2011年3月号

NI No.440 & NIジャパン No.128

世界金融危機と政治的挑戦
Up in arms - How the financial crisis sparked a wave of popular protest

世界金融危機のショックとその後遺症にいまだうろたえ、萎縮し、停滞している先進国を尻目に、開発途上国の経済は全体的に見れば比較的順調に推移し、国際社会での存在感も大きくなっている。また、莫大な債務を抱え、それが国民生活に大きな影響を及ぼしている開発途上国の中には、その貸し付けの裏にある理不尽な制度と動機に対する民衆の異議申し立てが強まり、新たな動きが始まっている国もある。さらにはアルゼンチンのように、突きつけられた理不尽な現実に民衆だけでなく国が反旗を翻し、緊縮財政政策で傷ついた国民を癒す政策を対外債務返済よりも優先している国も出てきている。今月は、世界金融危機で現実味を帯びたグローバルな経済制度の変革と、そこに向かうべく行われている政治的挑戦について探る。

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● NI No.440 目次 ●


(本文は英語です)


*<>の表示がある記事は、日本版に翻訳(全訳)もしくは要約記事を掲載しています。

4 読者の声

6 今月のニュースのタネ
・国際女性デー(3月8日):国際女性デー創設から100年の今年、「男中心」の世界は変わったのだろうか。<翻訳>
・EU−モロッコ漁業条約期限(3月1日):モロッコに併合された西サハラ。その豊富な漁業資源が、モロッコが結ぶ漁業条約によってEUに奪われている。
・原発建設への激しい反対(インド):フランスの原発大手アレバとフランス政府に後押しされ、原発建設を強引に推し進めようとするインド政府。政府はあの手この手で土地の買収と住民理解の促進を図ろうとしているが、地元農民の不信は強く、激しい抵抗が続いている。<要約>
参考:2005年9月号「巻き返しをはかる原子力エネルギー Nuclear's second wind」

◆特集:世界経済危機


10 大反乱の時代<翻訳>
2007年の世界金融危機は、世界経済の重心移動を加速させたようだ。大不況に見舞われ大きな痛手を受けた先進国と、世界金融危機前に経験していた苦しい経済運営の時代をくぐり抜けて成長している開発途上国。ただそのどちらの世界でも、これまでの経済の仕組みに対する民衆の不満が噴出して政府への圧力となり、新しい時代に向かう後押しともなっている。

17 インドで続く農民の自殺<翻訳>
インドの農村部では、1995年以来25万人の農民が自ら命を絶っている。それは、インドがグローバルな経済システムに組み込まれた副作用である。世界金融危機の影響もほとんどなく大量の犠牲者を生み出し続けている現場からの報告。

18 2010年の果敢な抵抗<翻訳>
食料価格の高騰から社会福祉や教育予算の削減、政府の不正から劣悪な労働条件まで、世界のあちこちで人々の不満が爆発し、それが抗議集会やデモを経て、暴動や独裁者追放にまでつながっている。2010年に世界各地で起こった主な民衆の抗議活動を紹介する。

20 世界の声なき声を聞く<翻訳>
人口で言えば世界のマジョリティー(多数派)である開発途上国の人々。しかし彼らが抱く経済的な苦しみや困難な生活に対する声に、先進国の政府やメディアが耳を傾けることはほとんどない。単なる人口上の多数派から脱却しようとしているマジョリティー・ワールドの人々の生の声を聞いてみよう。

22 もうひとつの世界は可能だ
地球村の人々を行動へと刺激する世界の動きと参考ウェブサイト

23 社会を揺さぶる人々
2006年にOne Million Signatureという運動を立ち上げ、女性に著しく不平等なイランの法律の改正を訴えるためにイラン人100万人の署名を集め続けているパーヴィン・アルダラン。彼女の活動の軌跡と、変化を求める思いについて聞いた。

24 先住民としての失われた記憶を求めて
かつてカナダでは白人文化への同化を目的に、先住民族の子どもたちを両親の元から引き離して寄宿学校で教育する同化政策が行われていた。現在は真実と和解委員会が設立され、同化政策によって心に傷を負った人々を癒す作業が行われている。

