するAnna Chenが、さまざまな話題をつづる。今回は、人間がなげな動物に夢中になる理由について。

38 インタビュー:ベンジャミン・ゼファニア
英国で生まれ育ったジャマイカ系の作家、レゲエミュージシャン、俳優のベンジャミン・ゼファニア。日本でも『フェイス』や『難民少年』(ともに講談社)が翻訳され、彼のレゲエのCDも容易に見つけることができる。長年にわたり人々にリズムを送り続けてきた彼に、政治、音楽、詩について尋ねた。

NI日本版 No.124 目次

(本文は日本語です)

 


1 大きな民主主義の素晴らしさ(NI p10-15の翻訳)

民主主義の現状に幻滅してる? それはいい! バネッサ・ベアードが幻滅の喜びと希望の誕生をたたえる。

 彼女が何を考えていたのかは知るよしもない。彼女の財布の中には、後で出かける舞踏会への汽車の往復切符が入っていた。つまりそれは、彼女が殉教を意図してはいなかったことを示している。
 おそらく彼女は、競走馬に旗を付けようと計画していたのではないだろうか。そうすれば、ゴールラインで婦人参政権論者の旗がはためくことになっただろう。
 だがこれも多々ある推測のひとつにすぎない。1913 年6 月のその日、ロンドン近くのエプソム競馬場で、エミリー・ワイルディング・デーヴィソンの意識が戻ることはなかった。彼女は、「女性の参政権を勝ち取るために自ら国王の馬の前に身を投げ出した」女性として、一般の人々の記憶の中に刻まれて伝えられている。
 世界の歴史には、参政権を得るためのこのような勇敢で犠牲的な話が多数ある。私たちが手にして当たり前のように思っているいくつかの権利も、それを勝ち取るためにたくさんの血が流されてきたのだ。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

7 独裁者を支援する民主主義の伝道者(NI p19の要約)

イラクとアフガニスタンへの侵攻を正当化するために使われたのが「民主主義の普及」という口実である。中東の専門家ロバート・フィスクが、彼の住むベイルートから語る。

西洋型民主主義は、中東では最近どのように見られていますか?
ヨーロッパの民主主義はどんどん衰えているように見えます。議会は力を失い、大統領制のようになってきています。中東の人々も、「民主主義の赤字」[訳注*]が話題になり、有権者が彼らの代表である政治家と徐々に距離を置くようになってきていることにも気づいています。そのため、私が中東で話をした多くの人々は、西洋できちんとできていないことをなぜ私たちに説教するのかと尋ねてきます。
 中東では多くの人々が民主主義の広がりを望んでいるでしょう。ただ彼らが話題にしているのは、不公正についてです。しかし、私たちが中東に公正さや正義を普及することに興味があるとは思えません。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

8 民主主義をもっと元気にする10の方法(NI p20-21の要約)
民衆が主となる文字通りの民主主義を強化するには、どんな点に気をつけていけばよいのか。

10 スラム民主主義は未来の形(NI p22-24の翻訳)

ラテンアメリカのあちこちで、これまでとは異なる民主主義が実践されている。それは人々の暮らしを変えているが、メディアが大きく取り上げることはほとんどない。ウルグアイの有名な著述家ラウル・ジーベヒが、「未来の民主主義」を探る。

 「教室ではみな平等よ」と言うのは、40歳ほどですでに孫がいるマリーゼルだ。私たちは、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスから約40キロのところにあるラストゥナスの巨大なゴミ捨て場のスラムにいる。
 マリーゼルが出席しているのは、公式な学校とは異なる教育の場bachilleratos populares(「民衆の学士号」という意味)だ。
 「みんながかかわりながら授業を作り上げていくのです」と言うのはロザーナだ。彼女は、アルゼンチン人が「みじめな居住区」と呼ぶこのスラム街の周囲にある住宅地で、清掃の仕事をしている。
 この仕組みは6年前に始まった。参加者のほとんどは、学校教育を終えることができなかった貧しい女性たちだ。学びの現場となったのはいくつかの工場だ。閉鎖されるところを労働者が引き継いで救済し、彼らの手で運営するようになったという。このbachilleratosは近隣の貧しい地区に広がり、現在では40カ所で5,000人が学び、いくつかの学校は認可も受けた。
 円形に座ってカリキュラムと教授法に関して議論し、生徒と教師両方に対する評価を行う。ここには究極の民主主義の形(ラディカル・デモクラシー)が存在する。この学校は、教室では教師が絶対的な力を持つ一般の学校とはまったく異なる仕組みになっている。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

13 日本での動き
選挙の度に話題に上る1票の格差。違憲判決もすでに出て、現在も昨年の衆議院選挙と今年の参議院選挙に関していくつも裁判が起こされている。民主主義の根幹を揺るがすこの不平等の現実と取り組みについて報告する。
●一人一票以下の現実<一人一票実現国民会議

13 アクション! ─ 何かする・もっと知る
・日本の団体と参考ウェブサイト、本、資料などの情報。

14 世界のニュース
・教師と生徒への暴力(NI p7の翻訳)
・戦いではなく食べ物を作る紛争キッチン(NI p35の翻訳)
・中米の地雷除去完了(NI p8の翻訳)
・ネスレ社はなぜボイコットされるのか(NI p25の翻訳)

16 編集後記、次号のお知らせ、ほか

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