2011年9月号

NI No.445 & NIジャパン No.133

民衆が待ちわびる「パキスタンの春」

Pakistan - Daring to hope

民政になっても軍の強力な影響下にあるパキスタン。近年では、アフガニスタン、インド、米国でのテロや、タリバンとの関係も指摘され、背後には軍や情報機関の存在も取りざたされている。この国に関するそのほかの報道といえば、経済の停滞、汚職、イスラーム原理主義の台頭や、たびたび起こる地震や洪水といった自然災害など、混迷を深める様相ばかりが伝えられる。しかし実は、この国の底流には現在重要な変化の兆候が見てとれる。今月のNIでは、その変化の伏線となる軍、民衆、左翼の現状と影響力について分析し、この国の今後を探る。

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● NI No.445 目次 ●


(本文は英語です)


*<>の表示がある記事は、日本版に翻訳(全訳)もしくは要約記事を掲載しています。

4 読者の声

6 今月のニュースのタネ
・パレスチナの国家承認がかかる国連総会(9月1〜30日)
イスラエルとワルシャワの強い結びつきが障害に。
・グアテマラ総選挙(9月11日)
「私はグアテマラのために離婚した初めての人間よ」。
・愛国者を産む?
人口減少に悩むロシアが打ち出したキャンペーンとは。
・国際国防システム・設備展 in ロンドン(9月13〜16日)
死の商人のお買い物。
・ムービング・プラネット行動デー in アフリカ(9月24日)
気候変動対策の失速を防ぐために。
・メールで離婚のタジキスタンの女性たち
ロシアに出稼ぎ中の夫から「Talaq, talaq, talaq」(talaqは離婚の意)とだけ書いたメールで離婚を告げられ、経済的苦境に陥る妻たちへ支援について。
・氏名変更を勝ち取ったエクアドルのジェンダーの闘士
男性名を名乗っていたトランスジェンダーの人が、エクアドルで初めて女性名への変更を許された。
・15年前のこの月に、NIは何を伝えたか……


◆特集:パキスタン

12 パキスタンに希望はあるのか<翻訳>
政府情報機関が背後にいるとされる国内外でのテロ、米国によるビンラディン殺害の背景、政治家や役人の腐敗、宗教がらみの要人暗殺、タリバンへの支援……。各種報道には、この国の混乱状態と末期的な症状に関するものが多く見受けられる。では、その背後には何があるのか、この国はどこへ行こうとしているのか。そしてまた人々は、混迷のトンネルを抜ける希望を見つけているのだろうか。

15 イスラーム教の冒涜と法<翻訳>
イスラームの神を冒涜(ぼうとく)した場合、極刑が下されることもあるパキスタンのイスラーム教冒涜罪。この法律は、少数派宗教の弾圧と宗教感情の強化に利用されている。しかし驚くことに、この法律を支えるような解釈は、イスラームの教えの中には見られないという。この法律にはどんな背景があるのか。

20 戸籍のない少年と教育の機会
孤児院で暮らす高校生の少年。彼は成績が優秀で、大学受験資格を取得した。しかし戸籍にあたるものがなく、両親も不明な彼は、受験に必要な書類を用意できず、受験を認めてもらえない。受験への道を切り開くべく、彼は闘っていく。

22 自立と復興の精神<オンラインリポートに掲載>
2010年、パキスタン北西部のハイバル・パフトゥンハー州を襲った大規模な洪水。1年以上が過ぎたが、その傷跡は町や村だけでなく人々の心にも残っている。だが一方で、自立に向けた復興と回復のプロセスは着実に進んでいる。
※NI日本版の「日本での動き」では、災害直後から現地で緊急援助活動を行った日本のNGO「ジェン」について報告しています。
 →この記事を読む

24 貴重なパキスタンの歴史遺産
5000年あまり昔から文明が栄えたパキスタンとその周辺地域。インダス文明の遺跡として有名なモヘンジョダロやガンダーラ時代のタキシラなどは、世界遺産としてもよく知られている。そんなパキスタンの偉大な遺跡を紹介する。

26 パキスタンの左翼の軌跡<要約>
パキスタンの左翼活動は海外で始まり、1947年のパキスタン・インド独立後しばらくは、作家協会がベースとなった。長い間政府に弾圧され、多くの血が流されたが、最近ではその苦労が実って労働者の賃上げなど社会変革の一端を担うようになった。一貫して民主主義の文化を追求してきたその歴史と、最近の成果について報告する。

28 パキスタン ― その事実<翻訳>
人口、国民所得、教育、援助、死亡率と平均寿命、宗教、国防、保健医療、汚職に関するデータ。



29 米国で考える
Foreign Policy In Focusの上級アナリスト、マーク・エングラーが、世界の現象と問題を分析する。今月は、10年を迎える9.11後の米国の動きを振り返る。

30 世界の国のプロフィール:アルメニア

32 アフリカへの援助は投資に置き換えるべきか?
経済が好調のアフリカでは、援助の在り方について関心が高まっている。今月は、ナイジェリア出身のジャーナリストで地域開発委員会役員のドニュ・コグバラと、エチオピア出身で英国の援助団体クリスチャン・エイド職員でタックス・ジャスティス・ネットワーク・アフリカの代表も務めるデレイ・アレマイエが、真正面から激論を闘わす。

35 パズルページ
クロスワード、数独、ワードサーチ。

36 風刺漫画コーナー
ビッグ・バッド・ワールド、オンリー・プラネットに加え、政治マンガ家とコミック・ジャーナリストの国際ネットワークCartoon Movementからの作品を掲載。

