2011年1/2月合併号

NI No.439 & NIジャパン No.127

企業ロビー活動の実態
Corporate lobbying - Who's pushing politicians' buttons?

政府と政治家に影響力を行使する企業。企業利益優先の活動が国の行政と立法をも左右し、国民の生活にも大きな影響を与える。しかし、企業のロビー活動の詳細は一般には知られていない。それは、直接的な働きかけや接触以外にも、業界団体や偽装団体を通じたものや、世論形成を図るPR会社などを使ったキャンペーンとしても行われ、それとは一目では分からないように実行されているからである。今月のNIでは、世界中で密やかに行使されているこの力の実態を報告する。



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● NI No.439 目次 ●


(本文は英語です)


*<>の表示がある記事は、日本版に翻訳(全訳)もしくは要約記事を掲載しています。

4 読者の声

6 今月のニュースのタネ
・ハイチ独立記念日(1月1日):危機が続くこの国のゆくえ
・南スーダン分離独立住民投票(1月9日):新たな国誕生への一歩か?
・国際森林年(2011年):先住民族には冷淡な「地球大賞」受賞者<翻訳>
・カナダ−EU貿易交渉(1月16〜21日 ブリュッセル):地球温暖化に重大な影響を及ぼす政策
・オーストラリア建国記念日(1月26日):難民への対応をめぐる議論と法律
・20年前のこの月に、NIは何を伝えたか……


◆特集:企業のロビー活動


10 不名誉の殿堂<翻訳>
大手企業の意向を押し通そうと人知れず説得を行う連中と、それに惑わされる政府。一般の人々の視線に絶えずさらされるべきそのなれ合い関係にメスを入れる。

14 企業の影響 ― その事実<翻訳>
数字が語るロビイストの影響からPR企業という陰の大物たちの行状まで。

15 南の国からの一コマ
アマゾンの川をボートでさかのぼりながら考えた人の営みと自然のサイクル。

16 カネにモノ言わす企業 ― 世界を最もゆがめている産業界ロビー トップ10<翻訳>
企業の意向に沿って政策をねじ曲げるよう政治家に働きかけるには、高度なテクニックが必要だ。企業のために働くロビイストたちはその技術を持ち、政治家を操る術を知っている。目立たないようにして動くロビイストの知られざる活動とその影響を報告する。

22 米国で考える
Foreign Policy In Focusの上級アナリスト、マーク・エングラーが、世界の現象と問題を分析する。今月は、拡大を続ける米国内の経済格差について。

25 ミクスト・メディア
本・映画・音楽の紹介(Best of 2010)

24 母なる大地を守る
1960年代の「土地か死か」運動は、ペルー最初の土地改革に道を開いた。その先頭に立っていたのが、ペルーの農民運動の伝説的指導者ウーゴ・ブランコである。ペルー軍は彼を処刑すると宣言したが、バートランド・ラッセル、ジャン・ポール・サルトル、シモーヌ・ド・ボーヴォワール、チェ・ゲバラなどによる国際的な支援運動によって処刑は回避された。その後25年の刑期が言い渡され投獄されたが、刑期は短縮され8年で釈放となった。現在76歳になる彼に、困難な闘いの日々や投獄時の様子、先住民族の現在と未来について聞いた。(ウーゴ・ブランコ著の『土地か死か−ペルー土地占拠闘争と南米革命』邦訳は柘植書房より1974年に出版されている)

27 不公正というウイルスに立ち向かう
もうひとつのノーベル賞と言われるライト・ライブリフッド賞を受賞したイスラエルのNGO、Physicians for Human Rights Israel(PHRI)。イスラエル国内だけでなくパレスチナ占領地域でも活動するこの保健医療団体の信念とこれまでの経験について、ハダス・ジブ事務局長に聞いた。

28 世界の国のプロフィール:ギニアビサウ

30 激論! ベジタリアンはベストな方法なのか?
植物由来の食べ物に比べると、食肉はやはり環境に多大な負荷となるのだろうか? それとも、環境に負荷をかけないグリーンな食肉生産は可能なのだろうか? この小さな惑星に適した食のあり方について、専門家が議論を闘わせる。

33 パズルページ
クロスワード、数独、ワードサーチ。

34 「植物マイレージ」を減らそう!
観賞用の植物は、輸入品であることも珍しくない。環境という観点から考えると、そこには遠距離輸送時の炭素排出量以外にも、いくつかの落とし穴があった。