26 米国で考える
Foreign Policy In Focusの上級アナリスト、マーク・エングラーが、世界の現象と問題を分析する。今月は、世界に対する政治外交の影響が弱まっている米国の行く末について。

27 世界の民衆の力を見える形に
193カ国に660万人のメンバーを擁し、1万を超えるイベントで3,000万のオンラインアクションを実施。この4年でもこれほどの実績を残したオンライン・コミュニティーのAvaazとは何か? 1997年創立以来の理念と活動を振り返る。

28 世界の国のプロフィール:サモア

30 激論! 抗議活動での破壊は許されるのか
黒い装束の「過激な一団」が商店のガラスを叩き割る。最近のサミットなどではこんなシーンを目にすることが多くなっている。しかし、このような他人の財産に損害を与えるという行為は物議を醸し、社会と政治的変革を求める活動の在り方自体にまで議論が広がってきている。今回は2人の活動家がこの問いにYESとNOで激論を交わす。

33 パズルページ
クロスワード、数独、ワードサーチ。

34 ミツバチを救う飼育方法<翻訳>
はちみつ生産だけでなく、農作物の受粉に非常に重要な役割を果たしているミツバチ。ミツバチに迫っている危機と、それを救うためのオルタナティブな方法について。
参考:2009年9月号「ハチはどこへ行った? Vanishing bees」

35地元のガーデニング・クラブを活用しよう
趣味の本やインターネット以上に価値の高いのが地元のガーデニング・クラブだ。どんな利用法があるのか?
※ガーデニング・クラブの作り方についてはeHowを参照。

35 不要になった携帯はリサイクル
どこかへしまったままになっている携帯も、資源としてリサイクルできる。販売店に持って行ったり、リサイクル携帯で活動資金を捻出しているNPO/NGOに寄付したりするのもひとつの方法だ。
※日本ではケータイゴリラという活動が行われています。

36 風刺漫画コーナー
ビッグ・バッド・ワールド、オンリー・プラネットに加え、政治マンガ家とコミック・ジャーナリストの国際ネットワークCartoon Movementからの作品を掲載。

37 カイロからの手紙
民衆が達成した独裁者の追放。今回エジプト人は、自分たちが持つ強さと人間愛に初めて気づいた。彼らの勢いはこれからも続くだろう。

38 インタビュー:ジャッキー・ケイ
英国のイングランド地方に住む詩人で作家のジャッキー・ケイ。しかし彼女にはスコットランドとナイジェリアの血が流れている。日本でも心温まるユニークなファンタジー『ストローガール』(邦訳:求龍堂刊)が出版されている彼女が、文学だけでなく、文化、人種差別、故郷についても語った。


NI日本版 No.128 目次

(本文は日本語です)

 

1 大反抗の時代(NI p10-16の翻訳)
豊かな国々は、「大不況」によって大騒ぎとなっている。その騒々しさに隠れて目立たないが、世界のほとんどの場所では「大反抗」という大不況よりはましな響きを持った現象が進行している。劇的な変化が起こっている世界の現状を、デビッド・ランソムが探る。

  先日カイロで起こった市民による劇的な蜂起。それは、「緊縮財政」政策に抗議する活動から始まり、本格的な革命へと変化していった。その渦中で多くの人々が、「こんなことは初めてだ!」と言ったが、彼らはそう言えることに誇りを持っていた。
 これとは対極にあるのが、先日偶然耳に入ってきた話である。英国の政治家に対してあるスピン・ドクター[訳注:特に政治においてメディア対策や情報操作を担当する人]が、「こんなことは初めてだ」などとは絶対に言わないようにとアドバイスしているという。彼の意見では、その言葉は言い訳のように聞こえ、この困難な時代、そんな言葉に納得して許してくれるような雰囲気にはないということらしい。そしてさらに、「以前から起きていてそれが続いているのだ」と言った方がはるかにましで、そうすれば自分以外の誰かに非難の矛先が向く、と言っているという。私の頭に即座に浮かんできたのは、私の長い人生において自分の中で続いてきたものについてである。だがそれは自己責任であって、誰のせいでもない。
 私は多額の借金を背負って大学を去った。1968年当時、そのような借金はあまり一般的ではなく、それは私の考え方に影響を及ぼした。私は何をしたらいいのか全く分からないまま、借金返済の義務を感じていた。その時最も適切な進路に思えたのが、国際的な銀行に勤めることである。
 私がウルグアイのモンテビデオに行って働き始めると、その考えが正しかったことが分かった。年収の半分ほどもあった私の借金は、半年も経たないうちに返済できた。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください


