2011年11月号

NI No.447 & NIジャパン No.135

金融と飢餓 ― 投機家が群がる食料先物市場

Banking on hunger - How speculators moved into food


世界では農産物が高騰し、食料品の値上げに対する民衆の抗議や暴動が頻発し、東アフリカでは深刻な飢餓状態が依然として続いている。その大きな要因は、食料市場や農地取得に流れ込む投機的な資金である。本来ならば農家や食品会社が農産物売買のリスク低下・回避のため行う食料先物取引を目指し、莫大な投機的資金が流れ込むようになった。そしてそれは農産物と食料品の価格を押し上げ、多くの人々を貧困へと追い込んでいる。今月は、その取引の仕組みや問題点、現在広がっている影響について報告する。

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● NI No.447 目次 ●


(本文は英語です)


*<>の表示がある記事は、日本版に翻訳(全訳)もしくは要約記事を掲載しています。

4 読者の声

5 ワンガリ・マータイを偲ぶ(1940-2011)<翻訳>
日本でも「もったいない」でよく知られ、2004年にはノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイが今年9月、この世を去った。彼女の活動の足跡を振り返る。

6 今月のニュースのタネ
・ニカラグア総選挙(11月6日)
ダニエル・オルテガはすでに過去の男なのか?
・女性に対する暴力撤廃の国際デー(11月25日)
「名誉」のための殺人も罪であることを認めたレバノン。
・国連気候変動会合開会(11月28日)<翻訳>
気候変動への本気の取り組みを求めるモルディブ。
・選挙後の暴力に今も苦しむコートジボワール<翻訳>
昨年10月の大統領選挙の後から暴力が激化し、多くのコートジボワール人がリベリアへの避難を余儀なくされている。そこには、悲惨な体験をくぐり抜け、トラウマを背負う子どもたちの姿もあった。
・インターネットを気にしすぎ
エジプトのカイロから英国のロンドンまで、多くの人々がインターネットでつながって大きな波となった。政府がインターネットに神経をとがらせていることは間違いないが、度が過ぎるのではないかと英国のコメディーライターで活動家のスティーブ・ペリーは考える。
・10年前のこの月に、NIは何を伝えたか……

11 生きるための劇団
暴力が吹きすさぶグアテマラ。そんな状況の中でも生き延びていくために、若いアーティストたちによるパフォーマンスグループ、Caja Ludicaが活動している。しかし彼らに対しても、徐々に暴力の手が伸びてきた。



◆特集:飢餓と金融

16 新たなゴールドラッシュ<翻訳>
商品取引投機家が食料市場に参入し、世界の最も貧しい人々を悲惨な状況に追い込んでいる。その構図をヘイゼル・ヒーリーが報告する。

19 食べ物に投機する人々<翻訳>
もともとは、農家や食品会社のリスク低下・回避の手段であった食料先物取引。しかし今では、投資銀行、年金基金、一般の人々、穀物トレーダー、ヘッジファンドが投機目的で参入している。彼らが狙うのは、安定した価格での小麦や大豆の売買ではなく、価格変動による差益なのである。

20 食料への投機 − その事実<翻訳>
世界的な問題となっている食料への投機とは、どのような背景から出てきた問題で、現在いかなる影響を及ぼし、誰がその勝者と敗者になっているのか。グラフと数字で見てみよう。

24 アクション/参考文献
食料と農地への投機を抑制し、食料の安全保障を図る方法は多数存在し、中には短い時間でできることもある。そんな活動を行う団体を紹介しよう。 →団体リンクへ


25 社会を揺さぶる人々:ロージー・オロスコへのインタビュー<翻訳>
メキシコにおける人身取引、性的搾取との闘い。

26 漂流するロシア
ソビエト連邦の崩壊から20年。目標を見失い、ひどく複雑でなんだか気難しい国になったロシアの現状を分析する。

30 世界の国のプロフィール:イラク

32 宗教的な学校は社会に悪影響をもたらすのか?<翻訳>
宗教的な学校はどんな教育を行い、子どもたちにどんな影響を与えるのか? 宗教的な学校は、より良いコミュニティー作りに役立っているのか?……ヒューマニストのアンドリュー・コプソンと、フェミニスト、カトリック神学者のティナ・ビーティーが、真っ正面からぶつかり合い、火花を散らす。

35 パズルページ
クロスワード、数独、ワードサーチ。

36 風刺漫画コーナー
ビッグ・バッド・ワールド、オンリー・プラネットに加え、政治マンガ家とコミック・ジャーナリストの国際ネットワークCartoon Movementからの作品を掲載。

37 カイロからの手紙
笑いも叫びに見えるような状況に置かれているエジプトについて、友人たちと語り合う。

38 インタビュー: マイケル・モーパーゴ
日本でも『世界で一番の贈りもの』や『モーツァルトはおことわり』などの児童文学作品で知られるマイケル・モーパーゴが、平和について、子どもたちから感じること、作品への思いなどを語る。

NI日本版 No.135 目次

(本文は日本語です)

 

1 新たなゴールドラッシュ(NI p16-18, 22-23の翻訳)
商品取引投機家が食料市場に参入し、世界の最も貧しい人々を悲惨な状況に追い込んでいる。その構図をヘイゼル・ヒーリーが報告する。