34 町ぐるみでフェアトレードな暮らしを
世界中で増え続けているフェアトレードタウンとは何か。

35 幅広い視野で現代をとらえるスローフード
日本でも注目を浴びているスローフード。それは、単なる食文化と農業に関する話ではない。政治や貿易や企業活動がからむ問題も関係してくる。例えば、日本や韓国などにおける国内農業の衰退と、途上国で進む農地の買収とは無関係ではない。昨年10月にイタリアのトリノで行われた食の祭典Salone del Gusto(農民、生産者、研究者、料理人が情報や主張を発信するTerra Madreも同時開催)の様子と、スローフードに関係する課題を報告する。
参考リンク:スローフード・ジャパン

36 風刺漫画コーナー
ビッグ・バッド・ワールド、オンリー・プラネットに加え、政治マンガ家とコミック・ジャーナリストの国際ネットワークCartoon Movementからの作品を掲載。

37 カイロからの手紙
部屋に現れたネズミという招かれざる客と、それに対する周囲の人々のさまざまな反応。

38 インタビュー:スーザン・ジョージ
政治学者、作家、そして公正な世界を目指すグローバル・ジャスティス運動活動家として長い活動歴を持つスーザン・ジョージが、金融危機=モラル危機である理由や、聞く耳を持たない指導者たちをコントロールする方法について語った。


NI日本版 No.127 目次

(本文は日本語です)

 

1 不名誉の殿堂(NI p10-13の翻訳)
大手企業の意向を押し通そうと人知れず説得を行う連中と、それに惑わされる政府。一般の人々の視線に絶えずさらされるべきそのなれ合い関係を、バネッサ・ベアードが明らかにする。

 「冗談でしょ?」と寄せられたインターネット上の記事に対するコメント。
 「カレンダー見たけど、今日は4月1日じゃないよ」と他の読者がコメントを返した。
 それは冗談ではなかった。英国の保守党と自由民主党の連立政権は、国の保健医療政策立案にかかわる委員会の委員として、マクドナルドやペプシなどの企業を参加させることを本当に決めたのだ。(1)
 そしていくつもの例え話が飛び交った。
 「宗教への寛容性をうたう政策をヒトラーに作らせるようなものだ」「[幼児殺しの]マイラ・ヒンドリーが児童福祉法を作るようなものだ」等々。
 だがほんの数カ月前、当時はまだ野党だったデービッド・キャメロン[訳注: 2010年5月の総選挙後に英国の首相に就任した保守党の党首]は、企業のロビー活動が及ぼす悪影響について警告していたのだ。当時彼は、次に起こるであろうスキャンダルについて、それは「政治、政府、ビジネス、カネがあまりにも結託しすぎている問題をはらむもので、我々の政治をあまりにも長きにわたり毒してきたものだ」と述べた。(2)
 選挙とは、なんと大きな変化をもたらすものなのだろうか。


ロビー活動の世界

 ロビーイング(ロビー活動)は、特に目新しいものではない。この言葉の起こりは、1800年代初めにユリシーズ・シンプソン・グラント米大統領がワシントンDCのウィラード・ホテルのロビーを頻繁に利用していたことにさかのぼる。英国での由来は、国会議員の採決に影響を与えるために、議会の通路やロビーで個人や利益団体の代表者らが議員に訴えようと待ち構えていたことだと言われている。
 一般論では、ロビー活動は民主的な政治過程の一部にすぎない。特別な利害を持ついかなる団体、例えば労働組合、慈善事業を行う団体、環境団体、業界団体なども、ロビー活動をすることが可能だ。外国政府を代表する団体でさえもそれは同じである。
 だが、活動の活発さ、投入資金量、影響力からいっても、企業利益を代表するロビー活動が他を圧倒している。
 パブリック・リレーションズと呼ばれる広報渉外ビジネスの一部門であるロビー活動(パブリック・アフェアーズとも呼ばれる)は、それだけでも数十億ドルのビジネスに成長している。企業が行うロビー活動がどういうものなのかを知るには、金融業界を規制しようと試みる米国の状況を見ればよく分かる。ワシントンでは、1,000人近くのロビー活動家(ロビイスト)が政治家に影響を与えるべく活動している。金融業界のために働き、金融改革に抵抗するロビイストの数を見ると、同様の活動をする市民グループの活動家の11倍と圧倒している。(3)