37 カイロからの手紙
革命モードが続くエジプトで、ジャーナリストたちとって初めて報道の自由をかみしめることができる時代がやってきた。

38 実現したオーストラリアのエコシティー
10年の歳月を経て完成したオーストラリアのアデレードにあるクリスティーウォーク。このコミュニティーは、持続可能な生活の最高のお手本であり、人々の創造性を刺激する。

NI日本版 No.133 目次

(本文は日本語です)

 

1 パキスタンに希望はあるのか(NI p12-19の翻訳)
混迷するこの国の背景と将来について、ディヤーウッディーン・サルダールが探る。

 コサール・マーケットに行くと、勢いのある噴水が出迎えてくれる。その横のカラフルな台の上の大きな鳥かごの中では、オウムが愛嬌を振りまいている。小さいながらも魅力的なモスクからは、ムアッジン[訳注:モスクから礼拝の時間を知らせる人]が祈りの時間であることを告げる。このマーケットは、パキスタンの首都イスラマバードの富裕層とパキスタン在住外国人のお気に入りの場所だ。ここは、エリートたちがやって来て、カプチーノを飲み、アル・サリーム・ヘア・エクスペリエンス・サロンで髪を切り、ウォール・ストリート・ジャーナル紙を買うような場所なのである。
 今年1月3日、当時パンジャブ州知事だったサルマン・タシールは、マーケット内にある小さいながらも洗練されたレストラン、テーブル・トークで昼食をとった。彼は、食事が終わるとすぐ近くのロンドン・ブックショップでタイム誌を買い、車に向かって歩き出した。その直後に起こった事件。それは、パキスタンを混乱のふちに突き落とし、この国が抱える一触即発の社会的、宗教的、政治的なすべての分裂を、これまでなんとか閉じ込めていた箱から解き放つものとなった。
 その時テーブル・トークの前で客待ちをしていた無線タクシー運転手、タラール・タバスムは、目撃した事件の模様を次のように話した。「彼の警護官のひとりが車から飛び出してきたと思ったら、手にしたカラシニコフを知事に向け、平然と撃ち始めたんだ。彼は数秒間撃ち続けたよ」。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

9 イスラーム教の冒涜と法(NI p15の翻訳)

イスラーム教の中に冒涜罪の根拠となるものは存在しない。しかしパキスタンでは、少数派の宗教を威嚇して支配する道具として使われている。

 パキスタンの歴史にはほとんど出てこない冒涜罪は、その歴史的背景の欠乏によって異彩を放っている法律だ。ジア・ウル・ハク将軍率いる軍事政権下の1980年、それは初めて姿を現した。パキスタンの法律の「イスラーム化」を進めることを望んだハクは、既存の法律の改正と新しい法律の制定に向け、宗教学者から成る諮問機関を立ち上げた。また彼は、アハマディア派がイスラームの言葉を使用することを防ぎたいと考えた。アハマディア派とは、1973年に非イスラームであると布告された宗教少数派である。将軍は1980〜1986年の間に、一連の条文を刑法に加えるため「複数の代表者」を選出した。その条文とは、宗教感情を害したり、冒涜したり、コーランを損傷したり、またその神聖さを汚したり、コーランの引用を「いかなる形でも権威をおとしめたり不法な目的で」使うことを禁じるものである。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください


10 パキスタンの左翼の軌跡(NI p26-27の翻訳)

誇るべき歴史を持つパキスタンの左翼。現在は次なる闘争に向けて再編が進む。その歴史と現状を、カランダー・バクシュ・メモンとアリ・モシンが報告する。

 まるで庭の雑草が何度も生えてくるかのように、一貫した激しい議論が繰り返される。パキスタンに左翼は存在するのだろうか? 存在しないと言う人々には、世界的な左翼の衰退に幻滅している海外在住パキスタン人が多い。また、存在しているが分裂し、対立していると言う人もいるが、そんな各派閥が一致団結すれば社会主義革命はすぐに達成されるだろう。さらには、知性がもたらす悲観主義と意志がもたらす楽観主義から、左翼は存在しており、苦闘の末にしばしば成果を上げているが、いまだに全国的組織にはなっていないと言う人もいる。


・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

12 パキスタン ― その事実(NI p20の翻訳)
人口、国民所得、教育、援助、死亡率と平均寿命、宗教、国防、保健医療、汚職に関するデータ。

13 日本での動き
経済から治安まで、困難が続くパキスタン。それに加え、しばしば自然災害にも見舞われ、昨年は洪水で大きな被害が出た。だが現地の人々は、日常的な困難に輪をかけて苦労を強いる天災に遭っても、外部の力を借りながら立ち直っていく。今月は、日本のNGOが昨年から今年にかけて行った洪水支援について報告する。
●緊急事態を脱するための自立支援(認定NPO法人 ジェン

13 アクション! ─ 何かする・もっと知る
・日本の団体と参考ウェブサイト、本、資料などの情報。

14 ニュース&オルタナティブ
・実現したオーストラリアのエコシティー(NI p38の翻訳)
10年の歳月を経て完成したオーストラリアのアデレードにあるクリスティーウォーク。このコミュニティーは、持続可能な生活の最高のお手本であり、人々の創造性を刺激する。
・国際国防システム・設備展 in ロンドン(9月13〜16日)(NI p8からの要約)
死の商人のお買い物。
・ムービング・プラネット行動デー in アフリカ(9月24日)(NI p9からの要約)
気候変動対策の失速を防ぐために。

16 編集後記、次号のお知らせ、ほか


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