2010年12月号

NI No.438 & NIジャパン No.126

ゼロカーボン社会は可能なのか
Zero carbon world - Can it be done?

石油、天然ガス、石炭。これらの化石燃料をそのまま地中にとどめて使わなければ、新たな二酸化炭素が放出されることはない。しかし、化石燃料にどっぷりと浸かった現代の人間の生活は、それを許さない。現在の私たちの暮らしを考えてみれば、新たな二酸化炭素の発生を防ぎ、再生可能で自然への脅威にもならないような資源で動く社会が、近い将来実現するとはとうてい思えない。しかし世界には、既存技術を応用したり意識や考え方や社会のシステムを変えたりして、二酸化炭素を排出しないゼロカーボン社会の実現を短期間で目指している人々がいる。今月は、ゼロカーボン社会に向けてすでに動き出している人々の活動と考え方を通じて、私たちが必要としているヒントと方向性を探る。



この号のご注文はこちらから→      セット(英語版&日本語版)    英語版    日本版

日本版PDF版(200円+税)はこちら
(DL-MARKETのサイトにジャンプします)


● NI No.438 目次 ●


(本文は英語です)


*<>の表示がある記事は、日本版に翻訳(全訳)もしくは要約記事を掲載しています。


4 読者の声



Agenda

6 今月のニュースのタネ
・世界エイズデー(12月1日):世界のエイズの現状
・西パプア独立の日(12月1日):インドネシアによる弾圧に苦しむ西パプア
・ボパール化学工場事故記念日(12月2日・3日):
 下水の水を飲まされているボパール化学工場毒ガス漏出事故被害者たち<翻訳>
・EU−インド貿易サミット(12月10日):英国企業進出の足がかりとなる取り決めの中身とは
・世界人権デー(12月10日):ケニアの人権ラジオ<翻訳>
・米軍基地閉鎖を目指す沖縄の人々の闘い
・35年前の今月、NIは何を伝えたか……


Analysis
Special feature: Zero carbon world


10 排出ゼロに向けて始動せよ<翻訳>
先進工業国において、20年以内に化石燃料からの炭素排出量をゼロにできるのか? この質問にYESという答えを示すのが、『ゼロカーボン・ブリテン2030 (Zero Carbon Britain 2030)』である。英国の代替技術センター(CAT)が中心となってまとめたこの報告書には、ゼロに向かうための具体的な方法が書かれている。そこには、どんな未来が描かれているのだろうか。
データ「ゼロカーボン社会への道 ― その現実と課題」を読む

14 ユートピアを探して<翻訳>
閉塞感が漂い、重くのしかかるような空気に包まれ、ユートピアという状況から最もかけ離れた時代だからこそユートピアは必要とされている。忙しい都市の生活に疑問を感じた環境活動家のカップルが、ヨーロッパのユートピア的共同体をめぐった旅の報告。

18 二酸化炭素排出を削減する ― 化石燃料不使用社会実現に向けた8つのポイント<翻訳>
自分自身の暮らしからコミュニティーのあり方、企業や国が進むべき方向性まで、人と社会が変わっていくためのヒントを示す。

22 バック・トゥー・ザ・フューチャー
故きを温ねて新しきを知る。先進国も30〜40年前は、今よりもずっとエネルギー消費は小さく、希望と夢は大きかった。


Also in Analysis

25 ジャーナリストが伝える戦争報道は真実なのか

多くのジャーナリストが戦争を派手に伝えるのはなぜか? その一方で、政府のうそや情報操作に挑んでそれをきちんと伝えないのはなぜなのか? ドキュメンタリーThe War You Don’t Seeを制作した著名なドキュメンタリー映画監督でジャーナリストでもあるJohn Pilgerへのインタビュー。

28 世界の国のプロフィール:ケニア


Argument

30 先進国は難民と移民を制限なく受け入れるべきか
世界には、さまざまな不当な理由から迫害されてそれから逃れるため、または困窮してなすすべもない状況から抜け出して生き延びるため、母国を後にして異国を目指す人々がいる。先進国は、このような人々すべてに国境を開放すべきなのか? それとも、移民の流入は規制を設けて管理すべきなのか?


33 パズルページ
クロスワード、数独、ワードサーチ。


Applause

34 フェアトレードよりもフェア
生産者にとってより適切な価格を定めることはフェアトレードのポイントのひとつである。しかしインドのJust Changeは、価格ではなく市場の仕組みを変えることで、一歩進んだ生産者と消費者の関係を模索している。


Alternative

35 職場で野菜作り<翻訳>
職場の緑は意欲を引き出し充足感を向上させることができる、とアナ・ウェストンは述べる。

35 食べ物について考える<翻訳>
毎日食べる食べ物はどこから来ているのだろうか。そのことを強く考えさせられる新しいキャンペーンについて。


36 風刺漫画コーナー
ビッグ・バッド・ワールド、オンリー・プラネットに加え、ビデオジャーナリストとマンガ家の国際ネットワークVJ Movementからの作品を掲載。

37 Anna Chenのエッセー
英国で、女優、脚本家、詩人、歌手、武術家などとして幅広く活躍するAnna Chenが、さまざまな話題をつづる。今回は、見境のない食欲とその罰について。

38 インタビュー:ジェシー・ジャクソン
米国の公民権運動活動家でキリスト教バプテスト派牧師であるジェシー・ジャクソン。昔の人種差別の状況から彼の生まれ育った環境、女性の権利やオバマ大統領の評価まで幅広く語った。


NI日本版 No.126 目次

(本文は日本語です)

 

1 排出ゼロに向けて始動せよ(NI p10-13の翻訳)
はたして私たちは、化石燃料を使わない未来に向けた変化を起こすことができるのか? できると言う人々の動きを、ジェス・ワースが報告する。