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください


5 企業の影響 ― その事実(NI p14の翻訳)

●政治資金

 企業は政党に献金をして、なんとか選挙結果と政策立案の両方に影響を与えようとする。政治献金に関する法律は国によってさまざまである。
 カナダでは、企業と労働組合からの政治献金は禁じられている。フランスでも同様に企業からの献金は禁止。しかし、フランス化粧品大手ロレアルの創業者の娘[訳注:現在88歳で世界有数の資産家]がサルコジ大統領に資金提供したとされる不正献金疑惑が表面化したことは、法をすり抜けている連中がいることを示唆している。英国では、献金記録公開が義務付けられ、献金額にも上限があるため、政党への「貸し付け」と偽装された資金提供が行われる。オーストラリアでは、企業献金は容認されているが、その詳細は選挙後18カ月が過ぎるまでは非公開である。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

6 カネにモノ言わす企業 ― 世界を最もゆがめている産業界ロビー トップ10(NI p16-21の翻訳))

計算づくの草の根運動と巨大石油企業

 前代未聞の世界一の巨大企業。コーク・インダストリーズは、こう呼ばれることを好む。しかしそんな企業でも、ティーパーティーへの資金提供は隠しきれず、その事実は2010年に報道された。ティーパーティーは、2010年11月の中間選挙に向けた米国で大躍進を遂げた。ほとんどのメディア報道では、それは大衆的な草の根運動であると伝えられていた。しかし、地域での集会や激しい訴えの裏でそれを操っていたのは、石油で財を成したコーク・インダストリーズのデヴィッド・コークが資金を提供する自由市場擁護シンクタンク、アメリカンズ・フォー・プロスペリティー財団(AFP)である。
 石油ロビーの力は、これまで多くの資料によって裏付けられている。2009年に巨大石油産業が米国でロビー活動に費やした資金は1億6,900万ドルと報告され、さらに数百万ドルが政治的支持を得るために使われた。英国の石油メジャーBPだけでも、50万ドル相当の政治献金を行い、そこには大統領選を戦うオバマ陣営への献金7万1,000ドルが含まれている。(1) (BPのロビー活動費総額は1,600万ドルとこれよりもずっと多い)
 しかしこれらの話は、活動実態の半分しか物語っていない。巨大石油産業は、すべての資金を申告したり公開したりしているわけではない。気候変動への取り組みを阻止する活動や世論を操作する目的で行われる幅広いPR戦略などへ資金を提供している。ティーパーティー運動はアストロターフ(人工芝)[訳注:民衆の草の根運動ではない作られた運動として揶揄する表現]としては、史上最大規模のキャンペーンである。それが作り物だということは、デヴィッド・コークがAFPのイベントで演説しているところを撮影され明らかになった。


・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

13 日本での動き
●私益と公益とグレーな主張
日本では、ロビー活動という言葉こそ使われないものの、企業と国のなれ合い関係にまつわる問題は、政治とカネや天下りなどの問題として長い間国民から怒りを買ってきた。だが、官民人事交流事業や防衛省主催の企業との意見交換会など、「公的な」なれ合いの仕組みと機会はいまだになくならない。
<取材団体: 核とミサイル防衛にNO!キャンペーン  ウェブサイト ブログ

13 アクション! ─ 何かする・もっと知る
・日本の団体と参考ウェブサイト、本、資料などの情報。

14 世界のニュース
・「植物マイレージ」を減らそう!(NI p34からの翻訳)
観賞用の植物は、輸入品であることも珍しくない。環境という観点から考えると、そこには遠距離輸送時の炭素排出量以外にも、いくつかの落とし穴があった。
・国際森林年(2011年)(NI p7からの翻訳)
先住民族には冷淡な「地球大賞」受賞者。
・スーザン・ジョージ インタビュー(NI p38からの翻訳)
政治学者、作家、そして公正な世界を目指すグローバル・ジャスティス運動活動家として長い活動歴を持つスーザン・ジョージが、金融危機=モラル危機である理由や、聞く耳を持たない指導者たちをコントロールする方法について語った。

16 編集後記、次号のお知らせ、ほか

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