 「世界の需要と供給のバランスは非常に際どい局面を迎えています」。農産物デリバティブトレーダーのビル・プランバーはそう言い放つ。「農作物が不作になった時、正直言って世界が対応できるのか私には分かりません」(1)
 ビルが話をしているのは、著名な投資ファンド関係者が見解を伝える「ヘッジファンドTV」チャンネルである。彼は、食料不足への対応方法、しかもそれを有利に活用する方法を話した。「農産物先物トレーダーとしてのキャリアの中で、ここ数年が最も刺激的な年になることを私は期待しています。活況と停滞のサイクルではなく、活況が続くと考えています」
 ロンドンの金融の中心地カナリーワーフ、そしてニューヨークのウォール街では、プランバーのようなトレーダーが画面に釘付けになり、近いうちに食料不足が起こることを前提に取引を行っている。
 銀行は、小豆、グリージーウール[訳注:刈ったばかりの未洗浄の羊毛]、「レバレッジ適用大豆」[訳注:レバレッジとは、てこの作用のことで、手持ち資金よりも多い投資ができる仕組み]など、一般投資家や年金基金向けの投資商品を開発し、その評判は上々だ。2003年の食料デリバティブ市場への投資額は30億ドルだったが、今年は1,260億ドルを記録している。(2)
 しかし、「農産物取引」の大当たりには、ひとつ気がかりなことがある。大当たりしている上位3種類の食料(または「ソフト」)コモディティ(商品先物)は、小麦、米、トウモロコシで、世界の最貧層20億人の主食でもあるのだ

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

7 食べ物に投機する人々(NI p19の翻訳)


 食料先物取引投機家は、小麦、大豆、油糧種子[訳注:ナタネやヒマワリなど採油できる種子]といった主要農産物に相場を張って利益を得る。
 専門的に言えば、彼らは「フューチャーズ(先物取引)」の「農産物のデリバティブ(金融派生商品)」の取引を行う投資家である。彼らが結ぶのは先物契約で、前もって価格と期日を決め、その期日を迎えた時にその価格で商品の売買と受け渡しを行うというものだ。
 もともと農家や食品会社は、一年を通して供給や収入を安定させるためにこの先物契約を行っていた。公的な取引所で農産物が取引されるようになったのは、後からである。
 シカゴ商品取引所のような「農産物デリバティブの取引所」では、金融投機家らが穀物や赤味豚肉、豚バラ肉などの先物価格に対して賭けているのだ。
 だが彼らは、小麦粉にするための大量の小麦、子豚であっても、現物を受け取ろうと思って計画を立てているのではない。

・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

8 食料への投機 − その事実(NI p20-21の翻訳)
世界的な問題となっている食料への投機とは、どのような背景から出てきた問題で、現在いかなる影響を及ぼし、誰がその勝者と敗者になっているのか。グラフと数字で見てみよう。

10 宗教的な学校は社会に悪影響をもたらすのか?(NI p32-34の翻訳)

ヒューマニストのアンドリュー・コプソンと、フェミニスト、カトリック神学者のティナ・ビーティーが、真っ正面からぶつかり合い、火花を散らす。

アンドリュー
 宗教的な学校は、親の宗教を基準に生徒を選びます。これは、宗教間(場合によっては民族・宗教間)に壁を作り、社会的・経済的不平等を維持することになり、社会としての一体感に悪影響を及ぼします。
 また、宗教的な学校は、教員やその他職員について、宗教を基準に採用することが許されています。これは、応募する側にとって不公平ですし、学校にとっても非効率的です。宗教的な学校が、校長採用で一度では決まらず再募集をかける確率は、一般的な学校に比べて3倍にもなるのです。
 学校は、子どもの視野を広げ、家庭など他では接することができない考え方に出会うための場であるべきです。ですから、宗教的な学校で許されている宗教教育は、社会へ悪影響を及ぼすと考えます。過去に宗教的な学校を訪問した際に、とてもオープンな教え方をしている教員もいた反面、子どもたちがあるひとつの世界観を深く考えずそのまま受け入れるよう仕向ける教員もいました。私は、これは間違っていると思います。その理由は、子どもたちが自分で結論を導き出せるよう多様な考え方と接しながら成長することが、子どもの権利だと考えるからです。


・・・・・・ 続きはNIジャパン誌上でご覧ください

12 ONLY PLANET(NI p36からの翻訳)
地球人が気づいていないこと?

13 ニュース&オルタナティブ
・ワンガリ・マータイを偲ぶ(1940-2011)(NI p5の翻訳)
日本でも「もったいない」でよく知られ、2004年にはノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイが今年9月、この世を去った。彼女の活動の足跡を振り返る。
・国連気候変動会合開会(11月28日)(NI p8の翻訳)
気候変動への本気の取り組みを求めるモルディブ。
・選挙後の暴力に今も苦しむコートジボワール(NI p9の翻訳)
昨年10月の大統領選挙の後から暴力が激化し、多くのコートジボワール人がリベリアへの避難を余儀なくされている。そこには、悲惨な体験をくぐり抜け、トラウマを背負う子どもたちの姿もあった。
・社会を揺さぶる人々:ロージー・オロスコへのインタビュー(NI p15の翻訳)
メキシコにおける人身取引、性的搾取との闘い。

16 編集後記、次号のお知らせ、ほか


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