 よく晴れたすがすがしい朝、私は英国のウェールズ地方マカンレスの近くにある代替技術センター(CAT)[訳注1]を訪れた。私を乗せて急斜面を運んでくれたのは、素晴らしい水力ケーブルカーだった。以前採石場だったこの場所は、持続可能な未来のための実践的な解決策を探る研究の場として、30年以上にわたって徐々に整備されてきた。
 私は刺激を求めてここにやってきた。これまで5年間、気候変動の緊急事態にすべての人々が真正面から取り組まなければならないという切迫した必要性について文章を書き、キャンペーンを行ってきた。だが、私の気力も低下気味であることは否めない。
 昨年コペンハーゲンで行われた国連の気候変動対策会合の大失敗は想定内ではあったものの、それでも大きな失望感を憶えた。今年は史上最も気温の高い年となりそうで、世界にとって最も暑い10年のフィナーレを飾ることになる。
 世界では、激化する自然災害や極端な気候によって、今年も多くの人々が死亡した。人間活動が引き起こす気候変動の影響は、今やこの惑星の生態系の隅々にまで届き、暴走した気候変動が私たちを圧倒する脅威がすぐそこまで迫っている。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

データ「ゼロカーボン社会への道 ― その現実と課題」を読む


5 ユートピアを探して(NI p14-17の翻訳)

都会での生活に嫌気がさした気候活動家のイザベラ・フレモーとジョン・ヨルダンは、理想郷(ユートピア)を探してヨーロッパをめぐる旅に出た。彼らは何を発見したのだろうか。

 未来は過去とは違う。気候の大災害、エネルギー不足、大量の絶滅、経済の暴落、資源戦争、ひどくなる社会の不公正。このような暗黙の予言が告げられた窒息しそうな雰囲気の中で、私たちが持つユートピアを想像する力は衰退を続けている。世界がより良く変わることよりも、世界の終わりを想像することの方が容易な時代。しかしユートピアを思い浮かべられないような時代にこそ、ユートピアは最も必要とされている。それは、現実逃避のネバーランド[訳注:「大人になりたがらない」少年であるピーター・パンが住んでいた場所]、あるいは万人のためのシステムや完璧な未来などではなく、めちゃくちゃな現状を私たちが甘受する必要はないということを気づかせてくれる、肝の据わった継続的な苦闘として存在するものだ。
 私たちはロンドンで何の不自由もない生活をしていた。2人でアパートに住み、しきりにコンピューターを使い、常時インターネットに接続し、自分たちの手で何かを作ることはなく、生き物に触れる機会もほとんどなく、過剰なエネルギーを消費し、働き過ぎだった。生態系の正義を求めて直接行動する運動の活動家だったが、自らの言行不一致を感じていた。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

9 二酸化炭素排出を削減する
  ― 化石燃料不使用社会実現に向けた8つのポイント(NI p18-21の翻訳)

ゼロカーボン社会の実現は容易ではないが、多数の人々が決意と思いやりを持って行動を起こせばそれは可能だ。ダニー・シバーズの報告。

 快適な家、健康で安全な食料品、基本的な交通機関、高品質な公共サービス、そして多くの楽しみに囲まれた生活。このような快適な生活を送るのに必要なエネルギーの量は、現在のEU(欧州連合)における1人当たりのエネルギー消費量の約1/3であることが数多くの研究で示されている。もしも北の先進国の過剰消費をこの賢明で妥当なレベルにまで引き下げることができれば、誰も化石燃料を燃やすことなく南の開発途上国の生活レベルを引き上げることは本当に可能なことなのである。また、巨大ダムや原子力発電、地球工学[訳注:p4の訳注3参照]などに頼らずに、再生可能エネルギー100%で地球全体の需要を満たすことも可能だ。しかしそれを実現するには、地球上の資源の分配をより公正・公平にする必要がある。
 世界のほとんどの人々は、次のような主張にうなずくだろう。北の先進国は、消費の削減と二酸化炭素を排出しないエネルギーへの転換を実行すべきであり、南の開発途上国が環境に配慮した発展を歩むよう支援し、地元住民が有する土地や食料、森林に対する主権を擁護すべきである。これらの考えは、世界の不公平な権力構造によって妨害され、分別ある知識として受け入れらていない。しかし、十分な数の人々が、決意と思いやりを持って行動すれば、権力を奪い返すことは可能である。


・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

13 日本での動き
●適正な技術での問題解決
技術立国日本では、地球温暖化を得意の技術で解決すればいいと考える人も少なくない。しかし注意が必要なのは、有効で副作用のない適切な技術を、振り回されることなく利用することだ。長年インドネシアで、現地コミュニティーと人々の状況に合った適切な技術を導入・利用してもらうことを模索してきたNGOの理念から考える。
<取材団体:NPO法人 APEX>

13 アクション! ─ 何かする・もっと知る
・日本の団体と参考ウェブサイト、本、資料などの情報。

14 世界のニュース
・ボパール化学工場事故記念日(NI p8からの翻訳)
下水の水を飲まされているボパール化学工場毒ガス漏出事故被害者たち
・世界人権デー(NI p9からの翻訳)
ケニアの人権ラジオ
・職場で野菜作り(NI p35からの翻訳)
職場の緑は意欲を引き出し充足感を向上させることができる、とアナ・ウェストンは述べる。
・食べ物について考える(NI p35からの翻訳)
毎日食べる食べ物はどこから来ているのだろうか。そのことを強く考えさせられる新しいキャンペーンについて。

16 編集後記、次号のお知らせ、ほか

NIジャパン目次トップへ



  ●バックナンバーリストへ