9 インドで続く農民の自殺(NI p17の翻訳)

爆発的な経済成長の副作用について、ジャイディープ・ハーディカールが報告する。

  「私たちには夢を持つ権利もありません」
 インド中部にある綿花栽培地域の農民女性が私にこうつぶやいた。彼女は前日、ぎりぎりの生活に耐えていた夫を自殺で失った。干ばつによって打撃を受けた彼の畑は、荒涼とした姿をさらしていた。農村部での自殺の連鎖は止まらず、彼らはその最も新たな犠牲者とその未亡人ということになる。インドの農村部では、1995年から2010年の間に25万人の農民が自らの手で命を絶った。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

10 2010年の果敢な抵抗(NI p18-19の翻訳)
食料価格の高騰から社会福祉や教育予算の削減、政府の不正から劣悪な労働条件まで、世界のあちこちで人々の不満が爆発し、それが抗議集会やデモを経て、暴動や独裁者追放にまでつながっている。2010年に世界各地で起こった主な民衆の抗議活動を紹介する。


12 世界の声なき声を聞く(NI p20-21の翻訳)

かつては、彼らの言うことなど誰も耳を傾けなかった。今では、その声を無視することはできない。アフリカ、アジア、ラテンアメリカに住む人々は、現在は世界の多数派(マジョリティー)なのである。それぞれの大陸から1カ国を選び、大不況に関して人々の声を聞いた。

「苦労して回収しても、全然利益にならないのです」

エドゥアルド・フェレイラ・デ・パウラ
廃品回収業
 エドゥアルドは18年間サンパウロの町で廃品回収をしている。彼は全国廃品回収業労働組合のリーダーのひとりだ。リサイクル率がまだまだ低いブラジルだが、彼のような廃品回収に携わる労働者が約80万人いる。
 「私たちが最も不安なのは、今後紙と金属のリサイクルがどうなるのかということです」とエドゥアルドは言う。「多くの廃品回収業者が仕事を失いました。アルミ缶と段ボールの価格は約半分になってしまいました。オフィスから出る未分別の紙も、回収してもまったく売れなくなってしまいました。かつては回収して歩いていた物も、現在は路上に放置されています。苦労して回収しても、全然利益にならないのです」


・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

14 世界のニュース
・国際女性デー(3月8日)(NI p6からの翻訳)
国際女性デー創設から100年の今年、「男中心」の世界は変わったのだろうか。

・ミツバチを救う飼育方法(NI p34からの翻訳)
はちみつ生産だけでなく、農作物の受粉に非常に重要な役割を果たしているミツバチ。ミツバチに迫っている危機と、それを救うためのオルタナティブな方法について。
参考:2009年9月号「ハチはどこへ行った? Vanishing bees」

・原発建設への激しい反対(インド)(NI p9からの要約)
フランスの原発大手アレバとフランス政府に後押しされ、原発建設を強引に推し進めようとするインド政府。政府はあの手この手で土地の買収と住民理解の促進を図ろうとしているが、地元農民の不信は強く、激しい抵抗が続いている。
参考:2005年9月号「巻き返しをはかる原子力エネルギー Nuclear's second wind」

16 編集後記、次号のお知らせ、ほか

*「日本での動き」はお休みいたしました

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